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「高級食パン」はもうオワコン?ブーム業態で生き残る正しい戦い方

一時期、大人気だった食パン専門店ですが、今年に入ってからネガティブな話題が多くなっています。そんな食パン専門店にフォーカスしながら、ブーム業態について語るのは、船井総合研究所でかつて史上最年少にてフード部のマネージャー職を努め、現在は京都にて外食・中食業態を複数経営する堀部太一さん。多くの企業のサポートもする堀部さんは今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』で、どんな業種・業態でも参考になる「ライフサイクル」を軸にした考え方でブーム業態の生き残り方を分析しています。

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食パン専門店は本当にもうオワコンなのか?

数年前はもてはやされた食パン専門店。しかし今年に入りネガティブな意見が目につくようになりました。この辺りが代表的なものでしょうか。

ちょっと前までブームだったのに、なぜ「高級食パン」への風当たりは強いのか
高級食パン店の淘汰が始まった理由、小麦価格の17%値上げがとどめを刺すか
ふわふわで甘い「高級食パン」ブームに翳り 半年と持たず閉店する店舗も

本当に食パン専門店は駄目になったのか?普段ご支援先で話している内容や、ご支援先の取り組み含めてまとめて見ました。食パン専門店に限らず、今後も繰り返されるブーム業態に対する参考になればと思います。

■ライフサイクルで考えよう!

どんな業種・業態においても必ず、「ライフサイクル」というものが存在します。大雑把に分けると4つのフェーズですね。

・導入期
・成長期
・成熟期
・安定期

それぞれのフェーズで戦い方は大きく変わります。まずはそれぞれを解説していきます。

■導入期の戦い方

・新しい事業が始まったとき
・新しい産業が始まったとき

本当に売上を作るのって大変ですよね。売上が上がったとき、現金が入ったとき。その時の喜びって格別です。

そもそも「新しい」という事は「認知がない」という事。認知がないにも関わらずガツガツ販促をすれば…それはやっぱりコケますよね。ここで無駄なコストをかけてしまう企業が多いです。

「認知がない」ということは、ここでの戦い方は「PR活動」です。

・第三者に紹介してもらう
・権威に紹介してもらう

今はインフルエンサーマーケティングが当たり前になったことでここのハードルがぐっと下がったのは有難い限りです。

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■成長期の戦い方

ビジネスをやっていて楽しい時期です。食パン専門店だと3年前~5年前くらいでしょうか。

・店を出せば出すほど儲かる
・販促すればする程人が来る

やることなすこと上手くいくので、万能感を感じちゃう人もいます(勘違いなので気をつけましょう…)。

ここでは基本的に「攻め」が中心です。その中の「守り」として次のフェーズである「成熟期」と「安定期」の戦略を準備してきたかどうか。ここで差が出てしまうところです。ちなみに食パン専門店もそうです。

<NGな企業>

食パン専門店が流行ってる!と聞いて参入(そもそもその段階で成長期後半で遅い)。

競合も乱立することで差別化ポイントがない。立地選定もあまく商圏人口が足りない。

損益分岐点を上回ったのは最初の2ヶ月くらい。それからはずっと赤字なので撤退…。

このパターンはブーム業態の撤退あるあるです。こうならないように次のフェーズを見ていきます。

■成熟期の戦い方

競合だらけです。そもそもどんな事業にも適正な人口数があります。その適正な人口数に対して店が多すぎる状況。その中でも勝っていく企業って何でしょう?ふわっとした表現で言うならば「本物」しか残らなくなります。

・商品力が競合よりも良い
・接客力が競合よりも良い
・価格力が競合よりも良い

中心となる商品・接客・価格力がそれぞれ、「圧倒的に競合よりも勝っている!」と言う状況にしていかねばなりません。

タピオカでもパンケーキでも焼き鳥でもバルでもとんかつでも唐揚げでも。一気にブームがきて、一気に去っていきます。そして話題にもならなくなります。

しかし。全てがいなくなったか?決してそうではなく、「あそこは安定して繁盛しているよね」そんなお店が必ずあると思います。ブームだっとしてもこの基礎力が重要になります。

ちなみにこれからくる消費者物価の高騰による飲食離れにおいて絶対に強化すべきなことは「失敗しない」と言うことです。

どうせお金を使うなら失敗したくない。そんな時に「地域一番店」ほど強いものはありません。そこを実現するために、上記3点の基礎力は徹底して競合を包み込んでいく必要があります。

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■安定期の戦い方

・ニッチ一番
・CRMを強化

この辺りになります(食パン専門店に関しては既にニッチ一番な思想なのでここから更に細かくと言うのは難しいです)。わかりやすい部分だと、

・総合居酒屋から焼き鳥専門店
・総合ベーカリーから食パン専門店

このような感じです。

CRM強化に関してはアフターフォローとえこひいきです(CRM=Customer Relationship Management)。

お客様と仲良くなるために何ができるか。これはいつも議事録で書かせて頂いている部分です。

■ライフサイクルのまとめ

ここまでの部分でも既にピンと来られたと思います。

「食パン専門店」と一括りにすると、成長期から成熟期への淘汰が始まっています。だからこそ撤退企業・店舗が目立ちます。

しかし。そんな中でも安定して収益を上げている食パン専門店の特徴は、

・基礎力が強い(商品・接客・価格力)
・お客様と仲良い(CRM)

ここは絶対的な特徴として挙げられます。

ブーム業態であろうとそうでなかろうと。絶対的に意識すべきは成熟期~安定期の戦い方を如何に早くから準備してきたかどうかです。成長期の喧騒で自分自身を見失わないようにしたいですね。

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■市場規模で考えよう!

ライフサイクルとは違った視点で見るならば、その業態の「市場規模」です。

売上=MS×商圏人口×シェア(MS:1人辺りの市場規模額)

当たり前ですが「MS」が大きい事業の方が郊外や地方でも成り立ちやすいです。同時に個人店が成り立ちやすいのも一つですよね。

焼肉・居酒屋・ファミレスなどなど。業種分類されている事業はやっぱり大きいです。だからこそ、立地でも業態でもニッチ一番が成り立ちやすくなります。

ちなみに「パン市場」はもちろん巨大です。

国内パン市場規模:1兆5,262億円(矢野経済研究所)

では「食パン専門店市場」はどうか?

食パン専門店(小売ベース)市場規模:255億円(富士経済)

確かに数年前と比較すると大きな伸びです。しかし。市場規模自体は物凄く小さいのがわかると思います。

MS=212.5円=255億円÷1.2億人(人口)

これで月商500万円売ろうと思うと、30万人都市くらいでないと厳しい。このように試算される状況になります。つまり、この辺りからブームだったのがわかります。

(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2022年4月11日号より一部抜粋。この続きはご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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image by: Shutterstock.com

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関西学院大学卒業後、新卒で船井総研に入社。当時史上最年少にてフード部のマネージャー職へ。その後事業承継と起業を行い、 京都にて外食・中食業態を複数経営しつつ、多くの企業をサポート。事業規模は年商2,000万~1兆円企業まで幅広いです。外食/フードデリバリーが専門領域なので、それについての情報を書いています。

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