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池袋「パパ活」殺人は氷山の一角。実質“売春”に走る少女たちの心の内

実質的に援助交際と何ら変わりはなく、数年前から社会問題となっているパパ活。「NPO法人若者メンタルサポート協会」理事長・心理カウンセラーとして多くの若者や彼らの家族の心を救い続ける小杉沙織さんによると、「相場」は以前に比べて安価になっているといいます。それでも身を売ってしまう少女たちが後を絶たないのはなぜなのでしょうか。小杉さんは今回、自身のメルマガ『小杉沙織の「生きづらい子ども若者の気持ちが手にとるようにわかる方法」』で、彼女たちがパパ活に走らざるを得ない理由を解説するとともに、大人たちに対してそのような若者との接し方をアドバイスしています。

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パパ活をする若者の心理と現状

ニュースや事件から見えてくる子ども若者の心理

先日、池袋のラブホテルで20代の女性が、82歳の男性をカッターナイフで刺し殺すという事件がありました。

この女性が、パパ活をしていたということから、先週は取材の依頼がいくつか私の元にも来ており、今朝のフジテレビ『めざまし8』でもコメントが放送されました(取材の関係でこのメルマガ配信が遅れましたことお詫び申し上げます)。

パパ活というと、とてもライトなカジュアルなイメージに聞こえますが、ほぼ援助交際と何ら変わりはありませんし、今の若者は同義語で使っています。

取材では違いを聞かれましたが、明確な線引きはなく、現在ではどちらも身体を提供して金銭を得ると言うものだと思ってもらっていいと思います。

時々、食事だけで金銭をもらうという女の子ももちろんいますが、男性サイドは当然ながら食事だけで満足しないですし、1~2回は快諾しても最終的には肉体関係になりたいわけなので食事だけのパパ活が継続することもまずありません。

ある意味、援助交際でもあり、売春でもあるパパ活ですが、言葉のカジュアルさも相まって、手軽で身近なものになりやすくもなっています。

取材などでもいつもお答えしていますが、ひと昔前よりも安価になっているのも最近の現状ですし、高校生で1~2万円というのが相場です。

そう言う意味では自分を安売りしている子が多く、やはり自己重要感の低さを感じます。

もちろん背景には、「自分は親から愛されていない」という寂しい家庭環境があり、親御さんとの関係性に問題がある子がほとんどです。

自己重要感が低いため、自分を安売りしてしまうし、そもそもお金と引き換えに身体を提供するということをしているわけですが、そこには「寂しさ・孤独感」が根底にある子がほとんどです。

実際に私の元に相談に来ていた女子高生は、「両親が不仲で、母親がいつもため息をついている。それを見るのも聞くのも辛いから週末は援交してる」と言う子がいました。

もちろんお金にもなるという一石二鳥な部分もありますが、一番は「誰かと居たい」「誰かにいて欲しい」という気持ちからしている子がほとんどでした。

そして、今回の池袋の事件では、後ろに男性が二人ついていました。

加害者である女性が貢いでいた兄弟だそうですが、こんなふうに女性にパパ活を斡旋している男性がいるのも事実です。

きっとこの女性も家庭環境に何かあったと思いますし、居場所がなかった女の子なのだと思います。

パパ活をしてお小遣い稼ぎをしている子のほとんどが、自己重要感が低く、自分に価値を感じられていないということ。

そして、心の奥で誰か優しく抱きしめてくれる人をずっと求めている子であるということ。

その心理を周りの大人がしっかりと理解して、ただその行動を止めるだけではなく、本当にその子が求めているものを理解するという気持ちで接して欲しいと思います。

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今の若者の現状と代弁

私たちの元には本当にたくさんの若者から相談が寄せられます。

コロナ禍では、前年よりも2倍近い相談が届きましたが、やはり多くは家庭環境が問題で居場所がどこにもない子たちからの「死にたい」という悩みです。

虐待ももちろん一定数(だいたい全体の約3割ほど)ありますが、虐待までいかなくても、両親の不和や、親がまったく気にかけてくれないものや、兄弟の差別など様々です。

そんな中で、虐待ではないことから、周りの大人たちに「大したことじゃない」と決めつけられて理解してもらえず苦しんでいる子も多いのが現状で、実際に辛くてリストカット(自傷行為)をしている女子高生は、スクールカウンセラーから「甘えてるんじゃない?」と言われたり、「お父さんもお母さんも頑張ってるんだから」と言われた子もいます。

