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女子中学生が自殺未遂にまで追い込まれても「逃げ」を狙った東京・大田区名門公立中学校“いじめ問題封殺事件”の酷すぎる全貌

全国各地で報告が相次ぐ、重大事態いじめをめぐる学校や教育委員会の不適切な対応事例。その問題は東京都内でも例外ではありませんでした。今回のメルマガ『伝説の探偵』では、現役探偵で「いじめSOS 特定非営利活動法人ユース・ガーディアン」の代表も務める阿部泰尚(あべ・ひろたか)さんが、大田区の「名門」とされる公立中で起きた「いじめ問題封殺事件」を取り上げ、教員や区側の不誠実にすぎる対応を厳しく批判。その上で、調査体制や情報開示のあり方に潜む課題について考察しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/原題::東京大田区いじめ問題封殺事件

東京大田区いじめ問題封殺事件

教育委員会全体でその中に外部委員を入れたかたちで調査委員会を組んでいるので、本調査委員会は「第三者委員会」ではございません。

これは、東京都大田区立の中学校で発生した重大事態いじめの被害保護者が、第三者性、中立公平性を欠いている第三者委員会の調査が強引に進められ、終了したという報せを受けた際に、受けた回答だ。

え?第三者委員会ではなかったの…。

ちなみに、この第三者委員会に解散要望を出した私は、今や敵視されている。

まあ、第三者委員会ではなかったんだから、ずいぶん的外れなことをしたかなと思いはするが(嫌味)。

どんないじめだったか?

さて、重大事態いじめは、大田区内では名門と言われる公立中学校で起きた。

まずは入学当初、いわゆるいじめのリーダー格になる女子生徒が、格好いい憧れの先輩ら(男子生徒)と気軽に話をする、見た目の良い同級生の女子生徒に目を付けたのが始まりだ。

「なんでタメ口なんだよ。調子乗ってない?」

これが当初に始まったわけだ。

実際のところ、被害女子生徒は、小学校から家族ぐるみで仲良くしている兄の友人らといつも通りに校内で会話を交わしていただけであったのだが、被害生徒の容姿が優れているということも一方的な嫉妬に火をつけることになった。さらに、加害生徒と被害生徒が同じ部活に所属したことで、攻撃は陰湿に過激になっていく。

当初は単なる一方的な嫉妬であり、先輩らもいる中であったから、露骨に嫌がらせをすれば、角が立ったのであろう。陰湿な陰口や根も葉もない噂話をして被害生徒の名誉を傷つけ、仲間外れをそれとなくやるという、嫌がらせが続いた。

そうした中でも、いわゆる聡明な被害女子生徒は、友人を作り、勉学に励み、こうした苦難を何とか乗り越えようとしていたが、担任や校長らは相談をしても「受け止め方次第だ」と言って取り合わなかった。

加害行為はより酷くなっていき、一度は教員が仲裁に入り、強い指導を加害側にしたのだが、この教員が人事異動で他校への配属となると、加害行為はより酷くなった。

特に同部活で嫉妬に燃えるリーダー格の女子生徒らは、被害女子生徒の友人や慕っている後輩らへの圧力を強めた。

部活で被害女子生徒を慕っている後輩を加害者らは部活の方向性を話したいと呼び出し、被害女子生徒と関わるなと迫ったりした。

いわゆる人間関係操作型のいじめであり、友人の引き剥がしなどを行い、被害者を孤立させるわけだ。

この手のいじめで深刻になるのは、孤立と不当な噂である。特に思春期のこどもはこども社会への帰属意識が強く、孤立させられることは深刻な心のダメージになる。この被害の期間(本件では中学1年生から3年生まで)が長いとより深刻な状況になる。

結果、被害女子生徒は自死の意思をもっての衝動的な行為におよび、これに気が付いた保護者が制止するという事件が起きた。また、適応障害の診断を受け、その症状にはフラッシュバックなどPTSD同様の症状も確認された。

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学校側は逃げ切りを狙った

保護者から相談を受けた校長は、後輩から聞き取った「証言」を、「伝聞」だとして、証言をする事自体が悪質な行為だと断じた。これについては保護者のみならず、朝礼で全校生徒に向けても講話として話している。

