新型コロナウイルスの蔓延により、手洗いを習慣にすることが必須となっている今の日本。色んな場所を触ってしまう子供には特にきちんと手を洗ってもらいたいものですよね。そんな主婦の悩みから生まれた門柱が注目されています。今回の無料メルマガ『MBAが教える企業分析』では著者でMBAホルダーの青山烈士さんが、新たな生活様式における悩みを解決するその企業の戦略について詳しく解説しています。
問題発見
今号は、玄関アプローチに設置する水栓付機能門柱を分析します。
● 株式会社テクテクワークスが展開している門柱「arantia(アランティア)」
汚れた手で家に入られることに抵抗がある方をターゲットに「無いなら作ってしまおう」というマインドに支えられた「家に入る前に手が洗える」等の強みで差別化しています。
新型コロナウイルス感染症対策につながる新しいサービスとして、注目を集めています。
■分析のポイント
我が家には、5才の男の子がいますが、子どもは、とにかく色々なモノに触ります。ですので、手がキレイな状態で家に帰って来るということは、少ないです。
そして、手を洗うのをよく忘れます。玄関から、リビングや自分の部屋に向かう導線に洗面所が無いと、スルーされてしまうのです。そうなると、もしウイルスが付いていたらと思うとゾッとしますね。
恐らく、近しい悩みをお持ちの親御さんも多いのではないでしょうか。やはり、ウイルスは目に見えないので、可能な限り、家に入れない対策をしたいと思うのは自然の流れだと思います。
そういった悩みに応えるのが、今回、取り上げた「アランティア」です。玄関のアプローチに水栓付きの門柱を設置するという発想はありそうで、無かったものだと思います。
玄関のドアに向かう導線に水栓があれば、手を洗うことを忘れにくいですし、習慣化もしやすいでしょう。これにより、ウイルスが家の中に侵入することも防ぐことにつながるのですから、有効なコロナ対策と言えると思います。
今回のポイントは問題を見つけられるか?ということです。汚れた手で家に入ることが問題と捉えられなければ、「アランティア」は生まれていなかったはずです。
周囲が気づいていない問題に気づくというのはビジネス上、非常に重要です。多くの企業が、顕在化している問題の解決策で勝負しているわけですが、問題が顕在化する前に気づくことができれば先行者優位を築くことにつながるからです。
ですが、問題に気づくことは簡単ではありません。ヒントになるのが「アランティア」の開発につながった女性の視点です。
ある特定の業界に染まってしまうと、目の前のことが当たり前すぎて、なかなか疑問を持つことが難しくなるものです。ですので、男性が中心となっている業界では、女性の視点が有効になりますね。
最近は、副業人材をとり入れている企業も増えていますが、そういった他社・他業界の視点は、自社にとっては貴重なものになるでしょう。
女性の視点を活かした「アランティア」が、今後、どのように拡がっていくのか注目していきたいです。
◆戦略分析
■戦場・競合
・戦場(顧客視点での自社の事業領域):給排水一体型水栓付機能門柱
・競合(お客様の選択肢):外用水栓の設置を行う企業など
■強み
1.家に入る前に手が洗える
・帰宅時の汚れた手で、ドアノブやスイッチなどに触ることが無くなる
・家の中にウイルスを持ち込む確率を減らすことができる
2.玄関アプローチが魅力的になる
・洋風だけでなく和風にも合わせられる
・豊富なカラーラインナップ
・形が可愛い
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
・主婦が創業した企業
・女性だからこそ思う”あったらいいな”を生み出し形にしていく力
・ブランドコンセプト:「記憶に残る“物”と“事”」
・「無いなら作ってしまおう」というマインド
上記のような、女性視点やマインドが強みを支えています。
■顧客ターゲット
・子どもに汚れた手のままで、家に入られることに抵抗がある方
・しっかりと感染症対策をしたい方
・玄関アプローチのイメージを変えたい方
◆戦術分析
■売り物、売り値
「給排水一体型水栓付機能門柱」
・arantia(アランティア):希望小売価格 \223,000(税別)
ミカゲ石調の仕上がりが、洋風だけでなく和風にも合わせられる。外壁の色に合わせられる豊富なカラーラインナップ
・arantia origin(アランティア・オリジン):希望小売価格 \426,000(税別)
左官職人が手仕事で生み出す、完全受注生産品。表面仕上げには中世ヨーロッパの石造りを思わせるフランス漆喰を採用
■売り方
・SNSでの発信
・各種メディアに取り上げられている
・愛知県における「愛知県新型コロナウイルス感染症対策新サービス創出支援事業費補助金」にも採択
■売り場
・全国の取扱店
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
image by: @press