内容の公平性の是非に関しては論を置くとして、発売から1ヶ月あまりで累計20万部のベストセラーとなっている『安倍晋三回顧録』。その赤裸々な内容が話題ですが、とりわけ「財務省」に関する記述に驚かされた読者が多いといいます。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、安倍氏が財務省による消費増税圧力を跳ね返すことが出来なかった理由を、同書の内容を紹介する形で解説。さらに岸田首相の「財務省のポチ化」を止める具体的方法を挙げています。
安倍総理が恐れていた勢力とは?
皆さん『安倍晋三回顧録』もう読まれましたか?大ベストセラーになっているので、読まれた方も多いだろうと思います。これ、本当に歴史に残る本ですので、絶対読んだ方がいいです。
いろいろいろいろ書きたいことはあるのですが、今回は、「安倍総理が恐れていた勢力」について触れます。
皆さん、「安倍総理が恐れていた勢力」と聞いて、何を思い浮かべますか?
「中国」と答える人は、多いと思います。「アメリカ」と答える人も、いるでょうか。「ディープステート」とか。
答えは、【 財務省 】です。
なぜ?
安倍さん、民主党政権の間違いについて、こんなことをおっしゃっています
民主党政権の間違いは数多いが、決定的なのは、東日本大震災後の増税だと思います。震災のダメージがあるのに、増税するというのは、明らかに間違っている。
(p93)
安倍総理、極めて真っ当なことをおっしゃっています。岸田さんにいいたいです。「新型コロナ大不況のダメージがあるのに、増税するというのは、明らかに間違っている」と。
しかし、安倍総理、2014年に消費税率を5%から8%に引き上げています。なぜなのでしょうか?
社会保障と税の一体改革は、財務省が描いたものです。当時は、永田町が財務省一色でしたね。財務省の力は大したものですよ。時の政権に、核となる政策がないと、財務省が近づいてきて、政権もどっぷり頼ってしまう。菅直人首相は、消費増税をして景気を良くする、といった訳のわからない論理を展開しました。民主党政権は、あえて痛みを伴う政策を主張することが、格好いいと酔いしれていた。財務官僚の注射がそれだけ効いていたということです。
(p95)
「消費増税をして景気をよくする!!!!!!!」
無理であること、中学生でも理解できるでしょう。恐ろしいことです。
結局2012年野田政権下で行われた、民主党、自民党、公明党の「三党合意」を、安倍さんでも覆せなかったということなのでしょう。それで、安倍政権下の2014年、消費税率は5%から8%に引き上げられました。
そして三党合意によると、翌2015年には税率が8%から10%に引き上げられることになっていたのです。安倍さんは、消費増税延期をかかげ2014年11月に解散しました。これについて、
増税を延期するためにはどうすればいいか、悩んだのです。デフレをまだ脱却できていないのに、消費税を上げたら一気に景気が冷え込んでしまう。だから何とか増税を回避したかった。
(p148)
私たちは、「首相がやめたければ、やめることができるのでは?」と考えてしまいがち。しかし、どうもそう単純な話ではないみたいです。
しかし、予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは
(p148)
彼らは、のつづきは何でしょうか?紙に答えを書いてから続きをお読みください。
しかし、予算編成を担う財務省の力は強力です。彼らは、自分たちの意向に従わない政権を平気で倒しにきますから。
(p148)
驚きました。財務省は、言うことを聞かない総理大臣を倒しにくるそうです。これ、安倍総理の言葉です。
増税先送りへの財務省の抵抗は強かった。でも、デフレ状態の時に消費増税を2回も短期間で行うという考えが間違っているのです。しかも、増税した5分の4は、借金の返済に充てるという、実体経済を全く無視した政策なのです。予定通り消費税を引き上げていたら、経済は大変なことになっていましたよ。
(p214)
安倍総理は、明確に「消費税引き上げで経済が大変なことなること」を理解していた。それでも、消費税率引き上げを2015年から2019年まで延期することしかできなかったのです。
というわけで、安倍総理が恐れていた勢力とは、【 財務省 】でした。
そういえば岸田さん、総裁選の前は、「私は財務省のポチではありません。なぜ、財務省のポチと呼ばれるかわかりません」といっていました。
ところが、アッと言う間に「ポチ化」して増税の話をしはじめました。岸田さんが財務省に負けたら、日本は【 暗黒の40年 】です。皆さん是非官邸に「増税反対メール」をお送りください。
(無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』
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