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彼の存在なくして天下なし。将軍・徳川家康「影の立役者」伊奈忠次の偉大な功績

今年のNHK大河ドラマは「どうする家康」ということで、松本潤さん扮する徳川家康が主人公です。そんな家康を支え、江戸を大都市に発展させた「影の立役者」がいるのをご存知でしょうか? メルマガ『見ル野栄司のシブすぎ技術秘話』の著者で元エンジニア漫画家の見ル野栄司さんが、そんな隠れた偉人「伊奈忠次(ただつぐ)」という武将について紹介しています。

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大河で家康の今伝えたい「伊奈忠次」という武将について

いま、大河ドラマで「どうする家康」をやっておりますが、今回のタイトルの伊奈忠次さん。

彼はれっきとした徳川家康に使えていた武将です。それでいて、ちゃんと戦国を生き抜いたつわもの。

歴史好きにもあまり知られていませんが、彼は江戸時代に入って家康のもとで治水や道路などの整備、いわゆるインフラを請け負った名武将なのです。

お蔭で今の東京があると言ってもいいでしょう。

なぜ彼があまり有名ではないかと言うと、それは派手な合戦ではなく、兵站に専念していたからなんですねー。

兵站とは、このメルマガでよく出てくる言葉ですが、戦争の準備やおぜん立てをする部隊のこと。

少年たちがやっているボーイスカウトもそのひとつです。

戦国の大軍団が移動するには、大量の米や塩、建築資材、道路の整備など下準備がかなりかかるわけで、これがしっかりしているかどうかで戦の勝敗は決まったと言われています。

なぜ私が伊奈忠次に注目しているかというと、ある時代劇雑誌に持ち込みをした時に、見ル野さんなんだから戦国武将列伝よりも、もっとシブいモノづくり系でいったらどうでしょう?ということになりまして、だったら戦国の兵站なんか面白いんじゃないか?となったのですが、これが調べても出てこない!!

本当に記録が少ないんです。(笑)

それで調べに調べていきついたのが伊奈忠次。

彼が歴史で有名になったのが、豊臣秀吉の小田原攻め。

なかなか亀みたくなって言うことを聞かない北条をやっつけようと豊臣秀吉は20万人の軍団を引き連れて小田原遠征をするのですが、これこそ兵糧や道がとてつもなく大変だったのです。

この時の兵糧奉行は長束正家。彼は忍城攻めなどで石田三成に使えた有名な人ですが、もうひとり、道などを造る役目に任命されたのが伊奈忠次なんです。

それでやっと見つけた彼の自伝の本があるのですが、これが半分は この北条攻めの時の「舟橋造り」なんです(笑)。この記述がとてつもなく細かいのも笑っちゃいます。

出てきたのは、富士川を渡るための「舟橋造り」なんですが どうやって作ったのか?

とてつもなく川幅が広くて暴れ川の富士川に橋を架ける技術も時間もないわけで、舟橋だけに「船を川に横一線に並べて繋げ、上に板を張り付ける」のです。

非常にシンプルですが、これが簡単じゃない。そのままだと船たちは流されてしまう。

だからその前に川に鎖を渡すのです。渡した鎖は両岸にある親柱にくくりつけるのですが、これまたこの親柱が頑丈でなければならない。

ここが最初なんです、親柱の打ち込み。 直径は約30センチ。ここまで太いと人間が木槌で打っても地面に入りません。

だから櫓を汲んで上に大石を縄に付けた網を吊る下げて、がっこんがっこんみんなで綱を引っ張って打ち込むわけです。

これを両岸あわせて4本打ってから鎖を渡して船を固定させる。もちろん船にはイカリも付いています。濁流のなかそれをやるんだから大変ですぞー。

それも秀吉が到着する4日で!

さらに小田原までの川は他にも沢山あるんですぜ(笑)。その隙に北条のラッパという忍者に邪魔されたりするわけです。

だから、この伊奈忠次さんは徳川必需の武将になったのですね。

歴史的にも有名ではない人物。派手ではないが、彼がいなかったら徳川の 天下はなかった!

我々もそんな存在になりたいですね。

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image by: パブリックドメイン, wikipedia

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漫画家 半導体製造装置やアミューズメントゲーム機などの会社で、設計・開発に10年携わりその後漫画家としてデビュー。ものづくりエンジニアの取材漫画「シブすぎ技術に男泣き!」がベストセラーに。現在でもフライス旋盤、3Dプリンター、マイコンボードを使いものづくりをして漫画にしている。週刊プレイボーイ(集英社)、インターフェース(CQ出版)などで連載中。代表作に「シブすぎ技術シリーズ」「ロッカク」(KADOKAWA)「東京フローチャート」「ヤバすぎ技術にむせび泣き!」(小学館)「スナック鳥男」(コアマガジン)他多数。

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【著者】 見ル野栄司 【月額】 ¥880/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 火曜日(祝祭日を除く)

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