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すべてアベノミクスのせい。円安で日本を屈辱的なバーゲンセール国家にした安倍政権の大罪

4月末には一時1ドル160円台をつけるなど、止まらない円安の流れ。上がらぬ賃金と相まって国民生活は苦しくなる一方ですが、このような状況はもはや日本の宿痾となってしまうのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、アベノミクスこそが現在の惨状を招いた「真犯人」としてその理由を詳細に解説。さらに国家再生のために打つべき手を考察しています。
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:海外旅行は一生に一度という1ドル360円時代に逆戻りで円安地獄は続く!アベノミクスの犯罪的大失敗がもたらした日本のこれからの大災厄

大バカなアベノミクスの大罪。世襲3代目のひ弱なボンボンに破壊された日本

海外旅行は一生に一度という1ドル360円時代に逆戻りで円安地獄は続く!アベノミクスの犯罪的大失敗がもたらした日本のこれからの大災厄

みなさま、こんにちは!

「衰退ニッポンの暗黒地図」をお届けするマネーアナリストの神樹兵輔(かみき・へいすけ)です。

さて今回は、「海外旅行は一生に一度という1ドル360円時代への逆戻りで円安地獄が続く!アベノミクスの犯罪的大失敗がもたらした日本のこれからの大災厄!」というテーマでえぐっていきたいと思います。

4月24日(水)には、ドル円相場が一時「1ドル=155円」台を突破したという、円下落のニュースがありました。

1990年6月以来34年ぶりの円安水準だそうです。

そして翌々日の26日(金)には、今度は一時「1ドル=156円」台をつけ、27日(土)には、「1ドル158円」台まで記録しているのです。わずか3日で、3円にも及ぶ急降下でした。

どうやら円の下落には、もはや歯止めが利かない状況です。

おそらく今月中には、「1ドル=160円」台ということにもなるのでしょう。

世界の地政学、政治・経済の悲観的シナリオを読み込ませたAIの予想では、2024年12月には「1ドル=230円」という推測値までが示されている状況です。こうなると、もはや、その次は250円台、300円台が見込まれます。

それもそのはず、米国長期金利(10年物国債金利)は、昨年10月に一時期5%台を突破する勢いで、現在も4%台後半で推移するのに対し、日本の長期金利は1%にも届かずに0.8%程度で推移しているからです。

単純比較すれば、日米では、3%台から4%近くまでの金利差が開いているのです(短期金利では5%以上の金利差)。

日本円を売り、米国ドルでの運用が有利であるのは一目瞭然なのです。

なにしろ、日銀・植田和男総裁の発言には、「日銀はなーんも出来ましぇんよー!」と言っているに等しい、虚しい響きを感じるのが、世間一般の受けとめ方だからです。

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海外旅行は一生に一度という1ドル360円時代への逆戻りで円安地獄が続く!アベノミクスの犯罪的大失敗がもたらした日本のこれからの大災厄!

新聞やテレビのニュースによれば「市場では政府・日銀によるドル売り・円買い介入に警戒感が高まっている」などとコメントが付されていますが、むしろ、日米金利差による円安は、今回の155円突破からの3日で3円もの急降下という大番狂わせで、かえって弾みがついて、円安をさらに押し進めることも予想されるでしょう。

つまり、このへんで、たとえ円買い介入しても、市場の趨勢はさらなる円安方向へと傾いているため、当局も介入など「無意味・無駄」ということが自明であり、もはや打つ手ナシの状況なのです。

「もしトラ」や「ほぼトラ」で去就が注目される米国トランプ前大統領が「ドル高はアメリカの製造業にとって大惨事だ」とSNSに投稿したほどに、米国の金利低下は遠のくばかりです。

日本の国力の衰えや、日銀の信認の揺らぎも加味すれば、これから円は、「1ドル=200円」台に向かって突きすすみ、200円台を突破すれば、今度は「1ドル=250円」台に、そしてさらには「1ドル=300円」台から、ついには「1ドル=360円」台へと、かつての固定相場時代のドル円レート水準へとダダ下がりしてもおかしくない状況を迎えているのです。

