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他人から子育てを「過保護」と指摘され落ち込む親に、育児のプロがかけた言葉

何もかもが手探り状態な「初めての子育て」は、他人からの指摘で自分の方向性がわからなくなってしまうことがよくあります。今回の無料メルマガ『幸せなお母さんになる為の子育て』では、著者であるパピーいしがみさんが 、同じ幼稚園で中心的存在のママさんに「過保護」と言われてしまったお母さんからの相談に親身になって回答しています。

人からの指摘

こんばんは。パピーいしがみです。

今回は、人からの指摘で自分の方向性が分からなくなってしまった、とのご相談を頂いた内容をご紹介したいと思います。

それはこんな相談でした。

パピーさん、こんにちは。sweetと申します。

勉強を始めて、今まで怒り過ぎてぎくしゃくしていた長男との関係が良くなって、長男も甘えてくれるようになりました。

以前は、悩むたびにネットで調べたり、本を買ったりしていましたが、読めば読むほど自分が間違っているように感じて不安になるので、子育ての本もネットでの検索もやめました。自分の気持ちが安定していると、迷う事もなくなり、落ち着いて判断できることが増え、トラブルも減ったように思います。

でも実は今、又、不安になってしまい、これでいいのか悩んでしまっています。その理由は幼稚園の中心的存在の(年長男の子)のママさんに言われた「過保護」の言葉です。

そのママさんのお子さん(U君)はとても活発で、運動神経が抜群のお子さんです。ヤンチャでもありますが、友達も多く、我が家の長男もU君に憧れていて「U君カッコいい!」「U君みたいになりたい!」と言っていました。又、U君ママは元幼稚園の先生で、とても社交的な方で、いつも周りにはママ友さんがいらっしゃるリーダータイプの方です。

ある時、子供のお迎え時に息子がU君ママを見つけ「ね~U君と遊びたい~。U君ママに言って~」と私に言ってきました(この「遊びたい」は帰宅後のことです)。内心(自分で言えばいいじゃん)と思いながらも、U君ママも息子の言葉が聞こえたようで、私とも目があったので「もしよかったらU君と遊ばせてもらえますか?」と言ったところ、U君ママは「ウチはいいけど…Uとは遊ぶ約束したの?」と息子に質問。息子は首を振って「してない」と。そしたらU君ママが息子に「じゃあ、先にUと約束をしてみてね。うちはいつでもいいから」と言ってくださいましたが、息子は「じゃあいい」と言って、ささっと迎えの車に乗り込みました。

私は(え~、まだ本人と約束もしてなかったの?)と思いながらも先にU君ママにお願いしてしまったことに「しまった」と思い、「すみません。なんか…ごめんなさい」と言うと、U君ママから「あ~、何でも親がやってあげると、子供が自分でしなくなるからね。過保護にならないように気を付けないと」と言われました。

こうやって文字に起してみると「そんなことで悩む?」と思われるかもしれませんが、この時の私は、「何でもやってあげるから、こんな風になっちゃうんだよ。あなたが過保護だから」と言われたぐらいショックで、車の中では息子とも一言もしゃべらず、家に帰ってもご飯の支度をする力もなく、その後はずっとスマホで「過保護」を検索してしまう状態でした。

ネット検索すれば、ネガティブな言葉ばかり気になってしまうと解りながらも、「過保護」から「ヘリコプターペアレント」という言葉を知って、それを何件か読み進める度に、「あ~、私ってヘリコプターペアレントなのかな?」と考えるようになりました。

ヘリコプターペアレントの親に育てられた子供って、親に依存をするようになり、自分で行動できなくなってしまう、子供は判断力を奪われ、子供の能力の発達をさまたげて、イヤな事から逃げる子にしてしまう等々と書かれていて、今回の長男は自分で約束もしていないのに「ね~U君と遊びたい~。U君ママに言って~」は完全な親への依存だし、U君ママが「先にUと約束をしてみてね」と言ってくれたのに「じゃあいい」と、さっさと車に乗ってしまうって、まさしく逃げようとする姿勢だな…と、そのようにいろいろ考えていると、あの時、叱った方が良かったのか、これからどうしたらよいのか?と分からなくなってしまいました。

