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根底に歴史的な繋がり「台湾文学」が日本人に受け入れられるワケ

昨年7月、李琴峰さんの『彼岸花が咲く島』が台湾出身作家の著作として初めて芥川賞を受賞。先日は、紀蔚然さんの推理小説『台北プライベートアイ』が第13回翻訳ミステリー大賞、ファルコン賞と立て続けに受賞するなど、台湾文学がいま注目を集めています。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では、台湾出身の評論家・黄文雄さんが、次々に出版される話題作をいくつか挙げながら、台湾文学が日本人に受け入れられる理由について綴っています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年7月6日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】日本で熱い視線を集める台湾文学

台湾発の推理小説「台北プライベートアイ」に「ファルコン賞」 – フォーカス台湾

いま、台湾文学が日本で熱い視線を集めています。先日は、台湾発の推理小説が日本の賞を獲得しました。以下、報道を引用します。

台湾人作家、紀蔚然さんの推理小説『台北プライベートアイ』が、日本で出版された優れたハードボイルド作品に授与される「ファルコン賞」に選ばれた。

 

ハードボイルド小説や映画の愛好家でつくる「マルタの鷹協会日本支部」による賞。創設者である翻訳家の木村二郎さんが4日、ツイッターで発表した。

 

原題『私家偵探』は2011年に台湾で出版。日本では舩山むつみさんの翻訳で昨年発売され、「第13回翻訳ミステリー大賞」に選ばれた。

この『私家偵探』は2011年に台湾で出版され、日本語の他、フランス語、イタリア語、トルコ語、韓国語などにも翻訳されているそうです。昨年には続編となる『DV8:私家偵探2』も発売されています。
翻訳ミステリー大賞に紀蔚然さん 「受賞できると思わなかった」/台湾 – フォーカス台湾

英語で翻訳されていないのが不思議ですが、あらすじを見ると、さすが「台湾生まれのハードボイルド探偵」、それだけで読んでみたくなるワクワク感を感じます。それだけでなく、台北の雑踏や混沌とした様子も目に浮かびます。
『台北プライベートアイ』紀蔚然 舩山むつみ | 単行本 – 文藝春秋BOOKS

日本で評価された台湾人作家といえば、記憶に新しいのは李琴峰さんの2021年の芥川賞受賞でしょう。彼女は母語ではない日本語で小説を書き、芥川賞を受賞しました。本当に快挙と言う言葉がピッタリです。受賞の理由は、やはり彼女の思考と主張と表現でしょう。彼女の取り上げるテーマはちょっと独特です。

台湾人作家による小説は、昨今の台湾ブームに乗って、ここ数年で日本にかなりの数の作品が翻訳、出版されています。

呉明益氏の『自転車泥棒』ほか三部作と言われる作品や、張渝歌『ブラックノイズ 荒聞』など。これらの作品は、台湾で話題になっているのみならず、日本でも注目されているような内容だからこそ日本版が出版されるわけです。

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つまり、台湾と日本とでは社会で注目されている話題がとても似ているということではないかと思います。

たとえば、朝比奈あすか氏による『翼の翼』という作品は、中学受験をする息子を持つ家族の喜怒哀楽を描いたもので、ヒット作となりました。それを受けて、8年前に台湾で出版された呉暁樂氏の小説『你的孩子不是你的孩子(子供はあなたの所有物じゃない)』が、秋には日本で翻訳版が出版予定です。

冒頭にご紹介したミステリー作品も、純粋にミステリーとして素晴らしいという以外にも、日本人に理解できる社会的背景があるからこそ、これほどまでに受け入れられるのではないでしょうか。

台湾社会は、主に日本時代に社会の基盤が形成されました。その後もずっと、日本は台湾のお手本でした。そんな台湾社会と日本社会には、社会の構造や価値観など、様々な面で共通する部分がたくさんあります。

台湾ブームだから、グルメもエンタメも人気があり、その流れでの台湾文学なのではなく、台湾文学が日本人に受け入れられるのは、日台関係の根底に流れる歴史的な繋がりがあるからだと私は思っています。

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(メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年7月6日号より一部抜粋)

image by:Andy.LIU/Shutterstock.com

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