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ブレない三浦瑠麗。「詐欺師の広告塔」が雑誌の「独占120分」で語った“夫婦ポエム”の噴飯

夫の逮捕以来、これまで頑なに沈黙を守ってきた三浦瑠麗氏。そんな彼女が『文藝春秋』編集部に語った「独占告白」に、各方面からさまざまな声が上がってします。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、漫画家・小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、その内容を紹介しつつ鋭いつっこみを連発。さらに事件について何一つ説明しない三浦氏の卑怯な姿勢を、強く批判しています。

夫婦ポエムで押し切られた三浦瑠麗「独白120分」のバカバカしさ

今年3月7日、三浦瑠麗氏の夫で投資コンサル会社「トライベイキャピタル」代表の三浦清志容疑者が、4億2,000万円の業務上横領の疑いで東京地検特捜部に逮捕された。

トライベイ社は、兵庫県で建設を計画していた太陽光発電事業に対して、投資会社に10億円を出資させていた。ところが、実際には建設用地の取得や周辺住民の同意などが進んでおらず、トラブルに発展していた。

この太陽光事業を行うための会社の口座から、トライベイ社や清志容疑者個人の借金返済にあてる目的でカネを着服したのが逮捕容疑だという。他人から集めた出資金を私的に使ったのだから立派な横領で、刑法で「10年以下の懲役」となる重い罪だ。

恐らく、もともと資金繰りがうまくいっておらず、無理のある状態で投資を勧誘していたのだろう。

出資した側も、騙された立場とは言え、そもそも「投資のプロ」であり、儲け話に乗っての出資なのだから、清志容疑者に対する信用調査が足りておらず、危うさを見抜けなかったことは、とんだ赤っ恥だと私は見ている。

投資のプロが目くらまされたのは、清志容疑者の妻・三浦瑠麗氏の存在が大きかったのだろうと容易に想像がつく。

夫婦は永田町の同じスペースに、お互いの経営する会社事務所や関連会社の本社を置き、2社間でスタッフを兼務させるなど混然一体とした状態にあった。政治家や著名人を招き入れて懇意にしたり、これ見よがしに優雅なセレブ生活を披露したりしてきた。

瑠麗氏は政権内部に強力なコネを持ち、2020~21年の政府の成長戦略会議では、太陽光発電を推進する発言を繰り返している。出資元が「政治が味方につくビジネスだ」と考えて、儲かると思い込んでもおかしくはない。

『週刊文春』3月23日号では、清志容疑者の元ビジネスパートナーが「瑠麗氏はトライベイの広告塔だった」と証言している。清志容疑者は、地方の金融機関を訪れて融資を依頼する際、「瑠麗の講演会が必要であれば、いつでも連れてきますよ」を常套句にするなど、妻の知名度をうまく利用していたようだ。

また、『週刊文春』3月16日号には、今回の事件とは別件で、清志容疑者に4億円を出資したという人物がインタビューに応じ、

「元々の契約は、5億円出資したら7億円になるというもの。結局4億円を出資しましたが、1円も利益はなかった。完全に騙されました」
「彼女(三浦瑠麗)が会議室に姿を見せた時は驚きました。当時は安倍総理のブレーンのように振舞っていてテレビにもよく出ていたし、ネームバリューは絶大でしょ。4億円の出資を決めたのは、三浦瑠麗という舞台装置に騙されてしまったからです」

と痛恨の思いを語っている。

事業の打ち合わせのために永田町の事務所へ打ち合わせに行くと、瑠麗氏が登場し、にこやかに挨拶されたことに衝撃を受けて、出資を決めたらしい。

男ってやつぁ……。

まず最初に、三浦瑠麗に挨拶されただけで、浮かれてホイホイ4億も出すなんて、どこまで脇が甘いんですか、と言いたい。

そもそも「5億円出資したら7億円になる」なんていう儲け話そのものが、うまくできすぎているのに、なぜ「あやしい」と考えなかったのだろう?

