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なぜ独裁国家に「ナンバー2」が必要か。北朝鮮、“新役職”を設置の謎

6月4日、およそ1ヶ月ぶりに公の場に姿を表したと伝えられた金正恩総書記ですが、北朝鮮で今年1月に起きていた「異変」が話題となっています。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、北朝鮮研究の第一人者である宮塚利雄さんが、1月の朝鮮労働党大会での規約改正において、金正恩総書記に次ぐ「ナンバー2」の役職が新設された意味を考察。さまざまな見方を紹介しつつも、「金正恩が倒れるなどの非常時に備えた役職であることは間違いない」と結論づけています。

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社会主義独裁国家でナンバー2?北朝鮮が「第1書記」を新設のナゼ

例年この時期なら北朝鮮の一大国民行事とも言える“モネギチョントゥ(田植え戦闘)”の話になるのだが、今年はこの田植え戦闘にまつわる話が伝わってこない。そろそろモネギチョントゥも終わるころであるが、機材や肥料不足のなかでの田植えはどうだったのか、長年北朝鮮の農業・食糧問題を追及してきた私には気になるところだ。

そんな中、韓国の聯合ニュースなどは6月1日、北朝鮮が今年1月の朝鮮労働党大会での規約改正で、金正恩総書記に次ぐ「ナンバー2」の職責として、「第1書記」を新設していたと報じた。金正恩総書記の独裁体制を補完する職責である。社会主義独裁国家にはナンバー1はいてもナンバー2やナンバー3はいないはずだが、非常時の後継体制構築を図ったものなのか。

聯合ニュースによると、党規約には「党中央委員会総会は第1書記、各書記を選挙(選出)する」という文言が加えられたが、「第1書記は総書記の代理人」と規定された。問題の第1書記は、金正恩が2012年から16年まで使用した肩書でもあるが、当時は最高指導者を指し、今回の「代理人役」とは異なるが、最高指導者のみに絶対権力を付与してきた北朝鮮で、ナンバー2の職責が正式に設けられるのは極めて異例である。金正恩はその後、「党委員長」の肩書を用い、今年の党大会で「党を代表して領導する首班」である「総書記」に就任した。

改正版の党規約をめぐっては、これまで序文にあった「先軍政治」という文言が削除され、金日成・金正日・金正恩という個人名が大幅に削除されているが、これは個人による支配から朝鮮労働党というシステムによる統治への転換を強く印象づけるものになった。つまり、先軍政治は金正恩の父の金正日時代に盛んに宣伝された「軍を優先する政治思想」であるが、金正恩は政権運営にあたり、党を中心とした指導体制の立て直し進めており、先軍政治の文言が消えた(消した)ことにより、軍よりも党を重視する路線を明確化したのである。

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さて、肝心の第1書記であるが、韓国のメディアなどは政治局常務委員に抜擢された金正恩の最側近の趙甬元(チョ・ヨンウォン)氏が任命されたのではないかとの憶測を伝えている。しかし、党大会後に第1書記の肩書で公式メディアに登場した人物はおらず、空席のままの可能性もあるのではないかとも言われている。その一方で、北朝鮮の建国者の金日成主席の直系血族のみが最高権力を行使できる不文律があることから、金正恩の妹の金与正氏を想定した職責ではないのか、という見方もある。

いずれにせよ、第1書記は金正恩が倒れるなどの非常時に備えた役職であることは間違いない。

今回明らかになった党規約改正内容は、慶應義塾大学の礒崎敦仁准教授が下記のサイトで日本語訳を新着記事として公開している。参考にいただきたい(※崎は正しくは立つの方)。

北朝鮮の情勢とニュース コリアワールドタイムズ

(宮塚コリア研究所代表 宮塚利雄)

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image by: Alexander Khitrov / Shutterstock.com

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