「まさか、そこまで円が安くはならないだろう…それは冗談だろう」とお思いの方が多いことでしょう。

しかし、実際問題、BIS(国際決済銀行)の実質実効為替レート(2010年=100の基準)においては、すでに2024年1月時点で、円レートは60を切っており、この水準は円が変動相場制に移行(1973年2月)する以前のニクソンショック(1971年7月)まで続いた固定レート制「1ドル=360円」時代と同水準になっているのであり、別段根拠のない話ではないからです。

何でこんな悲惨なことになっているのか。

むろん、10年間も続けた、忌まわしい天下の大愚策「アベノミクス」の大失敗の災厄に他ならないからです。

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政治は「円安=物価高」や国民生活窮乏にも無関心!

さて、円安による輸入価格上昇による物価高で、国民生活は窮乏する中、政権与党・自民党では、そんなこととはおかまいなしに、このところの「派閥・パーティ券・裏金」問題を巡って大騒動でした。彼らは、国民生活のことなど眼中にないのです。

かくして自民党は、今回も露見した「政治とカネ」の醜い構図を、一日も早く、ウヤムヤにするべく必死に幕引きの頃合いを図っています。

そして、テレビや新聞といった日本の忖度・腐れマスメディアも、いつもの如く阿吽(あうん)の呼吸で、自民党のこうしたウヤムヤ戦略に同調する姿勢です。

さっさと、「政党交付金制度(1994年導入の国民一人当たり円の政党への年間助成金億円)」導入時の約束だった「企業・団体献金の禁止」を真正面から要求すればよいだけなのに、議論を巧妙にずらしているからです。

日本の腐れマスメディアは、政治資金の「透明性確保」だの「連座制導入」などと相変わらずの、とぼけた寝言を重ね、「企業・団体献金を禁止すべし」といった正面からの議論を遠ざけ、巧妙にはぐらかしているばかりなのです。

本当にしょうもない、体たらくの日本のマスメディアなのです。

一票の権利も持たない大企業の政治献金(経団連の差配によって自民党だけに年間合計50数億円のカネが渡っている)によって、政治が支配されている構図がある──にも関わらずです。

また、日本国憲法第15条2項には「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という規定があるにも関わらず、そもそも自民党の大企業・富裕層優遇政策は憲法違反であり、自民党の国会議員はその常習犯ともいえるのです。

自民党は、4月23日(火)に、ようやく今回の裏ガネ騒動を受けての「政治資金規正法」改訂の独自案を公表しましたが、これがまた相変わらず国民を舐めた内容でした。

そして野党も、肝心の「企業・団体献金の禁止」や廃止を正面から求めているのは5党(立憲民主党、日本維新の会、日本共産党、れいわ新選組、社民党)ぐらいです。自民と一蓮托生の公明党や、自民すり寄りで与党入りしたくて仕方がない国民民主党は、ムニャムニャと曖昧なのです。

自民党は連座制については「ゆるゆる規制のナンチャッテ連座制」の導入でお茶を濁し、「企業・団体献金」の禁止には、まったく目もくれない態度でやりすごそうとしているわけです。

これでは、またぞろ醜いカネ絡みでの事件を何度でも呼び起こすだけでしょう。どこまで国民を愚弄する自民党なのでしょうか。

この程度の抜け道だらけの「改訂」でも示せば、これで国民もまた容易に騙されるだろう──とタカをくくっているのが、懲りない自民党なのです。

亡国の「円安」で国民生活が困窮しているというのに、国会では、与党も野党も、高額報酬・高待遇の「ぬるま湯」議会の中で、とりあえず「政治改革」とか言いながらの、馴れ合いのお芝居をえんえんと続けるばかりなのです。

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訪日客は「ニッポン・バーゲンセール」でウハウハ!

