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日本から金を収奪するカルト団体「統一教会」と安倍応援団が蜜月の不可解

旧統一教会との繋がりに関して次々と新事実が露呈し、苦しい立場に置かれている萩生田光一自民党政調会長。8月24日には彼らとの関係を断ち切ると明言しましたが、果たしてどこまで信用できるものなのでしょうか。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、櫻井よしこ氏のインターネットテレビに出演した萩生田氏の口から飛び出した、旧統一教会との関係についての「開き直り」とも受け取れる発言を紹介。さらに別の場所で旧統一教会との今後を問われた際に萩生田氏が見せた反応から、両者の間に断ち切れない悪縁が存在する可能性を指摘しています。

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統一教会との関係に開き直る萩生田氏と安倍応援団

自民党政調会長、萩生田光一氏は思わぬ事態に直面している。統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との長く深い付き合いの実態が、週刊新潮やTBS「報道特集」などによって次々と報じられ、これまでの弁明では逃げきれなくなってきたからだ。

経済産業大臣に未練があるかのような“三味線”をひいて、望みのポストを得たまではよかったが、人生、そう都合通りにはいかない。

先般の参院選期間中、肩入れする生稲晃子候補を連れて訪問した先が地元・八王子の統一教会施設だった。礼拝を兼ねた日曜日のバーベキュー大会にジャージ姿で駆けつけていた萩生田氏馴染みの場所だ。落選中の身だった民主党政権時代に月1、2回は来ていたという元信者の証言もある。

元信者「司会の人が萩生田議員が来るので盛大にお迎えしましょうと言って拍手でお迎えする。教祖が来たぐらいのお迎え度合いだった」「萩生田さんは『ご父母様』と言うのですけれど、教祖のこと。私もご父母様の願いを果たせるように頑張るから、皆さんも一緒に頑張りましょう。一緒に日本を神様の国にしましょうみたいな、そういう風に言って…」(8月20日のTBS「報道特集」)

これを萩生田氏は否定するが、統一教会との関係についてごまかそうとしてきた経緯があるので、信用できない。コメントの変化を見てほしい。

「承知の上で(統一教会と)お付き合いをしているというのではなくてですね、自分なりに、地元のみなさん(とお付き合いする中)で、その中にそういう関係者がいたのかもしれない、そういう認識です」(8月2日)

「地元の支援者の中に、ボランティア活動、熱心にやってる皆さんがいらっしゃって、その方達が『平和女性連合』の会員の皆さんでした。そのご縁で、皆さんとのつきあいが始まりました」(8月18日)

「『世界平和女性連合』の皆さんの活動に、私も一定理解・応援をしてました。正直申し上げて、その団体と統一教会の関係っていうのは、名称は非常に似てますので、そういう思いはあったんですけれども、あえて触れなかったというのが正直なところです」(同)

支援者のなかに「関係者がいたのかもしれない」から始まって、とどのつまりは「皆さんの活動に私も理解、応援していた」である。あきらかに「承知の上」ではないか。

「世界平和女性連合」は統一教会の韓鶴子総裁が1992年に創設した国連NGOだ。女性の自立支援・地位向上などをめざし、世界各国にボランティアを派遣しているという触れ込みで、朝日新聞など日本のメディアに好意的に取り上げられたこともある。萩生田氏は資金管理団体と自民党支部から2012年~19年に計6回、あわせて9万円を会費として支出していた。

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それにしても不思議なのは、統一教会、あるいはその関連団体とわかっていて、なぜ付き合うのかということだ。まとまった集票が期待できるとか、選挙を無報酬で一生懸命に手伝ってくれるとかいうメリットは無論、あるだろう。しかし、霊感商法など統一教会の反社会性を知らないはずはない。なにより、萩生田氏ほどの愛国者であれば、日本を韓国に隷属させようとする統一教会の正体を調べ上げていてしかるべきだろう。

7月21日の当メルマガでも指摘した通り、統一教会には、戦前に韓国を侵略した日本は罪を清算しなければならないという思想がある。韓国は世界を支配する「アダム」の国、日本は韓国に従属する「イブ」の国という奇妙な理屈で、日本からカネを収奪してきたのだ。