担任と部活顧問は同一の教員であるが、この教員については、全く指導というものを行わなかった。もはや、加害者擁護、やりたい放題の状況になっていたわけだ。

ここで私に相談があり、まずは後輩が学校に話した内容は伝聞ではなく証言であるという正しい知識を保護者に伝え、仮に伝聞であった場合には(本件は断じて伝聞ではないが)刑法では証拠にならないのが通説であるが、誤って理解していたとしても、起きた事実は、深刻ないじめであり、いじめ防止対策推進法第28条の重大事態いじめ(1号)に該当することを伝えたが、再交渉をしても校長が逃げ回るため、教育委員会に申し入れを行うことになった。

開示請求拒否

大田区教育委員会の対応は当初スムーズであったと言えた。私は数百の教育委員会とこの手のやりとりをしているが、比較的スムーズに重大事態いじめの申し入れを受け入れたと言える。実際のところ私は、大田区のPTA主催の講演会に招かれ、当時の教育長の前で、いじめ問題の実際について講演をしたこともあり、さすがにやってくれるだろうと油断していた。

しかし、とんでもない事件が起きた。

被害保護者が本件に関する情報開示をしようとしたところ、開示窓口である教育委員会から学校で開示請求をしろと言う案内を受けたのだ。

情報開示請求は、法においても大田区の条例においても実施機関が執り行うことになっており、教育関連のものは教育委員会に集約されることになっている。つまり、実施機関は教育委員会しかない。役所にある開示請求の申込書にも、学校の欄はなく教育委員会とある。

混乱した被害保護者から、どういうこと?という問い合わせを受けた私はさらに混乱した。一体どういうことか?と思ったのだ。このまま申し込みしたところで、文書がないので不存在で終わりですと窓口は言うというのだ。

しかし、法でも条例でも確認する限り、開示窓口は教育委員会なのであり、学校ではない。当然公務員である職員が、法にはない独自運用ルールを案内するはずはないのだが、案内してきているのだ。

「うるせーよ、しのご言わず学校行けよ」と思った読者の方もいるかもしれないが、この疑問は、行政手続きのテクニカルな壁に繋がっていくのだ。

結果、不存在で一度は回答を得たものの、その後はこの運用は違うのではないかと再度直接私が話したところ、開示を受けることができた。

まずは、この仕組みを読み解く。

今回は、保有個人情報の開示請求についてだ(保有個人情報についても、所謂公文書として取り扱われる)。

一般に個人情報保護法、条例等によってルールが細かく定められているが、大田区教育委員会の場合は、「大田区教育委員会が管理する公文書の開示に関する規則」がある。

この規則では、「第5条 公文書の開示(任意的な開示の場合を含む。以下同じ。)は、当該公文書を管理する課において職員の立会いのもとに行うものとする」と定められていて、この課には、小学校や中学校も1つの課として取り扱うことになっている。

また、「大田区教育委員会事務局事案決定手続規程」では、権限の分離が確認でき、各課長等が決定権限を持つを解される。つまり、決定権限は校長にあるということになるわけだ。

正確には事案の重大性に応じて委員会、教育長などにも権限が及ぶことになっているが、学校の文書の場合は、校長が課の長扱いで、決定権限があると考えていいだろう。

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担当者の苦しい言い訳

一方で、いじめ問題等でのトラブルで生じる開示請求は、学校と保護者・被害者当人がトラブルとなっているケースが多く見受けられる。対立している同士が一方に重要な書類を求める。その重要な書類には出す側が不利になる要素も含まれるというわけだ。

例えるなら、ウクライナがロシアにちょっと国連に出した文書を出してくれというようなものだ。今回の場合は、ウクライナが国連にロシアが出してるはずの文書くださいと法通りの手続きをしようとしたら、あっそれ、ロシアに直接言ってと言われたようなものだ。

つまりは、簡単に「ありません」「あるけど出しません」と言えるわけであり、手続き上、不満があるなら再審請求でもしてくださいなと言えるわけだ。

上は少々乱暴な解釈だが、少なからず、開示請求する側の心理的な負担は大きくなることは間違いないだろう。

だからこの場合、開示請求の壁を独自に設けたとは言えるだろう。

ただし、これら規則には、窓口の分離は書かれていない。つまり、開示される場所や権限の分離はあっても、請求窓口は法にも定められている実施機関たる教育委員会の窓口になるわけだ。