さて、34年ぶりの円安ですが、日本から海外へのツアー料金は、軒並みコロナ禍前の2~4倍にまで跳ね上がっています。

燃油サーチャージの負担増もあって、海外旅行はどこも値上がりが顕著です。

かつての1ドル360円の固定レート時代の「海外旅行は一生に一度行ければよい夢」という再来が近づいているのです。

安い──といわれたアジア諸国ツアーにおいてさえ、円安の影響は甚大であり、もはや東南アジアは「安い国々」とはいえない旅行先となってきています。

ましてや欧米ツアーをはじめ、アジア以外の渡航先にいたっては、ほとんどが手の届きにくい、高額の海外ツアーにまでなってきているのです。

アメリカでは、チップ(約20%)も含めて、ゆうに一杯3,000円以上は当たり前のラーメンが、日本では1,000円前後もしくはそれ以下の価格ですから、米国人は日本に来るや、日本の激安物価に驚きっぱなしです(大都市部の時給も日本の3倍を超えている)。

アメリカのタクシー料金も日本の2倍以上ですから、都内の電車の乗り換え事情に疎い米国人は、安い日本のタクシー利用でガンガン都内を移動するそうで、おかげで日本のタクシー業界もウハウハになってきました。

フランスでは、人気の高い「鬼滅の刃」のフィギュアが1万5,000円以上するのに、日本では10分の1以下の1,400円で手に入りますから、アニメファンにとっても大歓喜です。

デンマークでは、日本の神戸牛が2万円以上するのに対して、日本では4分の1程度の値段ですから、激安に映ります。

海外諸国から日本への旅行客は、みんなウハウハ状態なのです。

そんな日本では、30年間賃金が上がらなかった雇用者たちばかりですから、日本国内のちょっとした物価高であってさえ厳しい環境であり、彼我の差にはトホホの状態になります。

そのせいもあってか、観光庁の統計では、3月の訪日外国人客数(インバウンド)は、308万1,600人で、単月では過去最多を更新したといいます。まさしくニッポン・バーゲンセール状態なのです。

訪日観光客の多い、浅草や豊洲市場の飲食店では、もはや日本人客など眼中になく、1杯5,000円以上する海鮮丼や1万円以上の寿司セットを提供し、訪日観光客には、それでも「激安!」と大好評になっているのです。

コロナ禍の厳しい3年間を乗り越えた、観光地の飲食店や宿泊施設は、日本人客には高額すぎる料金でも、外国人客には売れるので、訪日外国人の来訪は大歓迎です。

店もお客も、ともどもにホクホク顔なのです。

そのうち、日本の観光地では、日本人観光客は相手にされなくなるのかもしれません。

こんな屈辱的なバーゲンセール国家にしてしまったのは、まさしく政治の責任です。

円安にして、大企業だけを喜ばせれば、トリクルダウンで下々へも富が滴り落ちるだろう──などという大バカなアベノミクスの大罪なのです。

この状況は、本メルマガでも何度も指摘してきたように、経団連の命令に従って「賃金下押し波及政策」や「消費税率アップ」で国民所得を限界まで落とし込んできた自民党を、ずっと政権の座に就かせてきた日本国民の自業自得でもあるわけです。

今さら、自民党が産業界に向けて「賃上げ」などと口にするのも笑止千万で、それでも自民党は大企業向けには特に手厚い「賃上げ促進税制」で、「泥棒に追い銭」的な政策を打ち出しています。

どこまでも、献金をくれる大企業には頭が上がらないのです。

輸出中心の資本金10億円以上の大企業は、この間550億円もの内部留保(利益剰余金)を貯めこみ、賃金を30年間も上がらないよう経団連から指図された自民党は、「賃金下押し波及政策」をずっと画策してきました(賃金搾取の派遣労働の拡大、逆進性の高い消費税率アップ、奴隷労働を強いる外国人技能実習制度拡充などなど…)。

なんたって、政権与党自民党だけが、政治献金を毎年50数億円も恵んでくれる大企業団体の「経団連」の意向に従ってきた結果が、この大災厄だったわけです(毎年、自民党本部の政治資金受け皿の国民政治協会に20数億円、自民党国会議員が代表を務める全国の自民党支部へ20数億円が流れている)。

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国内需要を減退させる「労働者賃下げ波及政策」と「消費税率アップ」で、デフレ脱却を遠のかせ、日本を破壊し続けてきた反日(統一教会癒着)・売国(米国隷従)・世襲・カネまみれの自民党・安倍政権のアベコベのミクス!

