中国の「台湾侵攻」を危ぶむ声が大きくなってきていますが、この危機は本当に訪れるのでしょうか? 今回のメルマガ『熱血日記』では外資系金融機関で30年間の勤務経験を持つヒデキさんやその周りの情報筋の間では「その可能性はない」と否定。なぜそう断言できるのか、その根拠とは?
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台湾進攻などあり得ない!
この一年で大きく国際情勢が変化し、地政学上のリスクが上昇し、資源価格や食料の値段が上がり、国際情勢が経済に大きな影響を与えたことで、海外の出来事として無視できないほどの影響をもたらしています。
日本も軍事費をGDPの2%まで上げると宣言するなど、周辺国に駆り立てられる勢いで大きく変化しています。今の国際情勢を見れば、やむを得ないという思いでしょうが、ちょっと待って下さい。軍事費を大幅に増額するその前提は、果たして本当に合っているのでしょうか?
海外の情報筋から、今後の台湾進攻が現実に起こりえるかというお話をお伝えします。
アジア諸国やアメリカが、だれしも恐れる台湾進攻は、習近平国家主席が全国共産党大会で3回目の国家主席に選ばれた直前から、台湾への武力圧力を強めはじめました。
ここまでを見ると、「中国はいずれ近い将来、台湾進攻をするはずだ!」との声が高まり、それが世論となって、関係国の政治を動かします。
私が海外の情報筋、チャイナ・ウォッチャーや、国内の情報筋などから入手した情報では、台湾進攻の可能性はまずありません。大きく理由を三つに分けて話しましょう。
ひとつには、中国の歴史的な実績です。世界の3つの覇権国のうちのひとつを担うくらいですから、大国ですが、過去の歴史をひもとくと、中国の側から戦争を仕掛けたことはフビライハン以外にありません。外国に侵略することで覇権を握るより、国内政治闘争の方が数倍も重要な国です。
二つ目には、現在の共産党首脳部がおかれている環境です。習近平国家主席は単独で共産党はおろか、14億人の人口のすべてをコントロールできる専制権を確保したように今回の党大会では見えます。
ですが、正式に国家主席に就任するには来年3月の国会の承認を得なければできません。まだまだ単独のトップではないのです。そして、自分に忠誠を誓う側近だけを意図的に配備した現在の党首脳部ですが、共産党内部の派閥争いは激しいもので、習近平派と、胡錦涛派、つい先週お亡くなりになられた江沢民派の三つ巴の争いを繰り広げているそうです。
このような党内環境で、台湾進攻をするような大きなリスクが取れるのでしょうか。
三つ目には、中国の政治が今置かれた、外交問題、経済問題があります。今、米中経済戦争はとても厳しい局面にあり、米国が中国の習近平政権の狙う海外覇権の野望を封じ込めるために、必死で経済制裁を行っています。
同盟国も巻き込んだ半導体の輸入規制や、中国のハーウェイなどの企業の輸出を禁じたりして、中国のGDPが激減するように激しい攻勢をかけております。
経済戦争が激しく進行している状態で、果たして海外に軍事侵攻などする余裕があるのでしょうか。
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このような三つの理由を見ると、台湾進攻というのは単に、外交上のつばぜりあいに過ぎず、決して現実問題として考えるには時期尚早、というか、あり得ないレベルであることが分かります。
また、別のアングルからこの問題を見てみましょう。「だれが台湾進攻で儲けるのか?」というアングルです。
ロシアのウクライナ侵攻がなかなか終わりません。とうにロシアの軍事補給物質も、ウクライナのそれも尽きているのに、なぜか1年近くも戦争が続いています。なぜでしょう?
軍事物資を支援する国、ロシアとウクライナの双方の国に戦費を貸し付けている集団がいるからです。
アメリカには、軍産複合体(Military Industrial Complex)があります。米ソ冷戦が終わった90年台から兵器産業の社数は減ったものの、まだまだ多くあります。そして、ウクライナ侵攻では、アメリカの軍事産業の売上は2兆円に達するとのことです。トヨタの年間純利益の2倍に達する、途方もない大繁盛です。
軍事産業は10年に1回、大きな戦争がないと業界自体が持ちません。もっと狡猾なのはイスラエルです。ユダヤ人の巨大資本(金貸し)が、ロシアとウクライナの双方の国に戦争資金を兆円単位で貸し付けています。返済が終わるのは、100年先から200年先でしょう。
なんせ、日露戦争の際に高橋是清財庄がロスチャイルド銀行から戦費を借りて、日本国として完全に融資を返済し終わったのは1960年代、田中角栄政権当時でした。
そして台湾進攻の陰には、アメリカ軍の統合参謀本部長が「台湾進攻は現実問題として身近に迫っている」と、幾度となく日本に警告しておりますが、果たしてそれは誰のためのメッセージなのでしょうか?
アメリカの軍産複合体を儲けさせるためのマッチポンプではないのでしょうか。コロナ禍の3年間でも、一大事を画策する人たちと、大儲けをした業界が明らかになってきました。英米の製薬業界と、医者ですね。
決して陰謀説を唱えるわけではありませんが、日常をゆるがすような大きな危機を訴える人々は、いちど、その前提となる基礎条件、経済条件を疑ってかかってみると良いでしょう。
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