これについて、担当者は下記のように苦しい言い訳をしている。

法務専門員とも協議の上、教育委員会としての考え方を以下のとおり回答します。

大田区教育委員会指導課では、教育委員会に所在する文書と、学校に所在する文書とで、情報開示請求の窓口を分けており、後者については直接学校宛てに開示請求書をご提出いただく取り扱いとしております。

情報開示請求の対象となる文書の範囲について、所在する文書を具体的に把握している学校と直接やり取りしていただくことが、円滑な情報開示に資すると考えられるためです。

本件でも、教育委員会宛てに開示請求書を提出された場合には教育委員会に届いている文書についての確認となる旨、学校に所在する文書については直接学校に開示請求書を提出されてはどうでしょうかと、担当指導主事及び開示請求の窓口担当者より事前にご説明しており、〇×様におかれましては、これらの旨をご理解ご了承いただいた上で、なお開示請求書を教育委員会宛てに提出することを選択された(学校から教育委員会への連携状況を把握する目的その他の目的により、「その時点で教育委員会に所在する文書」を確認する趣旨での開示請求をなされた)ものと認識し、対応しておりました。

(原文そのまま、被害側提供)

法務専門官とは、弁護士資格を持つ職員のことである。大田区ではこの法務専門官もスクールロイヤーと言うそうだが、この言い訳は違法である。

教育委員会は学校の設置者として、学校が作成・保存する指導要録や出席簿などの公文書を指揮監督し、取り寄せることができる権限(法的占有)を持っているわけで、学校にある文書は、法的には教育委員会が「保有」している情報となる。

物理的な場所ではなく、法的な権限のことを指すのであるから、「僕の周りに見当たらないから、無いなりー、ある所に行ってくれなりー」はキテレツな暴論であり、公的機関が規則も条例を変えずに、勝手にやっていい事ではないのだ。

さらに言えば、大田区の制度において、区立中学校を管理・設置する「実施機関」は教育委員会そのものであり、個々の学校は独立した実施機関では当たらない。つまり、「不存在」と決定を出したことは、不存在の濫用と言えるわけだ。

結果、こうした法令違反を常態化させていたのではないか?と話をしたら、あっさり、文書を差し出してきたのだが、これをやった2025年以前、誤った運用で誤った案内をして、不存在と決定したり、校長が出さなかったというケースがあったとすれば、地方行政上の大問題になる。

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関連官庁はどう回答してきたか

この件は、すでに大田区長にも教育長にも通知してあるから、きっと改善してくれているだろうと思うが、直しましたという発表は今のところ確認していないので、吹けば飛ぶようなNPO法人の代表理事で、しがない探偵の言うことなど、どうでもいいと思っているのかもしれない。

ちなみに、関連官庁はこう回答している。

実施機関である教育委員会が学校にある文書を取り寄せるなどして開示に応じるものというのがルールです。その区だけ運用が違うというのは、認められません。

選挙で不正がありましたということで大問題となった大田区、選挙は民主主義の根幹であるというのは国民の誰もが知っていることであろうが、公文書も国民の資産と言える民主主義の柱の一つである。情報開示一つにしても、些細な事と片付けていい問題ではないのだ。

第三者委員会ではなかった第三者委員会

さて、この重大事態いじめは大田区教育委員会が第三者委員会を設置して調べるという運びになるのだが、被害側にも懸念があった。被害女子生徒はすでに中学3年生であり、受験卒業の期であった。できれば、卒業するまでには終わらせたいという思いがあったし、当時は2025年であったから、年内は終わらせたいという思いがあった。

そこで、教育委員会からこのような提案があった。

第三者委員会の調査を短期間で迅速に行うのであれば、教育委員会方式で実施するのが良いです。これなら1か月、遅くとも年内には終わります。

確かに多くの第三者委員会ではじめのネックとなるのが第三者の専門家の選任であり、職能団体はその仕事量の多さと時間の消耗、責任の重さに比べて激安の報酬では所属する専門家を推薦できないという新たな問題も浮上してきている。

そこで私は、専門性が認められる専門家を少なくとも1名は加え、設置要綱をもって中立公平性、独立性を担保した上であれば、これに応じても良いと意見した。

受験でただでさえ大変な時期に、通学するのも本来はやめてもらいたいほどに精神的にも肉体的にも激しく疲弊していく被害生徒とその保護者を早く問題から解放できるようにしたいという思いもあった。

