冬の日本といえば、こたつ。しかし、環境によっては使えず悔しい思いをしている人も多いのではないかと思います。そんな声を拾い上げて開発された商品を、MBAホルダーで無料メルマガ『MBAが教える企業分析』の著者である青山烈士さんが今回ご紹介しています。
既存製品の短所をカバー
今号は、着る毛布(着るこたつ)を分析します。
● 山善が展開している『くるみケット』
※ 紹介動画はコチラ↓
YAMAZEN 「電気毛布」くるみケット YAPP-40AC,YKAPP-40AC/POP
一度、コタツに入ると出られなくなる方をターゲットに「お客様の声を大切にする姿勢」に支えられた「こたつのように暖かいまま、移動できる」等の強みで差別化しています。
部屋全体を温めるエアコンやヒーター、そして、局所的に温めるコタツや電気毛布がある中で、自身を温める新たな選択肢として、注目を集めています。
■分析のポイント
在宅勤務が定着してきたこともあり、冬場の在宅勤務の寒さ対策でお悩みの方も多いのではないでしょうか。
冬場の在宅勤務で部屋を暖める際に、エアコンを使用している方も多いと思いますが、自分一人のために部屋全体を温めるのはエネルギーの無駄遣いとなっていると感じます。
そして、エアコンは部屋が乾燥するのも困りものです。
電気毛布をかけながら仕事をする選択肢もありますが、足元から身体全体を包み込むことは難しいです。
コタツという選択肢もありますが、コタツを置けない家もありますね。
私は、電気ストーブを足元に置いていますが、電気代が高くつくのがネックです。
政府も節電要請していますし、気になるところです。
どの選択肢にも一長一短あるわけですが、今回取り上げた「くるみケット」は、既存の製品がカバーしきれない課題をうまくカバーしている印象です。
自分一人を温めることができることや電気代の安さは省エネにつながりますし、エアコンのように乾燥を助長するようなこともありません。
そして、身体を包み込む形状ですので、掛けるタイプの電気毛布よりも効率的に身体を温めることが可能です。
コタツのように、場所をとるものでもありませんし、既存製品が解決しきれない部分をうまく解決できています。
さらに、「こたつのように暖かいまま、移動できる」という既存製品には無い強みがあります。
今回のポイントになりますが、既存製品の弱みをカバーしつつ、強みを発揮するということが、戦略上、重要であるということです。
お客様ひとりひとりの声を大切にしている企業だからこそ、そういった開発に繋がっているのだと思います。
今後、「くるみケット」や着るこたつ市場がどのように拡がっていくのか注目していきます。
◆戦略分析
■戦場・競合
・戦場(顧客視点での自社の事業領域):身体を温める(冷え対策)
・競合(お客様の選択肢):コタツ、エアコン、ヒーター、電気毛布 など
■強み
1.こたつのように暖かいまま、移動できる
・着たまま動いたり、くつろいだりできる
・どこでもこたつに入っているような心地よさ
※ 電気毛布として使用している時は移動不可
2.使い方3WAY
(1)着て、包まれる
(2)敷いたり、掛けたり
(3)広げてシェア
3.丸洗い可能
・洗濯機可
※ ドラム式は不可
4.省エネ
・1日6時間1ヶ月利用で電気代約72円
※ ACタイプ弱運転時
★上記の強みを支えるコア・コンピタンス
お客様ひとりひとりの声を大切にして、商品開発を行う山善家電の姿勢・開発力が強みを支えています。
■顧客ターゲット
・在宅勤務で冷えが気になる方
・暖房機器の電気代が気になる方
・一度、コタツに入ると出られなくなる方
・部屋にコタツを置けない方
・エアコンが苦手な方
◆戦術分析
■売り物
「どこでも電気着る毛布『くるみケット』」
・着られる肩ひも付き(アジャスター調節機能有り)
・冷えやすい手先と足先をあたためられるように、胸ポケットと足元に内ポケット付き
・保温性があって柔らかいフランネル生地を採用
・アレルギーやかゆみの原因になるダニを退治する機能付き
・表面温度:(弱)約23度、(適温)約33度、(強)約53度
■売り値
・AC電源タイプ: \11,800(税込)
・USB電源タイプ: \9,980(税込)
■売り方
売り文句は「寒くてコタツから動けないなら、コタツごと動けばいい」
■売り場
楽天市場など
※ 売り値や売り物などは調査時の情報です。最新の情報を知りたい場合は、企業HPなどをご確認ください。
image by: Shutterstock.com