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「勝ちに法則はない。だが、負けには法則がある」不動産×金融コンサルタント・澤田聖陽が語る、生き残る経営の条件

「不動産×金融」という領域で独立コンサルタントとして活動する澤田聖陽氏。証券会社での法人営業、投資銀行業務、証券会社の代表取締役としてのプロ経営者経験、そして独立――。30年近くにわたるキャリアの中で、数多くの不動産・金融企業の栄枯盛衰を見てきた。

今回の取材では、澤田氏のキャリアの軌跡から、不動産業界の構造的なリスク、そして独自の経営哲学である「負けの法則」について話を聞いた。

澤田氏はこう語る。「成功の法則は個別性が高い。でも、負けの法則は驚くほど共通しているんです」。成功は再現性が低い。しかし失敗には共通点がある。その視点こそが、澤田氏のコンサルティングの核心だ。

プロフィール:澤田聖陽(さわだ きよはる)
政治経済アナリスト。国際証券(現:三菱UFJモルガン・スタンレー証券)、松井証券を経て、ジャフコ、極東証券にて投資業務、投資銀行業務に従事。2013年にSAMURAI証券(旧AIP証券)の代表に就任。投資型クラウドファンディング事業を立ち上げ拡大させる。現在は、澤田コンサルティング事務所の代表として、コンサルティング事業を展開中。YouTubeチャンネルにて時事ニュース解説と株価見通しを発信している。

10年で9割が消える世界

不動産業界は華やかに見える。大きな金額が動き、成功した経営者は派手な生活を送る。しかし、その裏側の現実を澤田氏はこう語る。

「不動産業者って、10年で9割が消えるんですよ。九割九分かもしれない」

大げさに聞こえるかもしれない。だが歴史を振り返れば、この言葉の重みは理解できる。

澤田氏が例に挙げたのは、かつて業界の寵児であった不動産会社だ。その企業の社長は、地方ではまさに「王様」のように扱われる存在だった。しかし、それもリーマン・ショックで一瞬にして崩壊した。

「トップを取った翌年にリーマン・ショックが来て、会社更生法。一撃で終わりました」

リーマン・ショック後、不動産業界では倒産が相次いだ。急成長していたデベロッパーも、タワーマンション開発で勢いに乗っていた企業も、次々と市場から消えていった。不動産業界は構造的に景気循環の影響を受けやすい。好況期には誰もが儲かる。だが、不況期には大半が退場する。

「結局、生き残るのは財閥系と鉄道系なんですよ」

巨大資本を持つ企業は、不況でも耐えられる。しかし独立系企業は違う。好況期に拡大し、不況で消える。それが業界の基本サイクルになっているという。

証券マンから不動産の世界へ

澤田氏のキャリアは証券会社の法人営業から始まり、投資銀行業務、証券会社の代表取締役社長を歴任。2019年に独立した。

不動産に軸足を移したのは直近10年ほど。その理由はシンプルで、「本当に好きですね。金融商品としての不動産は切り口が多いし、マーケットも大きい」と語る。

実は、不動産と金融の両方を横断的に理解する人材は極めて少ない。不動産屋は金融を知らず、金融屋は不動産を知らない。

この「断層」が、澤田氏の唯一無二のポジションを作っている。


「もやっとした相談」を形にする仕事

「最初は“もやっとした相談”が多いんですよ」

澤田氏のコンサルティングの特徴はここにある。戦略コンサルのように最初から課題が明確なケースは少ない。

不動産経営者はフロントサイド(営業・開発)出身が多く、資金調達や財務の「裏側」に弱い。「なんとなく困っている」「どうしたらいいかわからない」という状態から関わることが多いという。その悩みを聞き取り、事業計画に落とし込み、資金調達までを支援している。これを一気通貫で実行できる人材は業界でも極めて稀だという。この強みはクライアント層の幅の広さにも表れており、独立したばかりの事業者、年商100億超の企業、上場企業……とあらゆるステージの経営課題を解決に導いているという。

「負けの法則」これをやったら潰れる

澤田氏が最も強調したのが「負けの法則」だ。

「成功の法則はたまたま。でも、失敗したところには共通点がある。負けの法則は割と明確なんです」

澤田氏が挙げる“死亡フラグ”は、以下の5つだ。

(1)市場環境を過信する

ここ15年で不動産が儲かったのは、マーケットがそうだっただけ。40歳以下の経営者はリーマン級の暴落を知らない。売上100億でも売上総利益(粗利益)15億、それでイケイケでいる。

(2)投資用だけの「空中戦」に依存する

居住用(実需)をベースにしたビジネスは不況耐性が高い。投資用だけのモデルは金利ひとつで崩壊する。

(3)金利環境の変化を舐める

都心の不動産利回りが長期国債を下回るケースすらある。ここ1〜2年でマーケットは大きく変わっている。この変化を見越していないと、生き残ることは難しい。

(4)決算書をバンカー視点で見ていない

不動産は銀行融資なしに拡大できない。にもかかわらず、銀行目線で決算書を設計できていない経営者がかなり多い。

(5)勘だけで検証しない

勘は大事。でも、それを検証するプロセスがないと、間違った方向に進み続けて失敗することになる。

そして、澤田氏がたどり着いたアプローチはシンプルだ。

「NGだけは守ろう、が一番いい。成功するかはわからない。でも、致命傷は避けられる」

取材中、澤田氏はこんな言葉も口にした。

「不動産屋の7割は嘘つきです」

冗談のようだが、背景には業界の構造がある。不動産投資では成功体験ばかりが語られる。しかし実際には多くの失敗が隠れている。典型的な生存者バイアスだ。

自前チャネルの構築と、これからの戦略

現在の仕事の多くは紹介だが、澤田氏はリスクも感じている。コントロールが効かない点だ。そこで澤田氏が進めているのが、メルマガ・勉強会コミュニティ・書籍という三本柱の自前チャネルだ。

金利上昇、マーケットの変化、AIの台頭――不動産×金融の世界は今、大きな転換点にある。澤田氏にとってこれは逆風ではない。

「みんな困る時こそ、もやっとした相談が増える。コンサル需要はむしろ上がる」

いま独立を考えている読者に向けてのアドバイスとして、「市場規模があって、競争優位があって、自分が好きである。この3つが揃う分野を見つけることが大事」とも語ってくれた。どんなに儲かる分野でも、好きでなければ長くは続かない。

10年で9割が消える世界で、澤田氏は生き残り続けている。その秘訣は、華やかな成功法則にあるのではなく、「絶対にやってはいけないこと」を知り、それを守り続けるという、地味だが確実な方法論にあるのかもしれない。

澤田氏の書籍は、まぐまぐ出版より刊行予定。メルマガ『元証券会社社長・澤田聖陽が教える「投資に勝つニュースの読み方」』はまぐまぐにて配信中。

※本記事は、2026年4月7日に実施した取材をもとに構成しています。

image by: shutterstock.com

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新卒で証券会社に入社。その後、投資銀行事業、Fintech事業を手掛ける。2013年から2019年までSAMURAI証券株式会社の代表を務める。現在は、投資とコンサルティング事業を行いながら、複数の企業に顧問として携わっている。20年間投資の現場におり、証券会社の代表を6年間勤めました。証券会社代表退任後も、投資とコンサルティングの事業に関わっており、投資の現場からのプロの目で「投資に勝つ」ニュースの読み方をお届けします。

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【著者】 澤田聖陽 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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