しかし、設置された第三者委員会は、大田区教育委員会の指導課の1つの課の課長が委員長というもので、外部専門家はほぼ内部のいじめ問題対策委員会の弁護士(教育委員会直下の委員会)、設置要綱は持たないというものであった。

さらに、このいじめ事件が起きた中学校の校長らも調査対象となったが、この校長は元大田区教育委員会指導課の課長であった。

これでは、部下が元上司を調べるようなものになり、中立性も公平性も担保されないのだ。さらに、第三者委員会と被害保護者の初回面談では、当初に教育委員会担当者から努力目標として提示された調査期間はあやふやにされ、いつ終わるかわからないというのだ。

その上で、この委員会設置は保護者が許可したのだと言い張ったのだ。目の前に、当事者がいる中で、平然と条件を捻じ曲げたのだ。

そこで私は、中立公平性がないなどいくつかの不適切な状況を示し、NPO法人ユース・ガーディアンの代表理事として大田区長や大田区教育委員会教育長などに解散要望を出した。当然、解散要望は被害保護者も被害当事者も要望している。

回答書は第三者委員会委員長の指導課課長から私ではなく保護者宛に届いた。私には、書留で被害保護者に回答書を送ったから見せてもらえ!という内容の文書だけである。

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もはや話をするだけ不毛なのではないか

この回答書は、簡単にいえば、文科省の令和6年改訂いじめの重大事態の調査に関するガイドラインには、教育委員会方式で重大事態調査をしていいと書いてあるからいいんだ。確かに同じ課に所属してはいたが、期が違うし、直接の人間関係はないからいいんだ。文科省が公に認めているんだ。お前専門家のくせに日本語も読めないのかよ。であった。

確かに、令和6年8月の改悪、ガイドラインには、教育委員会方式は認められており、直接の人間関係がなければ、委員になる事自体を妨げられるものではないとされているが、ガイドラインの同ページには、「特別な利害関係」がないことも条件とされている。

これは「もたれあい」「庇いあい」を防ぐ目的のものであり、同課の所属はもはや論を示さずともよい「特別な利害関係」があると解される。

これを読むほぼ全ての方が、私と同意見であろう。もはや論ずるまでもない常識なのだ。

しかし、この回答は教育長も承諾のもとで、私に回答してきたわけである。

ここまで腐っていると、もはや話をするだけ不毛なのではないかと感じてしまうほどだ。

法やガイドラインの判断指針となる衆参国会の付帯決議にはこうある。

三 本法に基づき設けられるいじめの防止等のための対策を担う附属機関その他の組織においては、適切にいじめの問題に対処する観点から、専門的な知識及び経験を有する第三者等の参加を図り、公平性・中立性が確保されるよう努めること。

四 いじめを受けた児童等の保護者に対する支援を行うに当たっては、必要に応じていじめ事案に関する適切な情報提供が行われるよう努めること。

第三者性、中立公平性は最も重要な要素であり、これが欠けた委員会などはそもそもで設置が憚れるものだ。さらに、国会審議においては、中立公平性の視点についても論じられている。

小西洋之参議 「~中略~ その公平性と中立性を確保ということでございますけれども、これはどこから見た公平性か、中立性かということが重要だと思いますけれども、これは衆議院での議論の内容等々を踏まえますと、いわゆるいじめの被害者サイド、そこはもう間違いなく含まれている、被害者サイドから見ても公平性や中立性がしつかりと確保されたようなそういう人選が行われるべきである、~以下略」

笠浩史衆議 「今委員が御指摘のようなことにも十分配慮をしながら、専門の第三者がやはり選ばれるということを期待したいというふうに思っております」

(「いじめ防止対策推進法の解説と具体策」小西洋之著 引用)

つまり、第三者委員会の委員の選定は被害側から見て中立公平が望ましく、設置側から見て中立公平であると勝手に判断してはならず、必ず理解を求めて、説明責任を最大限果たす必要があるというのが、いじめ防止対策推進法の理念であると言える。

さらに事件は起きる。

被害女子生徒が調査委員会の呼び出しを受けて聴取を受けた際に、自死の意思をもって衝動的であったとはいえ非常に危険な行為に及んだということを、被害当事者からすれば全く配慮なく、事実関係の確認だからという一方的な理由で、極めて軽い感じで聞き取りが行われたのだ。