さて、これほどまでの未曽有の円安局面にさらされても、物価上昇率がジリジリ上がろうとも、日銀は金利を上げることさえできません。植田日銀総裁は、頭を抱え、手をこまぬいています。

歴代最長の10年もの在任で日銀総裁を務めた黒田氏は、2023年4月に退任し、新たに総裁となった植田氏は、今年3月にマイナス金利政策を解除し、YYC(イールドカーブコントロール=長期金利を短期金利の0%に合わせるべく調整)も撤廃しました。

しかし、その後も緩和は続けざるを得ないと発言し、手も足も出ない状況への苦渋をにじませる発言を続けた挙句が、今回の急激な円安なのです。市場にすべてを見透かされています。

金利を上げれば、べらぼうに発行した国債の含み損で、債務超過で日銀の信認が失われかねません。

下手すればハイパーインフレです。

日銀は、ひたすら米国の金利低下を待つだけなのです。

身動き取れない日銀は、金利政策のコントロール機能を完全に失ってしまいました。

これこそが、安倍政権が放ったアベノミクスという万死に値する大罪の結果でした。

日本は、1990年代のバブル崩壊以降のバランスシート不況に苦しみ、1995年4月には「1ドル=79円75銭」という当時の史上最高値を記録します。

日銀はさらなる低金利政策を推し進めましたが、97年には金融危機に直面し(山一証券や北海道拓殖銀行倒産など)、恒常的なデフレ経済に襲われていきます。

これこそが、90年代の「失われた10年」と呼ばれ、今日まで続いてきた「失われた30年」へとつながる最初のスタートラインだったのです。

日銀はさらなる低金利で対処していきますが、バブル崩壊の後遺症だった「不良債権処理」には一役買ったものの、97年以降のデフレ突入に到っては、もはや1%台のゼロ金利状態へと向かうばかりで、これ以上は金利を引き下げられないところまで追い詰められていきました。

そこで、2001年3月から06年3月まで5年にわたり最初の「量的緩和策」を導入したのです。

低金利だけでなく、マネーの大量供給でデフレ脱却しようという策で、民間の国債を買い上げ、日銀当座預金(準備預金)にカネを積み上げたのです。

この5年間で、日銀の当座預金残高は、当初の5兆円から35兆円規模まで積み上げられました。

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安倍首相が犯した致命的な大ミス

しかし、肝心の民間での資金需要がなく、日銀当座預金には資金がブタ積みされるばかりで、日銀が供給する通貨であるマネタリーベース(日銀券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金)は増えたけれども、肝心の市中のお金の総量(マネーストック)はわずかに11%増えただけでした。

つまり、この時すでに、量的緩和の限界は明らかだったのです。識者は「ゼロ金利下での量的緩和は、国債とマネーを入れ替えるだけで、投資促進の効果はない」という「流動性の罠」のロジックを指摘します。

この時すでに「ゼロ金利」と「量的緩和」の金融政策では景気浮揚は望めないことがはっきりしていたわけです。

それを性懲りもなく「大規模異次元緩和」を導入したのが、のちのアベコベのミクスの第2次安倍政権でした。

量的緩和の量が少なかったからだ──という過激な経済理論をぶつ学者のインチキ理論に与したからでした。

さて、08年のリーマンショックを経て、その後も続く日本国のデフレ経済は、民主党政権(2009年9月~12年11月)の3年間をはさみ、ドル円相場は2011年10月31日に、一時75円32銭の史上最高値を付け、輸出大企業は悲鳴を上げ、日銀は大規模介入で対抗したのでした(この時の円高は、同年3月の東日本大震災への復興需要や保険金支払いのために円の需要が高まると見込まれたのが要因)。

こうした中、2012年11月に再び政権に返り咲いた当時の安倍首相が、長引くデフレ不況を「需要不足」ととらえたのは当然でした。

しかし、安倍首相が、「景気が悪いのは物価が上がらないからであって、物価を上げれば景気もよくなる」などと経済を短絡的に「逆向き」にとらえたのが、なんといっても致命的な大ミスだったのです。