【関連】日本国民ダマし韓国へ数百億円の上納金。統一教会「政界工作」の悪質手口

にもかかわらず、安倍元首相ら日本の一部政治家は極右思想を掲げる統一教会と“共闘”してきた。統一教会系の新聞「世界日報」が開くイベントには、日本会議系の「美しい日本の憲法をつくる国民の会」共同代表である櫻井よしこ氏ら、安倍氏を支持してきた著名な保守系知識人が招かれて講演している。

この深刻な矛盾を解決する気があるのかどうか。そういう関心を持って櫻井よしこ氏のインターネットテレビ「櫻LIVE」のプレビュー版を観た。萩生田氏がゲストとして招かれ、櫻井氏や元産経新聞政治部長、石橋文登氏らと対談しているのだ。ネトウヨ的な表現を借りれば「反日」というほかない統一教会との決別が議論になるかと思ったが、期待は裏切られた。

櫻井氏 「“萩生田がつないだカルトと生稲晃子”とかおどろおどろしい週刊新潮の記事はおかしいと思う」

石橋氏 「おかしいですよ。カルトって決めつけてるが、霊感商法は僕が中学生の頃の話でしょ。この10年はそういう話、とんと聞いていない。中国が台湾周辺で大演習して台湾有事が現実味を帯びてきた。これが秋の臨時国会の最大のテーマ。国防予算をどれぐらいにするかが萩生田政調会長の仕事になるが、この議論に左系のメディアと野党は入りたくない。安倍晋三の子分たちをいまのうちに痛めつけておくという、よこしまな気持ちがあるとしか思えない」

萩生田氏 「私は就任のあいさつで最初に国防の大切さを訴えました。ロシアによるウクライナの侵略を目の当たりにして力による現状変更がアジアにも起こり得ることが現実問題として近づいている。今までのような国防体制では皆さんの生命財産を守ることはできない」

中国の脅威が日本に迫っているというのに、何をつまらないことで騒いでいるのかという、モリ・カケ・サクラ以来お決まりのメディア批判が展開されただけだった。“開き直り”の印象が強い。つまるところ、萩生田氏は今後も統一教会との関係を続けたいということなのだろう。

これとは別の場所で、統一教会との関係を断つのかと記者に聞かれたさい、萩生田氏が「はいあのー、適切な対応をしていきたいと思ってます」と曖昧な返事をしたことからも、もはや断ち切れない悪縁になっていることがうかがえる。

だが、内閣支持率の急降下に怯える岸田首相は、それで済ませられるのだろうか。与党の政策づくりのカナメである政調会長が統一教会に絡め取られたままでいいのだろうか。

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岸田首相が萩生田氏を政調会長に据えたのは、清和会(安倍派)のドン、森喜朗氏の推挙があったからだといわれる。

安倍晋三氏という大黒柱を失い、清和会が一致結束していくのは難しくなった。下村博文氏や稲田朋美氏、西村康稔氏、世耕弘成氏ら派閥会長の座を狙う面々はゴロゴロいても、誰もが認める後継者がいないのが派内の実情だ。

こうなると、岸田首相にしてみれば、安倍派に隠然たる影響力を持つ森氏の意向を受け入れることが、最大派閥を味方にしておく最良の策と算段したに違いない。かねてから統一教会がらみの噂のあった萩生田氏を閣外に出し、安倍派への配慮を政調会長人事で示す。一石二鳥と思ったはずだ。

ところが、改造内閣の大臣たちも次々に統一教会との関わりが浮上、臨時国会で野党の追及を受けるのは避けられないうえ、萩生田氏についての報道が過熱し、岸田首相の任命責任が問われている。

萩生田氏は、政調会長ポストを得て一度は派閥会長後継レースで優位に立ったかに見えたが、今回の問題で躓いたことは確かだ。今後は派内から、情報リークなど足を引っ張る動きがあるかもしれない。

安倍元首相の国葬をひかえ、その最側近だった萩生田氏をはじめとする統一教会報道が長引けば、いち早く国葬を閣議決定した岸田首相への世間の風当たりはいっそう強まるにちがいない。

岸田首相が苦境を乗り切るには、萩生田政調会長を更迭し、明確に統一教会との決別を宣言するしか手はなさそうだ。

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image by: Twitter(@生稲晃子 いくいな晃子(参議院自民党・東京選挙区)

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