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台湾侵攻の布石か?中国共産党“お墨付き”ハッカー集団の大暴走

先日、米国企業の調査により明らかになった、中国政府の諜報活動と同国の民間ハッカー集団との関連性。しかしこの報告書の内容は、なぜか日本でほとんど報じられることがありません。そんなニュースをいち早く取り上げているのは、台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で今回、台湾一の発行部数を誇る新聞「自由時報」の記事を引く形で、ハッカー集団のサイバー攻撃の手口や中国政府が諜報活動を民間集団に委託する意図を紹介するとともに、今後危惧される事態について考察しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月15日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

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【中国】中国お墨付きのハッカー集団の実態と暴走の恐怖

中國傲琴龍 駭攻亞太國家10年(中国の傲琴龍は10年間アジア太平洋諸国をハッキングしていた)

アメリカのセキュリティ調査会社SentinelLabsによると、「傲琴龍(アオチン・ドラゴン)」と呼ばれる中国のハッカー集団が、2013年からシンガポール、香港、ベトナム、カンボジア、オーストラリアの政府機関、教育機関、通信機関をターゲットにサイバー攻撃を仕掛け、政治的要素やポルノ的要素を含むコンピュータファイルなどを餌に情報を盗み取っていたことが明らかになりました。

SentinelLabsの報告では、研究者が傲琴龍の攻撃対象やマルウェアを分析した結果、このハッキンググループを「APT(Advanced Persistent Threat=特定対象に対する組織的なサイバー攻撃)」であると結論づけたといいます。つまり、単独のハッカーではなく、大規模で組織的なハッカー集団だということです。

「自由時報」の記事によれば、この報告書において、傲琴龍がマルウェアを拡散する経路としては、次のような種類があると指摘しているそうです。メールやWordファイルを被害者にクリックさせてバックドアをインストールさせるという手口で、主に政治的なイベントやポルノ関係のテーマで惹きつけて、罠にかけるというものです。

さらに2018年以降、これらのハッカー集団は、偽の外部サーバーを使って被害者をおびき出し、そのコンピュータにマルウェアを仕掛けるという手口も見られるようになったそうです。

2018年に発生したハッキング攻撃についてベトナム警察が調査したところ、攻撃者が使用したコマンド&コントロールサーバーとフィッシングメールサーバーが北京に設置されていることが判明しています。

今回、傲琴龍が使用した2つの主なバックドアは、前述したサーバーの構造と一致しており、かなりの程度、中国語を話す人が関わっていたようです。

報告書では、傲琴龍の目的は中国政府の政治的利益に合致しており、長年にわたり特定の標的へのサイバー攻撃を行っていることから、SentinelLabsはこのハッキンググループが政府の諜報活動と関連していると分析しています。

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この報告書は、国家安全保障局(NSA)、連邦捜査局(FBI)、サイバー・インフラ安全保障局(CISA)の3大セキュリティ機関が、「中国の支援を受けたハッキンググループが多くの米国政府機関や企業のサーバー、ルーター、ストレージ機器を攻撃して機密情報を盗んでいる」という声明を出した数日後に出されたそうです。

(なお、この3大セキュリティ機関は、2017~2012年版のOfficeソフトをまだ使用していて、セキュリティアップデートを行っていないユーザーに対して、すぐにアップデートするよう注意を促しています。皆さんのなかで当てはまる方は、早急な対応をお勧めします)

2021年7月、アメリカやNATO、EU、日本などが、国家ぐるみのサイバー攻撃を行っているとして、中国を正式に非難する共同声明を発表しました。

これは同年3月に発生した、マイクロソフトのサーバーを標的にした攻撃について、中国政府の支援を受けて活動するHafnium(ハフニウム)というグループの仕業だったことが判明したことへのものです。Hafniumは数年にわたり繰り返しサイバー攻撃を繰り返してきたといいます。

中国の支援するハッカー集団Hafniumに、米政権など同盟国が非難表明

今回の報告書により、中国は複数のハッカー集団をつかって、各国にサイバー攻撃を行っていることが、改めて明らかになりました。私は以前より、現在中国政府はスパイを独自養成するのではなく、民間の探偵やIT企業の社員など民間人を利用するようになっていると述べてきましたが、これもそのひとつでしょう。

そして、そのハッカー集団を支援しているのが、国家安全部(MSS)という部署です。これまでサイバー攻撃は人民解放軍によるものとされてきましたが、中国政府は2015年よりサイバー作戦のほとんどの統制権を国家安全部に移したと言われています。それ以来、ハッキングやサイバー攻撃を外部の犯罪集団に委託することが増えたとされています。

中国のハッキング活動は、手口が強圧化する「新たな段階」へと突入した

この国家安全部は、外国人スパイの通報サイトを開設したり、人民を監視して国家の安全保障にとって危険な人物をあぶり出したりといったことを行っている部署でもあります。以前のメルマガでも紹介しましたが、通報者への報奨金を支払うことも行っています。

要注意、中国が外国人スパイの通報サイトを開設

日本人をふくめて、外国人スパイとして摘発しているのはこの部署です。そうした部署が、ハッカー集団を利用して、他国の官公庁や企業などに対してサイバー攻撃やハッキングを行っているわけです。重要情報を盗み出す、重要人物の弱みを握って脅すといったことから、訪中した外国人を罠にはめるようなことも朝飯前でしょう。

外部の民間やハッカー集団にサイバー攻撃をさせることで、いざとなれば中国は「自分たちとは関係ない」とシラをきることができます。その一方で、犯罪行為に国家のお墨付きを与えることになり、増長した犯罪者への統制がきかなくなることで、中国政府の意図しないサイバー攻撃に発展する可能性もあります。これが非常に恐ろしい点でもあります。

統率のきかなくなった官製デモみたいなもので、中国が望まないような他国との緊張関係を一気に高めてしまうかもしれないからです。かつて、中国では政府が反日デモを煽っていましたが、統率できなくなって、反日デモにかこつけた政権批判が飛び出すようになってしまったことがあります。そのため現在では反日デモも禁止されるようになっています。

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そんななか、6月14日に習近平国家主席は、戦争以外の軍事行動に関する指針「非戦争軍事綱要」にサインしました。その詳しい内容が示されていないために、さまざまな憶測が飛び交っています。

非戦争軍事行動とは、国連平和維持活動、テロ対策、国内災害派遣、国際緊急援助活動、暴動鎮圧などにおける軍事行動のことを指しますが、台湾のネット上では、「戦争行為に対して戦争であることを認めないための布石ではないか」という疑いも浮上しています。

要するに、戦争でなければ宣戦布告も必要なく、「中国の一部」と主張する台湾に対する軍事行動も戦争ではないという意味づけのうえで、さまざまな軍事行動を正当化するための前準備なのではないか、ということです。

そのなかにはテロリストやスパイの摘発なども含まれていると思われます。国家安全部によるサイバー攻撃と軍事行動が連携しながら、台湾をはじめとする他国への「非戦争」的な侵略が強まっていくことを危惧しています。

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