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また中国のウソが露呈。内部資料の流出が炙り出すウイグル人弾圧の実態

かねてから疑われていた中国のウイグル人に対する民族弾圧ですが、このほどそれが「事実」であることを証明しうる内部資料が流出し、世界中に衝撃が広がっています。中国当局は「中傷」と反発していますが、数万件にも及ぶ詳細な資料は、習近平政権の行く末に大きな影響を与えかねないものになると言っても過言ではないようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、この資料の内容を詳しく紹介。さらにロシアに次いで中国がハッカーたちの標的となり、次々と秘密が暴露される可能性を指摘しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年5月25日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】ウイグル内部情報が流出、サイバー攻撃の元凶・中国が狙われる側になった理由

「逃げる者は射殺」 中国のウイグル族「再教育施設」内部資料が流出

中国の新疆ウイグル自治区では、ウイグル人100万人が強制収容所に押し込められ、「再教育」の名のもとに、さまざまな拷問や洗脳教育を受けているとされています。中国側はこれを否定し、収容所は単なる「再教育施設」「職業機能教育訓練センター」だと反論しています。

しかし、この強制収容所について内部資料が流出し、大きな話題となっています。この内部資料は「新疆公安ファイル」と呼ばれるもので、在米ドイツ人研究者のエイドリアン・ゼンツ博士が入手し、世界の14のメディアが検証していたものです。

ゼンツ博士によれば、資料は新疆ウイグル自治区南部カシュガル地区シュフ県と西部イリ・カザフ自治州テケス県の公安当局のコンピューターに保存されていたものが、第三者のハッキングによって流出し、ゼンツ氏に提供されたとのことです。

今回、この内部資料が「Xinjiang Police Files」として、全世界に公開されました。

Xinjiang Police Files

日本では資料を検証していた14メディアの1つである毎日新聞が、日本語に訳して公開しています。

新疆公安ファイル

この資料には、30万件以上のウイグル人の個人情報、2万3,000件以上の収容者リスト(名前や生年月日、罪状、収容先、身分証番号など)、警察署などで撮影された2,800人以上のウイグル人収容者の写真、カザフ自治州テケス県の拘置所の写真などが含まれていました。

ゼンツ氏によれば、この資料からはウイグル自治区カシュガル地区シュフ県の成人のうち、12.1%が強制収容所、刑務所、拘置所のいずれかに収容されていることが推測できるといいます。

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また、共産党幹部の発言記録なども数多く記録されており、公安部門トップの趙克志・国務委員兼公安相や、当時、自治区トップだった陳全国・党委書記らが会議で行った演説を、そのままの言葉で起こした文書が含まれていました。

2017年5月28日に陳全国が行った講演記録では、海外からの帰国者はすべて拘束し、「少しでも逃げれば射殺せよ」と命じている様子が描かれています。

AFPによれば、これらのデータには、各町村で数百人以上が拘束されているケースもあり、また、一世帯だけでも何人も拘束されている事例も少なくないそうです。

東アジア研究が専門のデービッド・トービン氏によれば、その罪状も、「社会秩序を乱す目的で集団を組織した」「過激主義を煽動した」など、さまざまなものがつけられているものの、「恣意的な共同体を標的にしたうえで各戸をしらみつぶしに回って、大勢を連れ去った」ことが見て取れるといいます。

中国当局のデータベース流出、拘束されたウイグル人の詳細明らかに

そして罪に問われなかったウイグル人の多くが、「再教育施設」に送られたとしています。

このような内部資料が出てきたことで、中国側の「職業訓練センター」だという主張が嘘だったことが暴露されました。それと同時に、中国のウイグル人迫害が事実だったことが明らかになったのです。

一方、中国政府が後援するオンラインのプロパガンダイベントに出席し、新疆ウイグル自治区を「素晴らしい土地」と褒めそやした国連の特別報告者に対して、中国から20万ドルが送られたという事実が発覚しました。この特別報告者はアリーナ・ドゥハンという人物で、監視団体の「UNウオッチ」は、民族浄化隠蔽を支援したとして、非難するとともに中国への返金を求めたそうです。

国連特別報告者に中国から2500万円、「民族浄化の隠蔽支援」 監視団体

日本では、ユニクロを展開するファーストリテイリングが、新疆ウイグル自治区での綿製品が強制労働によって作られたのではないかという批判について、「自社が扱う製品について、人権侵害に繋がる取引は確認されていない」として、中国との取引に問題がないという姿勢を貫いてきました。

ファーストリテイリング“人権侵害につながる取引なし”

しかし今回の流出ファイルは、中国政府が新疆ウイグル自治区全般に対して弾圧を行っていることを示しており、日本企業の中国との付き合い方が再びクローズアップされそうです。

現在、ロシアの駐スイス外交官がウクライナ侵攻について「嘘ばかりだ」と抗議して辞任し、また、イギリスはロシア軍が投入した地上戦力の3分の1が喪失したと分析するなど、専制国家の内情が暴かれつつあります。

ロシア外交官が抗議の辞任 「主戦的で、うそと憎悪だけ」
ロシア軍、投入した“地上戦力”3分の1喪失か~英分析

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ロシアに対しては、「アノニマス」を名乗る国際的ハッカー集団がサイバー攻撃を行っており、ロシア軍の情報流出や作戦の混乱の一因とされています。今回の新疆ウイグル自治区の情報流出も、こうしたハッカー集団によるものである可能性もあります。

“ロシア政府をターゲット”と宣言 「アノニマス」は何者?

面白いのは、これまでロシアも中国も、各国に対してサイバー攻撃を行う側でした。ところがロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアは世界中のハッカーの攻撃対象となりました。そして今回は中国です。

もともとハッカーは、統制を嫌う存在でした。インターネットという、国家の枠組みをも飛び越える大海のなかを自由に泳ぎ回り、時には国や企業のシステムに侵入し、狼藉を行うこともありました。専制や国家統制とは相容れない存在であり、だからこそウクライナに侵攻した専制国家ロシアへのサイバー攻撃が相次いだわけです。

世界が専制国家の脅威を認識するにつれ、中国へのサイバー攻撃やハッキングが増えていく可能性があり、さまざまな秘密が暴露されていく可能性があります。今回の情報流出は、自由主義陣営ゆえに存在する闇の部分が、情報統制国家に対して仕掛けた、サイバー戦争とも見ることができるのです。

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