旦那にも話を聞いてもらいましたが「そんな事、気にしなければいい」と言われても、「気になっちゃうから相談してるのに…」と私の気持ちは一向に回復しませんでした。幼稚園への送迎をしてもU君ママとは顔を合わせたくないし、1週間ぐらいたってもふさぎ込んでいる私を見て、「じゃあパピーさんに相談したら?」と主人が言ってくれて、「こんなことで相談していいのかな?」と思いながらも今回、メールさせて頂きました。

できれば自分で解決したかったのですが、何かアドバイスを頂けると嬉しいです。よろしくお願いします。

という内容でした。

誰かに何かを言われたり、ネット記事でネガティブな内容を読んだりすると落ち込みますよね。特に今回、ちょっとタイミングもよくなかったです。sweetさんには、次男さんが生まれてから長男さんを叱ることが増えて、関係が悪くなった経緯があって、今、やっと長男さんが甘えるようになってくれた矢先の事でもありました。

ちなみに「ヘリコプターペアレント」とは、アメリカで生まれた言葉で、子供の上をまるでヘリコプターがホバリングするかのように、子供が自分で判断すべきことに何でも手を出し、失敗をさせなかったり、親の思うがままに管理したり、口を出したりすることで、子供の意思を奪い、行動を制限してしまう、とネット上ではかなり「やってはいけない子育て」「あるべきでない親の姿勢」のような表記がされています。

かなり自信を失ってしまわれたsweetさん。なのでこんな風にお返事しました。

sweetさん、こんにちは。メール拝見しました。

U君ママさんから「過保護では?」と言われてしまったみたいです。人から指摘されると不安になりますよね。

でも一つ確認させてくださいね。U君ママさんは、sweetさんがどんな子育てをしているか熟知している方ではないですよね?確かに幼稚園内では中心的な存在のママさんで、もともと幼稚園の先生をされていた、という事なので知識も豊富なのかもしれません。でもU君ママさんがとても近い関係で、sweetさんの子育てをよくご覧になっているのでなければ、sweetさんがどういう考えで子育てをしているのかも、今までの経緯も知らないはずです。いわば、U君ママさんの言葉は、sweetさんの事も、息子さんの事も、全く知らない状態で、目の前で起きたたった一瞬を切り取られて放った言葉なんです。sweetさんが感じている「U君ママは元幼稚園の先生」という意識や「U君は子供達が憧れる人気者」という認識で過剰な影響を受けてしまった、という事なんですね。

実はこれって「ハロー効果」と言って「人は誰かの良い面を見ると他の面も優れていると思ってしまう」という私たちが持っている心理的な癖があって、たまたま起きたシチュエーションとリンクして、U君ママさんの言葉が的を得た指摘のように感じてしまったのです。

何度も言いますがU君ママは、全くsweetさんのご家庭の様子は知らないんです(^^)。過去のメルマガでハロー効果について説明している記事もありますからご参考になさってくださいね。

そして「ヘリコプターペアレント」を検索して、落ち込まれたとありました。確かに「ヘリコプターペアレント」であり続けると非常に危険ではあると思います。というのも「ヘリコプターペアレント」とは、親の言うとおりにしてれば…と、子供に「ああしなさい」「こうしなさい」と手取足取り親がやってしまって、失敗もさせずに育ててしまった方の事を言います。

ですがsweetさんの長男さんはまだ年中さんです。お母さんに甘える事も必要だし、又、お母さんが手助けをすることも必要な時期。もし今、失敗もさせず、何でも口を出し、親の思い通りにさせようとしてたとしても、これから修正していけば大丈夫な年齢ですし、親の「こうしなさい」に対して「嫌だ、僕はこうしたい!」とはっきり言える子だったり、「自分の思い通りにしたいんだ!」と自己主張ができる子であれば、親がヘリコプターペアレントにはなりません。

以前、ご相談も頂いていましたが、長男さんは次男さんが生まれた時にも激しい自己主張をしていましたよね。だったらsweetさんがどんなに頑張っても「ヘリコプターペアレント」にはならないと思いますよ(^^)。

