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若者の借金を救う?警視庁の奨学金支援制度が示す「新しい採用戦略」が温かい!

深刻な人手不足と若年層の売り手市場を背景に、警視庁は2026年度採用から警察官の初任給を引き上げるとともに、大卒2年目の年収モデルを約40万円増額する方針と奨学金の返済を支援する全国初の制度の導入を打ち出しました。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、著者で健康社会学者の河合薫さんが、人材確保の新たな取り組みとして出した警視庁の取り組みについて言及しています。

警視庁が決断した「温かい投資」

初任給バブルが続いていますが、その波はいよいよ公務員の世界にも広がってきました。

警視庁は、警察官の初任給引き上げなどにより、大卒2年目の年収を約40万円増額すると発表。大卒の初任給も2026年度採用から、現在の30万2100円から32万1900円へとアップさせます。

これにより、モデル年収(満額支給の実務2年目)は615万2000円から657万4400円と、40万円を超える増額になり、扶養・住居・通勤などの諸手当は別途支給されるそうです。

高卒の初任給も26万4700円から27万9400円へ、行政職員も27万600円から29万400円へと、軒並みベースアップです。

その背後にあるのは、深刻な「売り手市場」です。

昨年は内定者の約4割が辞退したというデータもあり、4月からは若手警察官20~30名が母校などを訪れて仕事の魅力を伝えるほか、内定者の相談に乗る「特別採用チーム」も立ち上げるそうです。

……と、ここまでの話なら「警視庁も時代の波には逆らえないのだな」の一言で終わるのですが、驚くべきは、奨学金を肩代わりする全国初の制度も新設するという点です。

これは素晴らしい取り組みです。警察官という「庶民の味方」が、「権力」の歪みや負の側面に取り込まれてしまわないための、最大かつ最後の防波堤になることが期待できます。

現在、大学生の二人に一人が奨学金を利用していると言われる時代。卒業と同時に数百万の借金を背負い、返済への不安から夢を諦めたり、将来に絶望したりする若者が少なくありません。

そんな「借金地獄」の入り口で立ち往生している学生にとって、この制度は文字通り、暗闇に差し出される救いの手となるでしょう。

ここで大切なのは、カネ(報酬)の多寡だけでは、人は育たないという当たり前の事実です。

「自分という存在が、社会(組織)に守られ、救われた」という原体験こそが、人の未来に強く影響します。

人生の苦しい局面で、理不尽な貧困から引き上げてもらった経験を持つ若者は現場に立ったとき、困窮にあえぐ市民の痛みを自分のこととして感じ取れるはずです。

「自分を助けてくれたこの社会を、今度は自分が守る番だ」と、使命感を高める人もいることでしょう。

そして、それこそが過酷な状況下でも、警察官としての誇りやミッションを手放さないための、最強の心の支えになるのではないでしょうか。

恩返しならぬ「恩送り」です。

この精神が宿った組織こそが、真の意味で庶民の味方であり続けられる。今回の警視庁の決断に、私はそんな希望を感じています。

みなさんのご意見もお聞かせください。

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image by: yoshi0511 / Shutterstock.com

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
「自信はあるが、外からはどう見られているのか?」「自分の価値を上げたい」「心も体もコントロールしたい」「自己分析したい」「ニューストッピクスに反応できるスキルが欲しい」「とにかくモテたい」という方の参考になればと考えています。

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