人の親たるもの、我が子にマイナスイメージがつきまとう名前などわざわざ付けたくないものです。今回、ヨーロッパにおいて忌み嫌われている名前を取り上げているのは、歴史学者で日仏交流に情熱を注ぐ世川祐多さん。世川さんは自身のメルマガ『パリ大学博士・世川祐多のフランスよもやま話』で、今や西洋ではまず見かけることがない名を紹介するとともに、ロシアのプーチン大統領のファーストネームでスラブ圏ではポピュラーな「ウラジーミル」という名前の今後について、思うところを綴っています。
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止め名になるかウラジーミル
西洋には止め名になった名前がいくつもある。
代表的なものがやはりアドルフとベニートだ。例の髭の人のせいで悪名になってしまったAdolfの名は、フランスでもAdolpheとしてかつて見られた名前で、1908年には593人の男性に名付けられた。
流石に今は忌避されており、この名前の人を見ることはまずない。
イタリアでもベニートは止め名となっている。これはフランス語ではブノワ(Benoît)となるが、今でもたくさんのフランス人に名付けられている。アドルフの場合とは異なり、響きが違うからであろう。
止め名ではないが、かつて日本で悪魔ちゃん命名騒動があった。このように、フランスでもとんでもない親が奇想天外な名前を子につけようとして差し止められることがあり、日本同様デーモンくん・ヌテラちゃん(イタリアの食用ナッツクリーム)・MJ(マイケルジャクソン)という名前が差し止められている。
ちなみに、このMJ君となるはずだった子供は、妥協策としてミドルネームにビリージーンのJeanと命名されたそうだ。フランス風に読めば「ジャン」になってしまうが、「ジーン」と読ませるのであろう。
とはいえ奇想天外なおかしすぎる名前は付けられない。
昨今悪名を轟かせているウラジーミル。この名前はスラブ圏においてありふれた名前のようだが、どうなるだろう。
少なくとも、ウクライナではこれ以降名付けられることはなくなるのだろう。
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image by: Ben Von Klemperer / Shutterstock.com