安倍晋三という世襲3代目のひ弱なボンボンが、勇ましくも伝統保守を気取っていながら米軍の言いなりになる中、まんまとエセ経済学者のトンデモ経済理論を吹き込まれてしまった──というのが実相でした。

犬は嬉しいとしっぽを振りますが、安倍首相に吹き込まれた経済ロジックは「犬のしっぽを振り回せば、犬も喜ぶ」というものだったからです。

つまり、国の借金を増やして、べらぼうにカネをバラ撒けば物価が上がり、結果として景気がよくなる──だったのです。

ゆえに、この頃からアベノミクスは、「アベコベのミクス」と揶揄され始めます。

デフレ脱却というなら、まずは、さっさと消費税を廃止することを検討すれば、内需の拡大にもつながるというのに、その点には一切触れてこなかったのが、大バカな自民党や財務省だったといえるでしょう(当時は97年以降消費税率は5%)。

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経済を破壊に導く「アベノミクス」を10年も続けた結果が今!

体調不良で一度は政権を投げ出した安倍晋三氏でしたが(第一次は2006年9月~07年8月在任)、どういうわけか、自民党内での「パーキンソンの法則」がはたらき、再び政権の座に就いたのが2012年12月でした。

安倍晋三氏が第一次政権で唱えた「再チャレンジ」というスローガンは、自分自身の「復活成功」のことだったようです。

そして、2013年3月にはさっそく当時の白川方明日銀総裁のクビを事実上切り捨て(実際は辞任)、新たな総裁に据えたのが財務官僚出身の黒田東彦氏でした。

安倍首相の打ち出したデフレ脱却と成長への経済政策は「3本の矢(「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」)」を基軸とする形で打ち出されたものの、実際には日銀の「大規模異次元緩和」だけが際立つ政策でした。

他の政策アイデアは何もなかったことが窺えます。

たとえば、その他のショボイ2本目の矢の「機動的な財政政策」では、賃上げした大企業や設備投資した企業への減税を施し、国民には結局2回もの消費税率アップで応じるなどトンチンカン丸出しでした。

またショボイ3本目の矢の「民間投資を喚起する成長戦略」では、本来一番重要な成長戦略であるべき「人口増加策」がまったく欠落したまま、ピント外れの戦略だらけだったのです。

たとえば、大胆な「規制緩和」と謳って、事業者の自己責任のみでの、安易な「機能性表示食品制度」の解禁を行ったことで、今日の小林製薬の健康被害の「紅麹事件」を招いています。

2013年3月から日銀総裁に就任した黒田東彦氏はアベノミクスの一環で「大規模異次元緩和」により、「2年で安定的なインフレ率の2%を実現して、デフレから脱却する」──と就任会見で大見得を切りました。

しかし、1年経っても、2年経っても、その後においても、いつまで経っても、それは実現できず、言い訳の垂れ流しで10年間もズルズルと資金供給を拡大させる一方となったのでした。

「戦力の逐次投入」はしない──などといって、2013年4月にドカンと黒田バズーカ第1弾で国債買い入れ額を年間50兆円、日本株のETF(上場投資信託)などを年間1兆円ペースで買い入れる──と表明しました。

しかし、ここからが官製相場の株高の演出であり、泥沼の金融政策のスタートでした。やめられない、とまらない暴走です。

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「アベノミクス・大規模異次元緩和」で最初に芽が出始めた効果を、大企業優遇の法人税減税のための「消費税率アップ」で見事に帳消しにした安倍元首相!

異次元緩和スタートの1年後には、日経平均株価も1万2,000円台から1万5,000円台にのせ、為替相場も90円台から100円台までの円安にのせました(民主党政権の2011年10月には1ドル75円32銭の最高値記録)。

そして有効求人倍率も何とか1%を上回らせ、消費者物価の前年比上昇率も、目標の2%には届かないものの、1.4%まで上げることが出来ていたのです。

しかし、異次元緩和のわずかな成果は、たった1年後のここまでだったのです。

安倍首相自らが、このわずかな成果を消費税率アップで叩き潰したからです(2014年4月・税率5%→8%)。

あとは、ズルズルと日銀は10年間も国債やETF(上場投信)を買い入れ続け、官製相場で、空虚な株高を演出し続けただけに終わったのでした。

ちなみに「アベコベのミクス」のトドメの最後っ屁は、2019年10月の8%から10%への消費税率アップでした。

そして、安倍首相は翌20年9月に、またしても「体調不良」を理由に政権を投げ出しました。異次元緩和の行く末に恐怖を覚えたから──と思うのは、うがちすぎの見方でしょうか。