極めてセンシティブな内容を確認する場合、通例、有資格者の心理職の専門家を交えたり、保護者同伴で質問をするのだが、全くそういう配慮は無かった。

多感で最も難しいという時期の女子生徒で、さらに学校の対応不足でいじめの対応がほとんどされない中、第三者委員会の委員が無配慮の質問というのは、当事者からすれば、どうでも良いと思っているのではないか!?という失望と疑念が生じる。

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「ちょとだけ」提供するというカトチャン方式

私はこの相談を受け、再度抗議をしたが、簡単にいえば「うるせーバカ」が回答であった。

調査の進捗情報についても一般に提供されるのだが、スケジュールなども被害側が催促をしてちょとだけ提供するというカトチャン方式で、何をしているのかも不明であった。

ちなみに私は複数の別の自治体の第三者委員会の委員をやっているが、他の第三者委員会が当たり前にやっていることや事前手続き上、当たり前の同意取りなどは、ひとつもされることは無かった。

だから、こういう場合はこうするんじゃないですか?ガイドラインの○○ページに書いてありますよという要望をするのだが、これがあまりに重なると、こういうメールが返ってくるのだ。

大田区ではこれでやってます。

まさにお前はこどものお年玉を奪う鬼親か!である。うちはうち、他所は他所。は家の中だけにしてもらいたい。法律があるのだから。

そしてさらに事件は起きる。

調査報告(答申)のずいぶん前に、被害保護者と校長が話す機会があった。そこで、校長は調査結果を悠々と話し始めたというのだ。

同席した大田区教育委員会の職員が、慌てて話を遮って話題を変えようとしたが、ハッキリと録音に入っていた。

つまり、調査対象であり、対応や指導に大きな問題があるとされた校長は、第三者委員会もしくは事務局など、調査の結果を知る者から詳細な情報提供を受けていたことになる。

これは完全な情報漏えいに他ならず、同席した職員が慌てたのも当然であろう。なぜなら、漏えいした側には地方公務員法における問題ともなり得るし、被害側からは第三者性中立公平性がないと解散要望が出されている第三者委員会である。少なからず漏えいした委員は解任されるのは当然だし、解散要望を裏付ける根拠となる。

これについては現在抗議のための書面を作成しているところだ。

また、調査報告書の受け渡しなどについて、本件の調査組織とも調査主体とも関係がない副校長が被害保護者に連絡をしてきたのだ。

これも厳密に言えば情報漏えいである。

この際も連絡担当の職員が「副校長が誤って連絡してしまっただけ」という理由を述べたが、本来知るはずのない立場の人間が連絡して日程の調整をしようとメールしてくることなどあってはならないことだ。

さらに問題はある。

被害保護者は現在、調査報告書を受け取ってはいるが、これは郵送で受け取ったものだ。説明しますという案内があったが、この説明とは、連絡担当の調査とは関わりがない職員が、調査報告書を読み上げるというものだった。いわゆる朗読会である。

一般にこれを説明とは言わない。なぜなら読めばわかる内容を、誰かに読んでもらったらその背景までわかるという魔法は使えないからだ。そして、これを時間の無駄という。

被害保護者は、報告書の記載に誤りがあるので、確認したいことがあるとしていた。

結局、この第三者委員会の報告書は、中間報告もなし、進捗情報も問い合わせてもちょっとだけのカトチャン方式であった。当然に誤りがあっても修正する術がない。そもそも連絡役の職員は被害当事者の名前を間違え続けていたレベルなのだ(当事者の氏名の誤りは、あまりに失礼なので、私から訂正した方が良いと連絡した)。

当然に、第三者委員会の委員のいずれかが少なくとも1人は説明すべきことであろう。

しかし、この段においても、ガイドライン(文科省のいじめの重大事態に関するガイドライン)には、そうは明記されていないという理由で、連絡役の職員と記録係で対応しますと強行したのだ。

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「仕事をしている人は年度末でも休んで来い」の横暴

ここで、読者の方には、そんなの断っちまえ!と思う方もいるだろう。しかし、それをやると、被害保護者が説明を拒絶したのでやりません。ハイ終わり。になってしまうのだ。

教育委員会は独立した行政委員会であり、行政であるから社会の基盤の安定のためにも「無謬性」(間違ったことはしませんよ)「公定力」(違法でも誤りと確定するまでは合法)という権力を持っている。