投資勧誘としては、それほど巧妙な手口とは思えないのに、「騙された」と騒ぐ時点で恥の上塗りになってしまうのでは……などなど、なんだか同情しづらい部分があるが、それほど「女」「テレビで見る著名人」「権力者と懇意」の3点セットには、人の判断力を奪い去る威力があり、注意しなければならないということだ。

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次々と噴出する三浦夫妻の腹黒さを伝える話

家宅捜索を受けた際、瑠麗氏は「夫の会社経営には関与しておらず、一切知り得ないこと」と主張していた。

なるほど、株式会社である限り、大株主であっても、役員登記していなければ単なる株主に過ぎないし、経営には関与していないと言える。たとえ、経営に関する話や捜索に関する口裏合わせをしていたとしても、それが夫婦の私生活という密室で行われており、文書やメールなどの物的証拠が存在しないのなら、法的には藪の中だ。

ところが、法的には問えなくとも、瑠麗氏の主張がまったく信用できないと思える話が『週刊文春』で報じられた。

トライベイ社は、利益の大半を吸い上げる目的の持株会社「アセット社」をシンガポールに設置しており、その大株主は瑠麗氏なのだという。

シンガポールは、法人への課税が日本の半分程度と安く、投資会社や富裕層が資産管理の拠点として多いに利用している国だ。三浦夫妻も、その典型的なやり方で税金対策をしていたわけだ。

しかも、瑠麗氏の笑顔に騙された出資者には4億円を出資させているが、アセット社の出資額は10万円。その上で、得られた利益の8割以上はアセット社が得るという取り決めになっていたという。

なるほど、そんな利益収奪の方法があるのかー!

などと膝を打っている場合ではない。

こんな利益配分にどうして納得して契約したのか、「5億出せば7億になる」という話がますますあやしくなるばかりではないかとしか思えないが、とにかく、明確に、太陽光事業の利益が瑠麗氏に直結する仕組みが作られていたということだ。

さらに『週刊文春』では、アセット社設立時は株主でしかなかった瑠麗氏が、清志容疑者が逮捕される4日前の3月3日に、シレッと役員に登記されていたことも報じている。

家宅捜索が入り、そろそろ夫が逮捕されそうだとわかった時点で、今後の資産管理の舵取りを瑠麗氏が引き受けるという相談を夫婦間でしたのだろう。

「夫が勝手に」「そんな話とは知らなかった」等々なんだかんだ言い逃れられる範囲かもしれないが、本人の意思がなければ、役員登記できないのは当然のことで、人前で発言する人物としては信用ならない、ふさわしくないと見なさなければならない。

ほかにも三浦夫妻の腹黒さを伝える話が次々と噴き出している。

3月10日には、『FRIDAY DIGITAL』によって、トライベイ社がコロナ給付金の不正受給していることが報じられた。給付条件を満たさないにも関わらず、中小企業庁の「家賃支援給付金」約530万円、東京都の「家賃支援給付金」約30万円を受け取っていたという。

同社の元関係者によれば、瑠麗氏は「売り上げなんて数ヵ月ずらして操作すればいい。バカ正直に計上しなくたっていい」などと発言していたらしい。

さらに『週刊文春』3月30日号では、瑠麗氏が太陽光発電事業のビジネスパートナーらの前で、夫に対して「彼らと事業をやってるのに、100億円くらい作れないの?」と叱咤激励していたことも報じられている。

だが、どれもこれも、明確に瑠麗氏の法的な問題を問いきれないところが、ヤラシイところだ。三浦瑠麗は、ずっとこう言っておけばいい。

「夫のもとに打ち合わせに来た人に、たまたま挨拶しただけ」
「直接的に投資を勧誘する言葉を言ったわけではない」
「夫が資金繰りに困っていたなんて、寝耳に水」
「夫を信じていたから、太陽光発電事業も当然、みんながハッピーになる素晴らしいビジネスだと信じていた」
「政府の戦略会議で太陽光発電を推進する発言をしてきたが、エネルギー問題全体を考えての善意の発言にすぎない」
「竹中平蔵パソナ問題のように、私が権力をふるって直接利権を獲得できるわけではないから、利益相反と言われると悲しい」

ッカーッ、自分で列挙しておいて、ヤラシイなあと思えてくるが、私の思いついたこの想定問答をサラッと超える本人の独白が、このたび『文藝春秋』2023年5月号に掲載されていた。

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なぜか小見出しは『談春師匠と飲み続けた』

題して『夫の逮捕で考えたこと ─十代の自暴自棄な私を救い出してくれたのが夫でした─』。独白はこんな一文ではじまる。

3月13日は、私と夫の清志くんが入籍して20周年にあたる結婚記念日でした。出会ったのはお互いに東大の学生時代のことです。

ぐわあああ!第1球から放たれる「清志くん」!