アベノミクス失敗の最大要因は、このように消費税率アップだったのは明らかでしょう。消費税率など上げずに、2014年の1年目で異次元緩和もやめるべきだったのです。

際限のないダラダラ続く「戦力の逐次投入」式の金融緩和を行いながら、2回も消費税率をアップして消費を冷やすという、「大バカ」としかいいようのない安倍ボンボンの稚拙な政治判断であり、異次元緩和を驚くことに10年間も続けたのですから、極めて無責任です。

これで、借金禍の泥沼から抜け出せなくなったのです。

こんな景気浮揚と逆行する「アベコベのミクス」の大愚策を行いながら、日銀の異次元緩和策はなし崩しに続けられたのでした。

不況の時に、トンチンカンに増税を行うのが、反日・売国・世襲・カネまみれ・経済音痴の安倍晋三首相率いる自公連立政権でした。これも経団連の命令に従っただけでしたが。

自民党が、89年に消費に罰金を課すような3%での消費税導入から、どんどん税率を上げていけば、GDPの6割にも及ぶ個人消費を委縮させるのは、中学生でもわかる原理なのです。

おまけに「賃金下押し波及政策」で、国民所得を圧縮してきました。少子高齢化の人口減少もあって、こんな状況で景気がよくなるわけがないのです。

大企業から政治献金を毎年50数億円ももらっている安倍・自民党政権としては、大企業への法人税率や富裕層への所得税率を下げるために、安倍氏の脳内ではひたすら消費税率を引き上げることしか選択肢がない有様なのでした。

10年も膨大な金融緩和を続け、出口をなくし、世界的物価高騰に遭っても、金利すら上げられない中央銀行・日銀をポンコツ状態にしたのがアベノミクスの大罪だったのです。

マネタリーベース(日銀券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金)は、異次元緩和スタート直前の2013年3月の135兆円が、23年3月までに646兆円へと「4.78倍」も増えました。ブタ積み4倍です。

しかし、肝心の世の中のお金の総量を表すマネーストック(M3)は、同13年3月の1,152兆円が23年3月までに1,565兆円へと、たったの「1.35倍」にしか増えなかったのです。

結局、日銀は歴史的な円安を招き、取るべき手段すら消失してしまう自縄自縛という亡国的・敗北をもたらしたのです。

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欧州の「付加価値税」と日本の「消費税」の根本的な違い!

欧州には、日本の消費税に相当する「付加価値税」が存在します。

しかし、日本と大違いなのは、医療費や高等教育が無料になるなど、政策効果が目に見えてわかる税制になっていることなのです。

ゆえに国民の納得度も極めて高い税制となっています。

しかも、コロナ禍の大変な時期には、各国とも税率を下げる「付加価値税」の減税まで行いました(日本では政権与党・自民党は野党からの要求を一切拒否してやらなかった)。

導入時から食料品には、日本の8%よりも、もっと低い税率になる「軽減税率」が適用され、生活への打撃を防ぐ手立てが十分整えられた上での付加価値税になっています。

経団連と自民党のタチの悪さは、日本の消費税は、社会保障の充実を図るため――などと国民を騙しての導入だったからでした。

しかし、本当の狙いは、法人税率と所得税率の緩和・減税がそもそもの大目的でした。

大企業と富裕層への優遇政策のためだけでした。

日本での「消費税」は国民生活を貧乏にさせるだけの逆進性の高い不公平なばかりの税制になっているのです。

それでも経団連は、表面的な税率だけを欧州と比べ、自民党に対し、欧州並みに消費税率をもっと上げて(段階的アップで2025年に19%へと提言)、そのカネで大企業減税をさらに増やせ──と自民党に提言のカタチをとった命令を下しています。

