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ようやく日本でも浸透してきた「コンサルティング」とは本来どういうモノなのか?

就職先としても人気の高い「コンサルティング会社」。興味がある人も多いかと思いますが、いったい何を仕事にしている会社なのか、そしてどのようにして日本に浸透したのかご存知でしょうか。今回、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の著者、本のソムリエさんが紹介するのは、 日本で最も実績を残しているコンサル会社が「コンサルティングとは何か」について語った一冊です。

元ボストンコンサルティンググループ日本代表が戦略コンサルの勃興期を振り返る【一日一冊】コンサルティングとは何か

コンサルティングとは何か

堀紘一 著/PHP研究所

元ボストンコンサルティンググループ日本代表が、日本のコンサルティング業界の戦略コンサルの勃興期を振り返ります。著者が日本代表になったのが1987年なので35年前の話です。

著者は三菱商事に入社し、ハーバード大学でMBA留学し、ボストンコンサルティンググループへ転職します。当時は現在と違い、「なぜ三菱商事を辞めるのか?」と言われたという。当時の日本では、コンサルティング会社を使う企業はほとんどなかったのです。

著者は抜擢人事で、入社6年目で日本代表に就任。実は、ボストンコンサルティング日本支部は業績が悪く、成果が出なければ日本を撤退するという背水の陣であったのです。

その後は、著者の実力なのか、時代の流れなのかわかりませんが、ボストンコンサルティンググループは、日本で最も実績を残している企業となっています。また、日本企業にコンサルティングが浸透し、現在では商社とともに、コンサル会社が就職人気上位となっていることに時代の差を感じます。

自前主義の日本企業、傭兵を雇う欧米…話をしていると「この人の認識は、30~40年は遅れているな」と思うことがある(p60)

 

印象的だったのは、コンサルティングに「答え」はないという著者の言葉です。コンサルはヒアリングをして、問題を定義し、対策を考えます。問題のない企業は存在しないので、その中で「何が問題か」を定義することがポイントとなるのです。

そして、限られた時間内で最大の結果を引き出すために「何が問題か」という「仮説」を立てながら検討していくという。

ただ、欧米であれば、データを集めて事実を積み上げ、それを元にグラフを書いて説明すれば、方向性が間違っていなければそれで終了。ところが日本では、なかなか納得してもらえないし、実行まで行かないというのです。

したがって日本でのコンサルでは、顧客と一緒に検討し、顧客が自ら問題と対策に気付いたかのように導くのが対策が実行されるためのポイントなのでしょう。

戦略コンサルティング・ファームの仕事とは、答えを教えることではない。答えを「考える」ことであり、そこにかかる時間と労力に対して対価をいただくのである(p99)

日本代表となって苦しい時期に、ホンダ二輪部門と一緒に戦略を検討したこと。ユニ・チャームの商品を半分にして、海外進出を提案し、大きい成果を出したことなど、ボストンコンサルティンググループの成功事例が興味深い一冊でした。

現在では、自社だけで検討するのではなく、外部のコンサルも入れるのが常識ですが、そうした日本の企業文化を変えてきたという自負が伺えました。

最初に井戸を掘った人を忘れないという意味で、堀さんは日本のコンサル業界で記憶されるべき人なのでしょう。

堀さん、良い本をありがとうございました。

【私の評価】★★★★☆(85点)

<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)

image by: Shutterstock.com

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