拘置所の夫からは「こんな20周年になっちゃって、ごめんね」というメッセージが届いたらしい。

いきなりノロケから入り、逮捕当日について語り始めるのだが、自分にも容疑が降りかかるのではないかとさぞや焦り倒したのかと思いきや、なぜか小見出しは『談春師匠と飲み続けた』。

その日は、落語家の立川談春と打ち合わせの予定になっていたそうだが、逮捕騒動で世間は大騒ぎ。談春からは「俺、行っていいのか?」と戸惑いの電話があったものの、「いいですよ」と事務所に呼びつけたらしい。

ところが、駆け付けた談春とともにハイになって、どうしていいかわからないので、なぜか「飲みますか」という話になり、ウイスキー瓶をドンと用意して、ロックで何時間も飲み続けたらしい。

なんなんだ、その太すぎる根性と、意味のわからないテンション、そしてそれにあっさり巻き込まれているオッサンは!

談春ってやつぁ……。

三浦瑠麗の笑顔に騙されてホイホイ駆け付けてしまったばっかりに、よりにもよって『文藝春秋』誌上で、本人から当日の模様としてネタにされることになるなんて、まったく情けない。

また、政府の成長戦略会議で、太陽光発電推進を訴えてきたことについては、「グローバルな潮流を見ても、ごく当たり前の政策的立場」「私の主張は経産省や資源エネルギー庁の方針とも一致しており、意見を同じくする人は多いはず」などと主張。

夫の事業を隠して、利益相反を疑われるのはよくないという理屈で、こう述べている。

だからこそ、これまで発言をする際には、夫が事業をしていることを明示するように気を付けてきました。政治学の分野で、私はエネルギー問題を知悉している自負があり、一切発言できなくなるのは嫌だったので、あえて関係性を明示して発言する道を選んだのです。

エネルギー問題を知悉しているという自負があると言うが、そもそも三浦瑠麗は、もとは原発推進の立場で発言していたはずだ。それが突然、太陽光推進に鞍替えし、原発推進論者と討論しはじめたのだから、「それって夫のビジネスで、自分にも利益がめぐってくる業界だからでしょ?」としか思えない。

夫の事業を公言していれば、客観的には、「夫の投資勧誘の手助けになっていた」と判断されるのが常識だ。

また、シンガポールの持株会社の大株主であることについては、「いままで配当も報酬も得ていません」と述べているが、配当がないのは、夫の事業が回っていなかったからで、ビジネスどころか、出資金をそのまま借金返済に充てる犯罪に手を染めるまでになっていたという実態のほうがよほど重要だろう。

夫の事業に関与しておらず、実態を知らなかったというのが本当ならば、これまでの生活を立ち返り、「これまで私たち夫婦は家賃300万円の六本木ヒルズ高層階に暮らし、軽井沢に別荘を建て、ハイブランドを身にまとって優雅にふるまってきた。でも、この暮らしには、出資者から預かったカネが流れ込んでいたのでは……?」などなど思い至り、自分が詐欺まがいの投資勧誘に手を貸してしまっていたのではないかと悩んで、夫のカネの流れについて調べてみるというのが、良心ある妻の普通の行動だと思う。

だが、まったくそんな気はないらしい。

それどころか、夫のキャリアの輝かしさを紹介し、いかに有能で、太陽光事業を重要な電源開発と考える高尚な人間なのかを印象付けるような独白をつづけたのち、「彼は本当にがんばっていた」などと結んだ。虚栄心ぷんぷんである。

