企業が従業員のために研修費を負担すると、法人税が最大45%も控除される制度があることをご存知でしょうか。しかも、控除しきれなかった金額は5年間も繰り越せるという、見逃すには惜しすぎる制度です。中小企業の経営者なら今すぐ確認すべき節税対策について、今回のメルマガ『税金を払う人・もらう人』では、著者の今村仁さんが、わかりやすく解説してくれています。
研修費を使った節税ってあるの?
■過去にあった人材投資促進税制
主に中小企業向けの節税対策として、「人材投資促進税制」というのが10年以上前に存在していました。
過去の税制ですが、人材投資促進税制では、企業が従業員に対して、研修費のような人材投資を行うと、「税額控除」が受けられました。
研修費とは、「外部研修参加費」や「研修委託費」、「教材費」などです。
■研修費を使った節税対策
では現在では、中小企業が従業員のために研修費を負担したとしても、税金の控除はないのでしょうか。
実は、あるのです!
それが、「賃上げ促進税制における研修費加算」です。
賃上げ促進税制(中小企業向け)とは、青色申告書を提出する中小企業者等が、前年度より給与等支給額を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税から税額控除してくれるという制度です。
【必須要件】 雇用者給与等支給額が前年度と比べて □1.5%以上増加していること →控除対象雇用者給与等支給増加額の15%を法人税額から控除 □2.5%以上増加していること →控除対象雇用者給与等支給増加額の30%を法人税額から控除
【上乗せ要件1】 研修費を前年度と比べて5%以上増加させて、適用事業年度の研修費が適用事業年度の雇用者給与等支給額の0.05%以上であること →税額控除率を10%上乗せ
※令和8年度税制改正にて廃止予定ですが現在は使えます!
【上乗せ要件2】 子育てとの両立支援、女性活躍支援の積極的な企業として認定を受けていること →税額控除率を5%上乗せ
すべての要件を満たすと、控除率は最大「30%+10%+5%=45%」となります。
ただし、税額控除額は法人税額の20%が上限ですので、ご注意ください。
■5年間の繰越控除とは?
これまでは、頭打ちである法人税額の20%上限に達している会社については、「切り捨てご免」でしたが、令和6年4月1日開始事業年度からは、5年間の繰越控除制度が新設されています。
上記の要件を満たす賃上げをした年度に控除しきれなかった金額については、翌年度以降に5年間の繰越控除が可能となります。
5年の繰越控除はインパクト大ですので、忘れずに適用しましょう!
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