次々と発覚する旧統一教会と所属議員との不適切な関係や相次ぐ閣僚の更迭で、国民からの信頼を完全に失ったと言っても過言ではない岸田政権。不支持率も50%を超えるという、まさに目を覆う惨状となっています。今回のメルマガ『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』ではジャーナリストの伊東森さんが、岸田首相がここまでの状況に追い込まれた原因を各種報道を引きつつ解説。さらに防衛族や経産省に身を差し出すかのごとき政策を進める首相の「狙い」を考察しています。
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どうなる、岸田首相の行く末。早くても年内まで?「検討使」の裏で着々と右翼政策は実行。自民、国民民主と連立?
岸田内閣の支持率は、11月になっても低落傾向に歯止めがかからないでいる。11月中の報道機関9社、および「選挙ドットコム」による世論調査の比較によると、岸田内閣の支持率は前月である10月から引き続き低下が目立つ(*1)。
全体としては、約36.1%から33.1%へ低下。個別の調査をみると、10月の調査から支持率がもっとも上昇したのは、毎日新聞・社会調査研究センターの調査。10月22~23日の調査より4.0ポイント上昇の31.0%。
内閣不支持率は、対照的に10月の調査から上昇。全体として約48.0%から51.0%まで上昇。8月から4カ月連続で、不支持率は内閣発足以来、最高を更新するとともに、今回、不支持率がはじめて5割を上回る形となった。
支持率が低下の理由は、やはりというべきか、“辞任ドミノ”だ。共同通信による
「(前略)岸田文雄首相が3人の閣僚を更迭したタイミングをどう考えますか」(*2)
では、「適切だった」という回答が26.0%であったことに対し、「遅すぎた」が62.4%。
目次
- 退陣? 辞任ドミノが止まらない 首相もお疲れモード 早くても年内まで?
- 「検討使」の裏で着々と右翼政策は実行
- 自民、国民民主と連立?
退陣? 辞任ドミノが止まらない 首相もお疲れモード 早くても年内まで?
内閣人気が低い理由として、1カ月で3人もの閣僚が辞めるという「辞任ドミノ」が背景にあることが、疑いようがない。辞任ドミノが起きる理由は、退陣した3人の閣僚が“揃って”岸田首相の「お友達」であるからだ。
当の岸田首相自身、かなりの“お疲れ”モードだそうだ。
「1年前の政権発足から安倍の急死まで『何もしない男』『検討使』などと揶揄されながらも、岸田が6割近い高支持率を保ってきたことには、『政界有数のイケメン』と言われるその容姿も多少は寄与していたかもしれない。事実、男性から高い支持を受けていた安倍・菅義偉両政権に比べ、岸田政権は女性の支持率が高めに出ている。」(*3)
その首相の「スーツの肩の上がフケだらけ」だという。さらにコロナ後遺症も追い打ちをかけているとも。週刊ポストは、「岸田内閣は年内いっぱいか、来年1月まで」(*4)という自民党内の二階派幹部の声を伝えている。
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「検討使」の裏で着々と右翼政策は実行
“退陣騒ぎ”の裏では、安倍晋三元首相もびっくりの“右翼政策”を次々と邁進。「検討使」という言葉がウソのように、右派政策の面では“実績”を作り始めている。
与党は2日、敵基地攻撃能力を保有することで合意。日本は戦後、相手国の領域への攻撃はしないという“専守防衛”の方針を堅持してきたが、しかし大幅な転換を図った。
防衛費も5年以内にGDP(国内総生産)比2%に増額させる方針。防衛費は1967年にGNP(国民総生産)比1%を上限とする方針が掲げられ、憲法に基づく抑制的な防衛政策を予算面で対外的に訴えるものとして、歴代の政権は1%を目安に当初予算を編成してきた(*5)。
一方、2011年3月の東日本大震災による東京電力福島原発事故を契機に、日本は原発への依存度を極力、減らそうとしてきた。だが、岸田首相は8月、原発政策の見直しの検討を支持。
そもそも、岸田首相は党内基盤が弱い。かといって、自民党の“アイデンティティ”を脅かす旧統一教会問題が襲う今、誰も「次の首相」という火中の栗を拾うものは誰もいない。
結果、岸田首相は「操り人形」として、自らを防衛族や原発推進を狙う経産省に“差し出す”ことで、黄金の3年間をただひたすら耐えようとしている。
自民、国民民主と連立?
一方、ここにきて自民党が、公明党との連立政権に国民民主党を加えることを検討していると時事通信が報道(*6)。
時事通信が伝えたところによると、自民、国民両党の幹部が水面下で接触を続けており、調整がつき次第、連立協議に入るという。
時事通信の記事によると、国民民主党側との交渉は、党の総裁である岸田首相と麻生副総裁も了承済み。
「あとはタイミングだ。今の政権はこれぐらいのカンフル剤を打たないと良くならない」
という自民党関係者のコメントも紹介した。
国民民主は、今年の通常国会では今年度予算と第1次補正予算に賛成したのに続き、今国会でも第2次補正予算に賛成するなど、「野党色」は薄れている。
日刊ゲンダイは国民民主党関係者のコメントとして、
「衆参計20人の国民民主の所属議員のうち、自民との連立を強く望んでいたのは玉木代表、古川元久国対委員長、そして和歌山県知事に転身した岸本周平前幹事長代行の3人程度です。全員、財務官僚あがりで党内では『財務省3人衆』と呼ばれています。先の和歌山県知事選で岸本さんが自民の支援を受けて当選したことも、自民との連立協議に向けた『地ならし』と受け止められています」
との声を伝えている。
■引用・参考文献
(*1)若林良「岸田内閣の支持率は4ヶ月連続で最低水準を更新、不支持率は初の5割越え 11月世論調査まとめ」選挙ドットコム 2022年12月4日
(*2)若林良 2022年12月4日
(*3)「岸田総理に異変『スーツの肩に…」』気力はもう限界、自民党では『次の総理』選びが始まった」現代ビジネス 2022年11月18日
(*4)「閣僚辞任ドミノの岸田政権、第1次安倍政権末期に酷似『年内か、来年1月まで』の声も」NEWS ポストセブン 2022年11月28日
(*5)山口哲人「重要政策変更 急ぐ政権」東京新聞 2022年12月4日付朝刊
(*6)JIJI.COM「自民、国民と連立検討 局面転換狙う、玉木氏入閣案 公明反発も、実現不透明」Yahoo!ニュース 2022年12月3日
(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2022年12月10日号より一部抜粋・文中一部敬称略)
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image by: 首相官邸