当然ながら、そんなことを言われた子は傷つき、誰も理解者がいない状況に、さらに辛くなり死にたくなるということも起きています。

たとえ虐待はなくとも、家に帰ったら両親が喧嘩していたり、母親がいつもため息ばかりついて食卓も会話がなく、何かあると怒られる…という毎日だったら、大人だってしんどくなります。

ましてや、高校生とはいえ、まだ思春期で親からの愛情が必要な年代です。

成人し、親から巣立つ前の大事な段階で、家に居場所がなく、親から毎日冷たく扱われる環境にいたら、誰でも自己重要感も低くなりますし、敏感な世代の10代からしたら、そんなに辛い環境はありません。

だけど、そこを本当に理解してくれる大人が意外に少ないのも事実で、学校の先生、スクールカウンセラー、心療内科の先生など、本来親身にその相談に乗るはずである大人から「甘えてるんじゃない?」というような、まるで「あなたが悪い」と言われているような言葉を投げかけられたら、心が折れて当然です。

ちなみに、虐待に遭っている子がスクールカウンセラーから「親も頑張ってるんだよ」と言われたというケースもありました。

そんなふうに、その子の気持ちや実情を知ろうとしたり、聞こうとせずに、一方的にジャッジをして、その子にアドバイスや意見をする大人がとっても多いのも現状で、そうしたことから余計に子どもたちが大人を信じられず「大人不信」「人間不信」になっている子も多数存在しています。

だけど、心の奥では「誰かを信じたい」「誰かに気にかけてもらいたい」「誰か信頼できる大人に出会いたい」と叫んでいます。

そこに大人たちがしっかりと気づいて、声をかけ、理解し、気持ちを受け止めるということが何よりも今の時代は必要だと感じます。

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生きづらさを抱えた若者の対応方法

以前も一度書いたことがあるのですが、新しい読者の方もいらっしゃるのと、時々「自己重要感とはどういう意味ですか?」というご質問をいただくので、改めて私がお伝えしているこの「こころの定義」についてお話を…。

今日は私の講座ではよく出てくる「自己重要感」「自己肯定感」「自己受容」ということについてお話しさせていただきます。

一般的に「自己重要感」「自己受容」という言葉の定義にはっきりとした決まりはなく、「自己肯定感」はWikipediaでは「自らの在り方を積極的に評価できる感情、自らの価値や存在意義を肯定できる感情などを意味する言葉であり、自尊心(英語 self-esteem)、自己存在感、自己効力感(英語 self-efficacy)、自尊感情などと類似概念であり同じ様な意味で用いられる言葉である」とされています。

総合して、自分自身に対する感情を指していますが、私たちの講座ではあえてきっちり定義づけすることで、心理学をより伝えやすくしています。

今日は、その自分に対して使う心理の言葉の定義から「自己重要感」について、お伝えしますね。

まず、この図をご覧ください。

私たちの講座では、この図をオリジナルの定義としてお伝えしているのですが、真ん中にある「自己重要感」は無意識的なゾーンにあり、定義は「自分を大切だと思う気持ち」「今自分に価値を感じられている」とあります。そしてその下に「現在」とあります。

「自己重要感」とは、今その瞬間、自分に対して価値を感じられているかどうか?というもの。

丸く浮かんでいますが、その都度上がったり下がったりするものだと思ってください。

今その瞬間自分を大切に価値を感じられているか?という定義を私たちは「自己重要感」としています。

一般的には自己肯定感が同じ意味で使われることがありますが、私たちは「自己重要感」として定義しています。

そしてこの「自己重要感」は、その時々で上がったり下がったりするように、その都度起きた出来事や状況で変化するものでもあります。

もちろん、中には確固とした揺るぎない「自己重要感」を持った人も居ますが、人間ですからどんなに自信に満ちている人でも、時にはこの「自己重要感」が下がる時もあるもの。

