文在寅大統領夫妻が各国大使らに贈った旧正月のギフトセットの箱に島根県竹島の絵が描かれており、日本大使館は受け取りを拒否し抗議したと報じられています。年明け以降ミサイル発射実験を繰り返す北朝鮮といい、ちょっと面倒な隣国とはどう向き合えばいいのでしょうか。今回のメルマガ『NEWSを疑え!』で軍事アナリストの小川和久さんは、北朝鮮への米国のクールな姿勢を例に、恋愛の法則で臨むべきと、外交の手ほどきをしています。
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「頭を使う朝鮮民族」の手練手管
またもや韓国の大統領が子供じみたことをやってくれました。
「韓国の文在寅大統領夫妻が各国大使らに贈った旧正月のギフトセットの箱に、韓国が領有権を主張する島根県の竹島(韓国名・独島)とみられる絵が描かれ、相星孝一駐韓大使にも届いていたことが21日、分かった。日本政府関係者が明らかにした。
在韓国日本大使館はギフトセット受け取りを拒否して返送。韓国側に強く抗議し、竹島の領有権に関する日本政府の立場を改めて伝えたという。
韓国大統領は、旧正月や中秋節『秋夕』の際に国内の各層や韓国に駐在する各国の官民の関係者に、各地の特産品を贈っており、今回は約1万5千人が対象となっている」(1月22日付共同通信)
各国に独島(竹島)は韓国の領土だとアピールするとともに、日本の反応を見ているのは明らかです。それでも、絵の横に言葉を添えて領有を主張していないところを見ると、自分たちの主張が国際的に受け入れられるかどうか自信がないこともわかります。
こんな韓国、特に韓国政府と向き合うにはどのようにすればよいのでしょうか。適切な表現かどうかわかりませんが、「恋愛の法則」で臨むのが有効かと思います。
昔から、そして洋の東西を問わず、男心も女心も「逃げれば追い、追えば逃げる」とされてきました。ここは日本としても韓国の子供じみた挑発に乗らず、クールにあしらい続けるのがよいと思います。韓国側から歩み寄ってくればよし。そうでなければクールな姿勢を崩さずに行けばよいのです。その意味で、日本の大使館がギフトセットを突き返したのは正しいやり方だと思います。
当然のことながら、韓国も北朝鮮も、朝鮮民族のメンタリティは同じです。北朝鮮が核兵器と弾道ミサイルを振りかざしてアピールするのは、米国を振り向かせて、金正恩体制を転覆させないと保障させる目的があるからです。それに対して、米国はあくまでもクールです。首脳会談を実現したトランプでさえ、ベトナムのハノイでは金正恩の期待を一瞬にして打ち砕くような冷淡さを見せました。バイデン政権になって1年が経ち、米国側に歩み寄る気配がないとみるや、北朝鮮は新型弾道ミサイルの連射でアピールを再開しています。
このような北朝鮮と米国のやり取りは今後もしばらくは続くと思われます。米国はクールな姿勢で北朝鮮がすがりついてくるのを待っているのです。
政府関係で日本側がクールに対応し続けたとしても、経済を中心とする民間の関わりは続いていかざるを得ません。それは韓国側も同じです。日本企業を閉め出して韓国企業の首まで絞めることは考えられません。
ここで思い出されるのは、長い付き合いのある韓国の軍人の言葉です。
「朝鮮半島は面積も狭く、人口も限られている。われわれ朝鮮民族が生き延びていくには頭を使う以外にない。北朝鮮はとことん知恵を絞って生き延びてきているのです」
日本の外交が、北朝鮮だけでなく、韓国にも有効性を示してこなかったのは、案外、「頭を使う朝鮮民族」の手練手管に翻弄されているからかも知れません。韓国側の出方に腹を立て、罵るだけでは、相手と同じレベルになってしまうことを忘れないようにしたいものです。(小川和久)
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