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三浦瑠麗はどこまでいっても「三浦瑠麗」

続いて『夫の慟哭が忘れられない』という小見出しが躍る。

おお、逮捕に際して、さすがに夫も自分の犯した罪を後悔して慟哭したのかと思いきや、話はなぜか瑠麗氏の生い立ちに。

いじめを受けた、性被害を受けた、不倫をしてきた、つらかった、孤独だったという、「そんな話、いま関係ないので結構です」としか言えないベットリとした自身の半生の不幸語りが続き、「そんな私を救い出してくれたのが夫だった」と、ポエム風に夫を持ち上げた。

で、そんな夫が犯罪に手を染めて慟哭することに──と思ったら、

大学4年生で結婚してから7年、博士課程を終えようとするときにようやく最初の子供をおなかに宿すのですが、死産してしまいます。病院で娘の亡骸を前に打ちひしがれた夫の慟哭する姿は忘れられません。

関係ねーやん!!

びっくりしたわー。死産は気の毒な話だけど、それ、圧倒的に今回の事件に関係ないですし!!同情を誘うにも、事件とのつながりがかけ離れすぎていて、どう受け取っていいのか困惑するばかりですし!!

その後も、いかに夫が私にやさしい人なのか、夫婦でつらいことを乗り越えてきたのかという「夫婦ポエム」で話は押し切られていく。

ポエムで気分を高めた瑠麗氏は、最終的に今回の事件にふれ、こんなことを語り出す。

皮肉なことに家宅捜索を受けてから逮捕されるまで、家族三人で一緒に過ごす時間が増えたのは幸せなことでした。不安定な状況から食欲が落ちるので、夫婦二人ともダイエットに成功したうえに、夫がスマホを押収されたので、デジタルデトックスができた。

おいおい、この独白、誰が聞き出したんじゃーーーっ!!

現場で相づち打ってた奴、出てこいやーーーっ!!

犯罪がバレて不安定になり、食欲が落ちて痩せたことを「ダイエットに成功した」、特捜にスマホを押収されたことを「デジタルデトックス」と言い換えてしまう、この激しいふてぶてしさ!

ッカーッ、これが三浦瑠麗なのだ!

ただ、夫は自分がいなくなった時に備えて、私と娘に不便がないよう、あらかじめまとめてゴミを出してくれたりして助かりました。

ゴ、ゴミ!?散々セレブぶっといて、そこだけやたら所帯染みてるのは、どういう思考回路ーーーっ!!

夫が逮捕されてるのに、「ゴミ出してくれてて助かる♪」とか言ってる妻が、ワタシ、じぇんじぇん、わかりましぇーーーん!!

あまりに衝撃的な記述が次々と繰り出されるので、思わず赤のマーカーで線を引いてしまったほどだ。

その後も、拘置所の夫に差し入れた本は、E.H.カーの古典だの、カミュの名作だの、ちょっとした解説を混ぜ込んだインテリアピールが続き、いちいちすべてが、「夫が逮捕された妻の独白として、必要でっか?」と言うしかない内容だった。

私は個人的には、バカバカしすぎて爆笑した部分が多かったが、結局、事件については何一つ説明しておらず、すべてを“不条理な世界における、愛し合う夫婦の試練”というイメージに包んで隠してしまおうという、ふてぶてしさと腹黒さだけが後味として残り、三浦瑠麗という人間の卑怯さがよくわかるものだった。

この期に及んで、まだ三浦瑠麗を「知識人」として起用しようというメディアがあるのなら、それは、笑顔にのぼせて騙されているか、信頼よりも話題性をとる悪辣な商魂と判断していいと思う。

三浦瑠麗は、どこまでいっても、三浦瑠麗。である。

(『小林よしのりライジング』2023年4月18日号より一部抜粋・文中敬称略)

2023年4月18日号の小林よしのりさんコラムは「戦後最大の宮さま詐欺」。ご興味をお持ちの方はこの機会にご登録ください。

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image by: 防衛大学校ホームページ, CC BY 4.0, via Wikimedia Commons

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【著者】 小林よしのり 【月額】 ¥550/月(税込) 【発行周期】 毎月 第1〜4火曜日 発行予定

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