そして、悩んでいる人やご相談にいらっしゃる人はこの「自己重要感」がほぼ全員下がっています。

ただ、「自己受容」を完了させて、自分を大切に愛せている人はよっぽどのことがない限り、この「自己重要感」は高い状態を常に保てるようになり、それが「自分軸」になったり、自分を深く信頼できる「自信」になったりしています。

世の中の人たちがみんなこの「自己重要感」を高く保てたら、私は犯罪も戦争も起きないと思っているくらい、個々の人間にとってこの「自己重要感」を真に高くキープするということは大切なことだと思ってます。

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そしてこの「自己重要感」は、同時に「自己受容」もある程度完了していないと、高く保つことはできません。

なぜなら過去に癒えてない傷やトラウマなどの体験がある場合、その出来事に対する感情をきちんと向き合って、癒し手放す作業をしていないと、今現在の自分に対する価値にも直結するからです。

どういうことかと言うと、過去のまだ癒えてない傷やトラウマなどの体験に対して、今でも「あの時辛かった」「あの時辛かったのは親のせいだ」「あの時自分が悪かったんだ」という感情があるということは、今でもその出来事、その相手、その時の自分を許せていないということ。

自分自身を許せていないということはもちろん、それがたとえ過去のことであっても、自分自身に十字架を背負わせているということです。

そして、たとえ自分ではなく出来事や他人に対して許せていないということでも、それは同時に自分自身に対しても無意識に怒りの矢印が向いているということでもあります。

「怒り」は二次感情であり、その感情の裏には、何かしらの感情があるから。

たとえば、「デブ!」と言われて傷ついた人がいるとします。傷ついただけでなく、怒りも湧いてムカついたとします。でも、それは「デブ」と馬鹿にした人に対して怒っただけで、自分に対しては何も思ってない、と本人は意識的には感じていても、実は無意識でそんな自分を許せていません。

どういうことかと言うと、痩せすぎで悩んでるくらいガリガリの人がいたとして、その人にいくら「デブ!」と言っても、その人は傷ついたり怒ったりしません。「え、私?」くらいに思うはずです。

要するに「デブ」と言われて傷ついたり怒りが湧くのは、誰よりも自分が自分に対して「デブだ」と思っていて、太っていることを気にしているからということ。

過去の体験でも、今の体験でも、何か傷ついた体験や出来事があり、それを今でも癒せず許せずいた場合、まだそこには許せない自分の何か?気にしている何か?があるということです。

「自己受容」をするということは、今の自分に対しても受容ができるということ。

「自己受容」をすればするほど、同時に過去の自分にも今の自分に対しても受容(許す)ということができるわけです。

今、自分に対して価値を感じられているか?いつでもどんな時でも心から「イエス!」が言えるようになりたいですね!

次回は、図の定義の「自己肯定感」について解説しますね!

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image by: Samuel Ponce / Shutterstock.com

小杉沙織この著者の記事一覧

NPO法人若者メンタルサポート協会理事長、株式会社Tell Me Agency共同代表、若者心理アドバイザー 幼少期からの壮絶な人生を乗り越えた経験から、2012年より10代の若者の無料相談活動を開始、2015年NPO法人若者メンタルサポート協会を設立。 団体には様々な環境で生きづらさを抱える若者から月に2~3万通を超える相談が寄せられ、思春期の若者の心の専門家としても活動。公式ブログで人生を変えるメッセージを発信する傍ら、波瀾な生い立ちも赤裸々に公表し、人生を変えたいと願う人からも多くの反響を呼ぶ。講師・執筆・ラジオMCなど幅広く活動。めざまし8のコメンテーターをはじめ、多くのメディアにも出演。 著書「あなたは何も悪くない(サンマーク出版)」

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【著者】 小杉沙織 【月額】 ¥1,078/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1日曜日・第3日曜日

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