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楽天モバイル離脱者「争奪合戦」開始。povo2.5倍、LINEMO2.6倍、ワイモバ1.5倍と他社にユーザー殺到

楽天モバイルがひとつの目玉としてきた月額「ゼロ円」で利用できるプランの廃止を発表し、競合他社へ乗り換える人が増えているようです。その流れに乗れとばかりに、各社が「楽天モバイル離脱者」の争奪戦の様相を呈していますが、果たして激安スマホ戦争を制するのはどこのメーカーなのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、その動きを分析しながら、2022年の後半に起きるであろう激安プランを予測しています。

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「楽天モバイル離脱者を奪え」キャンペーン合戦が過熱

楽天モバイルがゼロ円プランの値上げを発表した直後から、ユーザーの流出が始まっているようだ。KDDIの高橋誠社長は今週、行われたメディアのインタビューに対して、以前に比べて申込件数が2.5倍に増えたと語っていた。

povoに関しては1年間で120万契約を獲得している。ザックリした計算でしかないが、1年間で120万件ということは1日あたり3000~4000件程度の新規契約件数と思われる。この2.5倍となると、直近は1日あたり1万件近い申し込みがあると予想される。つまり、5000~6000件近い、楽天モバイルユーザーがpovo2.0を契約しているのではないか。

一方、ソフトバンクも、LINEMOのミニプランへの申し込みが2.6倍になっていると明かした。ただし、そもそもpovo 2.0に比べてLINEMOのほうはユーザーが少ないので、母体数が小さいからこそ、povoより多い2.6倍という数値になったと思われる。LINEMOはユーザー数が昨年8月の段階で「50万にも満たない」(宮川潤一社長)ということで、楽天モバイルからの流入は1日数千件がいいところなのではないだろうか。

ただ、ワイモバイルに関しても1.5倍伸びているという。こちらのほうが、おそらくpovo2.0よりも母数は大きいと思われるので、かなりの数が楽天モバイルから流入していそうだ。

MVNOでもIIJmioがユーザーの申し込みが増えて、手続きが遅れていると明かしている。

各社の状況を俯瞰すると、1日あたり数千あるいは1万程度、ユーザーの流出が起きているのではないか。

楽天モバイルでゼロ円だった人だけが流出するのであれば、楽天にとっては大した痛手にはならないが、これまでアクティブに使っていたユーザーが流出するとなれば、結構、厄介な話だ。

povo2.0が「おとな買いキャンペーン」を始め、LINEMOに至っては「半年、実質無料」という楽天モバイルユーザーが飛びつきそうなキャンペーンをぶつけてきた。

その点において、NTTドコモ・ahamoが波に乗れていないのが、なんとも残念だ。一般メディアでは「3GBでいくらか」という比較表を出す中で、楽天モバイル、LINEMO、povo2.0の名前が並ぶのだが、ahamoだけは20GB2970円という数字が記載され、明らかに分が悪い。

NTTドコモとしては「大盛り」でARPUを稼ぐ方向に行きたいのだろうが、業界のトレンドとしては完全に「小盛り」のほうが需要がある。

NTTドコモが小容量ニーズをエコノミーMVNOだけで獲得していけるのか、一方で、楽天モバイルはこのまま指をくわえてユーザーの流出を見過ごすのか。

2022年後半戦は「3GB1000円」の獲得合戦が盛り上がりを見せそうだ。

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「ゼロ円でずっと使われても困る」とはいっても、「ゼロ円から使える」とアピールしていたのは楽天モバイルなのだから、「ゼロ円から使えると思って契約したら、自動的にゼロ円ではなくなる」というのでは「だまされた」という気分にユーザーはなってしまうのではないだろうか。

自動適用で、請求される料金が安くなるのは歓迎だが、一方で、勝手に値上げされるとなると、ユーザーの混乱は必至だろう。特に楽天モバイルは郵便局で新規契約者を獲得してきており、当然「ゼロ円から使える」というのを訴求していたはずだ。自分でオンライン手続きをできないようなユーザーが「いつの間にか料金が請求されている」という状況になったら、社会問題になりかねない。

矢澤俊介社長は「ユーザーへの対応について、関係各所とも事前にたくさん相談をさせていただいた」と回答しているので、当然、総務省や消費者庁には相談済みなのだろう。

ただ、楽天モバイルは年に1回の頻度で料金プランを変えている。将来的に数百GB使うようなユーザーが増え「容量が足りなくて、ぶっちゃけ困る。上限の3,278円も値上げする」と言わないかも心配になってくる。

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image by: Ned Snowman / Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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