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再認識されるニッポンの価値。なぜ「日本のリユース品」は海外で売れるのか?

自然保護等の観点からも世界中で推奨されているリユースですが、その効果は「地球環境に対する優しさ」といったものだけにとどまらないようです。今回のメルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』ではWebメディア『ECのミカタ』元編集長で株式会社「team145」代表取締役石郷学さんが、日本のリユース品をタイの首都バンコクで販売する企業の取り組みと、同社の代表がその活動に込めた思いを紹介。さらにそこから石郷さんが感じるに至った「リユースが持つ想像以上の意味」を綴っています。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』2021年8月23日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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リユースが海外に渡ると日本の価値が再確認される理由

海外展開でリユースが果たす役目

ものの価値は中古品で回遊して、世界を駆け巡って結果、日本の魅力を実感させる。ルーツ・オブ・ジャパン代表取締役 湊 源道さんによる“海外”の話を耳にして、そんなことがあるんだな、と僕は思いました。

ルーツ・オブ・ジャパンは北海道を拠点に、リユースに絡む事業をやっています。それでリアルのお店「モノココ」を運営していて、でも湊さんが話していていたのが、日本でのリユース商材が海外に渡る話。そこに込められた想いなんです。

その前に、どういう風にして中古品が海外へと渡っているのか、そこから見ていこうと思います。この会社では札幌から江別の中間地点に2,000坪もの敷地を手に入れて、この一部を「買取センター」にしています。貴金属や雑貨など様々な商品を、大体1kg60円で購入して、そこに集められて、ここを拠点にして海外へと渡っていくのです。

タイ王国のバンコクの地へ

海外で言うと、どこに運んでいるんですか?って言うとタイ王国のバンコクです。バンコクでも「モノココ」は展開されていて広さは630坪。月間40t以上もの中古品が海を越え渡っていくのだそうです。

写真の通り広大な敷地内を湊さん自身が歩いて立ち止まった建物の前で「ここでバン詰めをするんです」と話し始めました。

バン詰め?それは「コンテナの中に物を詰め込む作業」のことです。コンテナってどのくらいの大きさかというと長さ12m、幅2.4m、高さ3m弱。これを使って海外の輸送で30万円から40万円程度の送料を支払うんですね。コンテナ1台あたり、150万円程度相当の中古品が入っています。そうやって、利益を出しています。

ちなみに、バンコクのお店で販売される価格はその3から4倍程度になって、各々利益が生まれる構造が構築されています。

どういうのが売れるの?というと、特に一昔前の「婚礼家具」です。それは職人の手により一点一点、作り込まれているから、現地でも価値あるものとして受け入れられるわけで、そりゃ納得。

それがいくらで売れる?って話ですが、例えば3枚扉の食器は8,400バーツ(日本円にして、2万9,400円)と単価の水準も高いのです。

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思わぬものも売れていく。決めつけないことの大事さ

仕分け拠点となる事務所にも潜入すると実に様々なものがあります。「え?このようなものも買ってくれるんだ?」という掘り出し物で言えば、例えばこちら、かつらです。

その他、仏壇も売れるそうなんです。中にブッダを入れるわけではなく、家の置物としてバンコクの人達は購入していきます。

最近では、北海道を拠点としていて札幌の「モノココ」円山店にも旗艦店があるので、そこの商品をライブ配信するのだそうです。見るのは、このバンコクの常連客。伝わるように、日本でバンコク人を雇い、その言語で話してもらうのです。

画面を通して、常連客はそれを欲しいと思えば購入手続きをします。ここで、さっきのコンテナを使うんですよね。

元々バンコク店で売るために大量に輸送していますから、それを一緒に入れて、受け渡しを現地でするんです。賢い。

なぜバンコクで売ろうとしたの?

さてルーツ・オブ・ジャパンの湊さんは、国内だけではなくなぜに海外まで進出して、そういうことをしているのか、というと、まさにそれが社名に込められているわけです。

バンコクというのは東南アジアでもハブの場所であって、世界中のバイヤーなどが集まる地域で、この地は彼にとっても念願だったと。

彼には「リユースのネットワークを世界に広めたい」という想いがあったから、バンコクに集まる世界各国のバイヤーの気持ちを掴み取って、そこから日本の良さを伝えていければ、と思ったというわけです。

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日本の誇りを知らしめる リユース

すごく僕が印象的だったのは「普段、日本で生活して、当たり前になっているけれど、身の回りにあるものは世界一だらけなんです。特に、僕たちの一つ前の世代までは、本当に優れたものばかりだったので、それを捨てると言うのはもったいないこと」という湊さんの言葉。

ノコギリなどは今、ヒットしているそうですが、でも最初は売れませんでした。しかしお客様に「それはひいて使うものなんですよ」と伝えると、そこに感動してそれが現地で広まって売れるようになったというわけです。

だから、真摯に現地の人と向き合い、その価値を紐解く。僕はそこで思ったんです。日本の商品の価値は、日本人が決めるものではなく、ちゃんと用途を伝えたりしていけばもっと伸び代があるという事。

そして、実はそれによって新品を買いたいという声が出てきているという事実もあるそうです。だとすれば、まわりまわってそれを作って職人さんに仕事をもたらしているのですよね。

単純に、SDGsの文脈だったり、廃棄するのは勿体無いというレベルだけではなく、商品に付加価値を与える存在としても「リユース」って意味があるのだなと思った次第です。

※ 本記事は有料メルマガ『週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版』2021年8月23日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込962円)。

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image by: 週刊145マガジン「腹割って話そうぜ!」まぐまぐ!出張版

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