流通や買い物の歴史を大きく変えたネット通販最大手のアマゾンが、ここ数年でリアル店舗を出店する戦略を明確にし大きな話題となっています。その裏にはどんな意図があるのでしょうか。今回のメルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』ではMBAホルダーの理央 周さんが、先日ニューヨークにオープンしたスターバックスコーヒーとのコラボによるレジなし店舗を紹介しつつ、アマゾンの狙いを分析。そこから見えてきたのは、「究極の顧客視点」を重視する同社の姿勢でした。
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なぜアマゾンは、リアル店舗を広げる戦略なのか?~スターバックスとアマゾンのコラボでのリアル店舗
スターバックスのレジなし店舗が、アマゾンと共同で、ニューヨークで第1号店としてオープンしました。
前々から噂されていたのですが、レジの行列に並ばなくても買い物ができるアマゾンの技術を使って、これを可能にしたとのこと。
もともと数年前に開発したアマゾンゴーという店舗では、あらかじめアプリを入れておくと、その店に入り、商品を自分のバッグなどに入れて、レジを通ることなくそのまま店を出れば、その時に自動的にアプリ上で支払いまで終わっている、という仕組みでした。
フォーブスによると、この新しい店舗では、コーヒーを買いたいスターバックスのお客様が、モバイル注文を受け付けている他のスターバックスの店と同じ様に、事前にアプリで欲しいメニューを注文します。そして、そのあとに店に入ればすぐに商品を受け取ることができる、ということです。
この店に入る時には、スマホに入れた、アマゾンゴーのアプリをスキャンする(これには手のひらで個人を識別する、生体認証システムがあるそうです)「アマゾン・ワン」という仕組みを使うか、またはクレジットカードを利用して入店するとのことです。
品揃えは、スタバのメニューだけではなく、アマゾンゴーの商品も並んでいるそうで、朝ごはんや、ベーカリー、サンドイッチなど、メニューの選択肢も多そうです。
さらに、この店には、ちょっとしたワークスペースと、電源コンセントとUSBポートがある大型のテーブルがあり、短時間で買い物を済ませたい人だけではなく、座ってゆっくりしたい人のどちらにも対応できる、というお店だそうです。
アマゾンにとってもスタバにとっても話題性もあり、お客様への利便性も提供できる、三方よし、といった仕組みですよね。
私もスタバのコーヒーが好きなのですが、そこにさらに一緒に食べられるもののバリエーションが増える、となると、一度寄ってみたいな、という気持ちになります。
各種報道によると、「レジなし店舗は、少なくとも3カ所に開設することが決まっていて、2店舗目は来年、ニューヨーク・タイムズ・ビルディング内に開業の予定」とのことです。
先日も、アマゾンのアパレルのリアル店舗、「アマゾンスタイル」が2022年末に、ロサンゼルスにオープンする、と報道されました。
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数年前から、アメリカでは書店や、ネットで売れているランキングの人気商品を集めた店舗を、アマゾンはリアル店舗として出しています。
そして今回は、このスタバとのコラボ店に加えて、アマゾンスタイルという服屋さんのリアル店舗を追加します。
スタバとのコラボ店では食材などを、アマゾンスタイルでは服を売りたいのでしょうが、狙いもいくつかあるはずです。
まずは、どんなお客様がどんなものを欲しいのか、という顧客の購入のデータの入手です。ネットとリアルでは買うものや使う金額も違うため、その傾向を知ることで次のサービスに活かせます。
また、ネット通販は触ること、試着することができないのが弱点です。なので、そこを補うこともできます。
人が何かを買う時に、探して、買って、受け取る、という行動をとります。
この一連の流れの中で、人は、「今回は絶対ネットで買う」などと決めず、ネットで探してリアルで買って、自宅で受け取る、などと、自分に一番マッチした方法を選びたくなる傾向にあります。
食品は、その場の雰囲気も合わせて、特にこの傾向が強くなります。
今回のスタバとのコラボ店舗も含めたリアル店舗を出店する取り組みには、このような狙いがあるのでしょう。
真の意味での「オムニチャネル化」です。
オムニチャネルとは、「全てのチャネルで売る」という意味ではなく、このアマゾンが狙うように、「どこででも便利に買えるようにする」という顧客視点のものなのです。
その意味でも楽しみな、アマゾンのリアル店舗出店戦略です。
(※本記事は、メルマガ『理央 周の売れる仕組み創造ラボ【Marketing Report】』2022年1月25日号の一部抜粋です。続きをお読みになりたい方は、ご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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image by: Ameer Mussard-Afcari / Shutterstock.com