こうした権力横暴が横行する中、権力監視機能が形骸化しつつあると言えるのが今現在なわけだ。例えば民間であれば倒産するか2秒でわかる誤りが、わざわざ裁判をして司法判断をしてもらわないと頭すら下げないし、頭を下げるにしてもテレビ画面の中だけで、当事者には謝らないし、改善しますと計画を打ち出しても世間の熱が冷めれば、やっぱ面倒だから、形だけやったということにしておこうで終わらせてしまう。

だから、被害保護者も私も調査報告書においては酷い書かれようだし、アホ扱いされても、ここはグッとこらえて交渉手段は残しておく方が得策なのだ。

ちなみに、ガイドライン上では確かに事務局なり第三者委員会の設置者が説明をしてもよいことになっている。しかし、ガイドラインは設置者に説明義務を課しているという意味であり、調査の実質的担い手である調査組織が説明を行わない場合、設置者による“適切な説明”は構造的に不可能に当然なるから、書くまでもなく理解できますよね、というのが、みなまで書いていない理由である。

立話しに過ぎないが、ある記者会見の際、いじめ防止対策推進法にかかわった文科省の職員とあった。その際、同様のトラブルがあったので、訊いてみたのだ。すると、驚いた表情で、こう言った。「阿部さん、いつもそんなの相手にしているんですか?仰る通り、適切な説明とは、その通りです。いやー、大変ですね。そんなバカ、いや失礼。そういう人たちがいるんですか…困ったものですね」と。

コーヒーメーカーの説明書に挽いたコーヒー豆と書いてなかったから、豆を入れずに水を入れてスイッチをオンした。お湯が出た。でもコーヒーメーカーで作ったから、これがコーヒーです。完成品なのでお代いただきます。と同じである。

ハリセンと法律が許すならフルスイングで月のかなたまでさよならヒットをかましたいと思う人もきっといることだろう。

この説明でわかったことは、第三者委員会は令和7年9月18日から令和8年3月26日までの調査期間としているが、事実上の調査は令和7年12月4日が最後になっている。

また、説明を受けた令和8年4月の段階では、すでに解散しており、当時委員長であった大田区教育委員会所属の課長は比較的環境の良い同管轄の小学校の校長になっているということだ。

また、調査報告書の説明がしたいという連絡が来たのは3月中頃であり、説明提案したい日程は3月月末の平日5日程提案されていた。日程は3月月末の平日5日程提案されていた。いずれも日中にということで、仕事をしている人は年度末でも休んで来いというかなり乱暴なものであった。

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敢えて被害保護者に説明をするのを避けた委員

さらに冒頭の一文である。

教育委員会全体でその中に外部委員を入れたかたちで調査委員会を組んでいるので、本調査委員会は「第三者委員会」ではございません。

何と第三者委員会ではないことを認めてしまったのだ。

開いた口が塞がらないというのはこのことだ。いくら詭弁を重ねても、この最後の一文は、ある種の納得と徒労感で押しつぶされる感覚に陥る。

そして、お気づきの方もいるだろう。

委員の大半は大田区教育委員会所属の指導主事や法務相談員である。だいたい年末から1月頃には人事異動の先がわかるものだが、敢えて被害保護者に委員が説明をするのを避けたと言わざるを得ないのだ。

また、時期的には、令和8年1月には報告ができたはずだ。これがなぜ年度末に報告したかったのか、所属委員が報告日に在所しているのに説明しなかったのか。

もうやりたい放題なのだ。

いわゆる不適切な対応を繰り返し、最後まで不適切かつ不誠実であったというわけだ――(『伝説の探偵』2026年4月9日号より一部抜粋。続きをお読みになりたい方はぜひご登録ください。初月無料でお読みいただけます)

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社会問題を探偵調査を活用して実態解明し、解決する活動を毎月報告。社会問題についての基本的知識やあまり公開されていないデータも公開する。2015まぐまぐ大賞受賞「ギリギリ探偵白書」を発行するT.I.U.総合探偵社代表の阿部泰尚が、いじめ、虐待、非行、違法ビジネス、詐欺、パワハラなどの隠蔽を暴き、実態をレポートする。また、実際に行った解決法やここだけの話をコッソリ公開。
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