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自殺率が先進国で第1位。何が日本の若者たちを追い詰めているのか?

2022年にはついに500名を超え、これまでで最多となってしまった小中高生の自殺者数。千葉県では先日、女子高生2人がマンション飛び降りを動画配信するという痛ましい事件が発生してしまいました。一体何が日本の若者たちを追い詰めているのでしょうか。今回のメルマガ『小杉沙織の「NPO代表が見てきた若者支援の現状と闇、そして若者たちの叫びと本音」』では、「NPO法人若者メンタルサポート協会」理事長・心理カウンセラーとして多くの若者や彼らの家族の心を救い続けてきた小杉さんが、これまで自身のもとに「死にたい」と相談にきた子供たちの共通点と、彼らの自己重要性を下げる原因を紹介しています。(この記事は音声でもお聞きいただけます。

日本は若者の自殺率が先進国で第1位という状態がずっと続いている現実

4月13日に、とてもショッキングな出来事がありました。ニュース記事から抜粋すると…。

4月13日午前4時ごろ、千葉県松戸市のマンション敷地内に少女2人が倒れているのが見つかり、いずれも死亡した。

 

マンション最上階の10階には、学校の制服のような上着と靴がそれぞれ2人分置かれていたという。

 

衝撃的だったのは、2人がTwitterで飛び降りる様子をリアルタイムで配信していたことだ。現在は削除された33分23秒にわたる動画には、制服のような服装の少女2人が高所から飛び降りるショッキングな様子が記録されていた。

 

少女のうち1人が「怖い……怖いよ」と何回か繰り返したのち、「大丈夫、行こう」「せーので行くよ?」「せーの」と腕を組みながら後ろ向きで飛び降りている様子が映っている。

 

2人の姿が画面上から消えたあと、“バン”という衝突音が響く。

死亡した2人は、それぞれ新潟県に住むXさんと、松戸市に住むYさんだとみられる。2人はともに女子高生だった。

 

XさんのTwitterには、〈早く死にたい〉という投稿や、オーバードーズをにおわせる内容が続く。このほかにも、恋愛についても悩んでいたことが、次のような投稿の内容から見受けられる。

「2人はそれぞれTwitterで“病みアカウント”を持っていて、リストカットの画像を載せたり、何歳までに死ぬとか何日までに死ぬといった内容のツイートを投稿していました。2人とも自殺願望をずっと持っていたんです。自殺する前にこのアカウントは削除したみたいです」

 

居住地も全く異なる2人──。希死念慮が2人の仲をさらに縮めたのだろうか。

Yさんと一緒に飛び降りた新潟県の女子高生Xさんも、〈最後の晩餐〉などと、自殺する前の様子を投稿している。

 

ネットで出会った女子高生2人が一緒に自殺するという衝撃的な事件。だが、XさんとYさんのような自殺を選ぶZ世代が増えているのが現状だ。

 

厚生労働省と警察庁の発表によると、全国で昨年1年間に自殺した小中高生は514人で過去最多となり、小学生は17人、中学生が143人、高校生が最も多く、354人だった。

 

また、若い世代で死因の第1位が自殺となっているのは、先進国(G7)では日本のみであり、その死亡率も他の国に比べて高いのが現実だ。

 

今、若い世代の心のケアがより一層求められている。

まさに日頃私たちが対応している若者たちのニュース。

しかも配信して亡くなったというショッキングなものでした。

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かれこれ10年間、こうした若者の生きづらさや希死念慮について、社会に訴え続けてきたけれど、若者の自殺率は減るどころか増え続ける一方。

「死にたいと生きづらさを抱える若者へ」とメッセージを発信しLINEのアカウントをブログやSNSに公開し相談活動を始めたのは11年前。

その頃は、どれだけ訴えても「そんな子はいるんですか?」と言われてきましたし、当時は私を応援してくれてた経営者さんが、テレビ局の人に私を紹介してくださっても「良いことしてるとは思うのですが、テレビで取り上げるにはテーマが重たくて…すみません」と何度も言われたものでした。

どれだけ若者たちのケアを訴えても、みんな目を背ける…見ないようにする…そんな時代が続いていました。

流れが変わったのは、2018年に起きた座間市でのバラバラ殺人事件からで、Twitterで死にたいと言ってる子を呼び出して何人も惨殺するという事件から「そんなに死にたい子がいるのか」とやっとメディアが取り上げるようになったのです。

その時に一斉に世の中がLINE相談を取り入れるようになり、長くLINE相談をしていた私は日経新聞さんから「一番長くLINE相談をしてるのは岡田さん(当時の苗字)でした」と取材依頼があったのもこの時でした。

ただ、この時に私自身は「結局世の中は利権なんだ」と思うような出来事を知るのですが…(この話は次回に)。

そんなふうに長く若者の自殺というテーマを、重たいからと蓋をされてきた中で、やっとメディアが取り上げるようになってから5年が過ぎても、こうして若者の自殺は止まるどころかショッキングな形で増え続けています。

うちに来る相談でも「死にたい」と希死念慮を抱えた子の相談は圧倒的で、女の子に限らず男の子も居場所がなく悩んでる子が多く、原因は学校のことやイジメなど多岐に渡りますが、根本的な原因として私が長く訴えているのは「家庭環境のこと」。

虐待やネグレクトのような問題のある家庭はもちろんですが、多くは虐待のような家庭というよりも、側から見ると一般的な普通の家庭の親子関係なのですが、例えば親御さんが忙しくなかなかコミュニケーションを取れる時間がないお家だったり、両親が不仲で家が安心できる環境でなかったり、いつも親が不機嫌で怒ってばかりだったり、そうした家庭で親御さんの顔色を伺って生きてきた子も今の時代とっても増えています。

決して親御さんに悪気がなく、お子さんを本当は愛していたとしても、日頃の毎日の中で、ついお子さんとのコミュニケーションや会話を後回しにしてしまったり、親子だからとキツく当たってしまったり、そうした日々の中で「家に居場所がない、自分は誰にも愛されない」と自己重要感を下げてしまい、生きてる意味すらも見いだせなくなってしまう…そのような若者が後を絶ちません。

今回の若者2人がどんな家庭環境だったかはもちろん分かりませんし、家庭環境が原因だとは決して思いませんが、10年以上若者の相談を続けて何万人と見てきて、親に無条件の愛情をたっぷり受け、親に愛されてると心から感じられてる子で「死にたい」と言ってる子に未だひとりも会ったことはありません…。

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image by: Shutterstock.com

小杉沙織この著者の記事一覧

NPO法人若者メンタルサポート協会理事長、株式会社Tell Me Agency共同代表、若者心理アドバイザー 幼少期からの壮絶な人生を乗り越えた経験から、2012年より10代の若者の無料相談活動を開始、2015年NPO法人若者メンタルサポート協会を設立。 団体には様々な環境で生きづらさを抱える若者から月に2~3万通を超える相談が寄せられ、思春期の若者の心の専門家としても活動。公式ブログで人生を変えるメッセージを発信する傍ら、波瀾な生い立ちも赤裸々に公表し、人生を変えたいと願う人からも多くの反響を呼ぶ。講師・執筆・ラジオMCなど幅広く活動。めざまし8のコメンテーターをはじめ、多くのメディアにも出演。 著書「あなたは何も悪くない(サンマーク出版)」

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【著者】 小杉沙織 【月額】 ¥1,078/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 第1日曜日・第3日曜日

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