もし心配だったら、このお返事をご主人に読んで頂いて「私ってヘリコプターペアレントかな?」って聞いてみてください。きっと「全然違うよ!」と言ってくださると思います。

あ、ちなみに「ね~U君と遊びたい~。U君ママに言って~」は、依存だったのではなく、近くにいたU君ママ見て(もしかしたら憧れのU君と遊べるかも?)という期待を込めての言葉だったのでは?と思います。私は全然心配いらないと思いますよ(^^)。

このお返事をして、sweetさんはすぐにハロー効果を説明している私のメルマガを読んで下さり、又、ご主人にもお返事のメールを読んでもらい「私ってヘリコプターペアレントかな?」と聞いてくださったそうです。

そしてこんなお返事を頂きました。

早速のお返事ありがとうございます。おかげさまで、不安だったこの1週間が何だったのか?と思うぐらい気持ちが楽になりました。何度も繰り返し読ませて頂いて、その度に心が落ち着いていくのが分かりました。

特に「どんなに頑張っても、ヘリコプターペアレントにはならないと思いますよ(^^)」と書かれていた、その部分を読んで、そうだよ。この子は自分がやる、と言ったら何を言ったってやろうとする。パピーさんからも“自己主張ができる子だね”って言われていたことを思い出しました。

その時に「たくさん失敗させてあげて下さいね。もちろんお母さんもたくさん失敗していいんですから」とも言われていて、私も主人も「押し付けはしない。失敗は叱らない。失敗よりも行動を褒めよう」と決めた事を思い出しました。

今回のお返事で「心配だったら、このお返事をご主人に見て頂いて『私ってヘリコプターペアレントかな?』って聞いてみて」とあったので、「パピーさんからお返事来たよ。ご主人に読んでもらってって書かれていたから読んで!」とスマホを渡し、しばらくすると「ホントだ。うちは“ヘリコプターなんちゃら”にはならないな。だってあいつは親の話は聞かないからな~!」と大笑い。

つられて私も笑っていたら、寝ていた長男も起きてきて「何かあったの?」と言うので、「あなたがいい子で、ママが褒められたお話をしてたんだよ♪」と言いましたら、フフッと笑いながら「なんだそうなの…。あ、もう寝なきゃ」と言って一人で寝床に戻り、その後見に行ったらすでにスヤスヤと眠っていました。

それと「U君ママは、全くsweetさんのご家庭の様子は知らないんです」とあった一文にハッとして、「そりゃそうだ。ほとんど会話したことなかったし、私の事なんて全然知らないはずなのに、なんで私はショックを受けたんだろう?」と冷静になりました。

ハロー効果、そうなんです。過去のメルマガも読ませた頂きましたが、人気があって活発なU君を息子が憧れるように、私もみんなの中心で輝いているU君ママに憧れがありました。だから息子の「U君ママに言って~」がきっかけでお近付きになれたらな…という気持ちがありました。

そんな憧れのU君ママに「何でもやってあげると~」と言われたことが、私自身を強く否定されたように感じて落ち込んでしまったのだ…とパピーさんのお返事を読んでわかりました。

パピーさんに言われる通り、U君ママとは学年も違うので接点もなく、会話したこともなかったし、「たった一瞬を切り取られて放った言葉」が心にすとんと落ちてきて、気持ちが楽になりました。

冷静になって子供を見れば、子供たちは手伝ってあげようとしても「いいの!自分でやるから」と言いますし、自分が納得しないと行動しない子です。パピーさんに「私は全然心配いらないと思います」と言われて自分の気持ちをリセットできました。ありがとうございました。

sweetさんの不安が解消できてよかったです。

信頼している人。権威のある方など影響力の高い方に言われると不安になりますよね。みんなそうだと思います。でもそれって、私たちの持っている心理的なバイアス(ハロー効果)が働いているからでもあるんです。だって「あんな人にはなりたくない」と思っている人にアドバイスされても「なに言ってんの!」って気にもしませんものね(笑)。

ハロー効果に関してお話ししている記事は下記になりますので、もしよろしければお読みになってくださいね♪

● 第815号「ハロー効果

image by: Shutterstock.com

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【著者】 石神明生 【発行周期】 毎週日曜

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