輸出大企業の加盟が多い経団連は、輸出品に消費税がかからないため、大企業は「輸出還付金」として、下請け企業に払ってもいない消費税分を毎年6兆円分も濡れ手に粟で儲けられます。

企業努力もせず、製造規格はインチキ偽装して出荷するなど、税金にたかる構造が顕著なのが、日本の大企業なのです。

経団連の自民党への命令では、労働法制においては、派遣労働を解禁し、「中間搾取」「有期雇用」「間接雇用」を実現させ、安い労働力供給拡大の道を推進してきました。

今や何でもアリで、派遣労働者の他にも非正規雇用は増え続け、雇用者の4割にまで拡大しました。

そして、3K労働(キツイ・キタナイ・キケン)にあっては、「外国人技能実習生制度」という名ばかりの技術修得を御旗に、奴隷労働制度を拡充してきただけなのでした。

こうした経団連と自民党の「賃金下押し波及政策」は大成功で、30年間賃金の上がらない日本国を創り出したのです。

貧乏な労働者を増やし続ければ、老後の貧困者も激増する!

現役時代に貧乏な雇用者を増やせば、老後の年金額も少なくならざるをえません。

年金が生活費に不足する65歳以上高齢者は、足りない分を生活保護に頼るしかなくなります。

現在、生活保護受給者数はすでに202万人と、1946年の敗戦直後の人数と同レベルです。

しかもこの人数の半分強が65歳以上高齢者なのです。いかに高齢者が貧乏かが、よくわかります。

カネを持っていて、特殊詐欺に騙されるような高齢者は、ごく一部なのです。

現在の生活保護の総支給額は約4兆円ですが(国が4分の3、自治体が4分の1の負担)、8つの扶助のうち、高齢者対象の医療扶助は爆上がり必至で、このままのペースで増え続けると2040年には生活保護費の総額が9兆円にまで膨らむと推計されています。

現行の2倍以上です。

そうなると国も自治体も、お手上げ状態で、制度そのものが壊滅しかねないのです。

こういう悲惨な未来を平気で作り出そうとしてきたのが、経団連であり、自民党なのです。

とまれ、日本の未来は、真っ暗闇です。

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「人口増加」「企業・団体献金禁止」「消費税廃止」「派遣労働禁止」が日本国家の再生・繁栄への道!

人口減少がデフレ経済を招いた──という説は昔から有力です。需要構造が変容・縮小するからです。

まずは、子供1人を生んだら1,000万円支給するなどの制度をつくれば、3人生めば3,000万円になる──といったことから直接の出産動機にも結び付くはずでしょう。

こうした「人口増加策」をこそ検討すべきなのです(100万人の子供の出生で費用10兆円)。

子育て支援も大事ですが、岸田政権の「異次元の的外れ」の子育て政策では、直接的な人口増加にはつながりません。

そして、大企業だけを優遇し、雇用者を貧窮化させる政策を自民党に実施させる「企業・団体献金」も禁止すべきです。

さらに、消費を委縮させる、消費に罰金を課すような「消費税」もただちに廃止すべきです。

法人税と所得税からの本来の税収構造に戻すべきなのです。

また、賃金抑圧波及効果の高い中間搾取を許してきた「労働者派遣制度」の撤廃も必要でしょう。

さらに、悪名高き奴隷労働の「外国人技能実習生制度」も改変などすべきではなく、もはや禁止すべきです。

いかなる労働現場においても、「中間搾取」「間接雇用」などは認めてはならないのです。必ず人権が脅かされます。

そして何よりも、自らが潤うことだけが目的の、経済団体の「経団連」や自民党には一刻も早く政治の場から退場してもらうべきでしょう。いや、退場させるべきなのです。

反日(旧統一教会癒着)、売国(米国・米軍への隷従)、世襲(無税相続での一族繁栄)、カネまみれ(口利き・利権漁り)が主体の政治家などは不要だからです。

野党から、まともな政治家を選別し、気長に育てていくしかありません。

そうはいっても、自民党に票を入れる国民がいる限り、これらの制度撤廃も難しいのかもしれません。

オイシイ既得権益だらけの日本国には一部の人間だけが潤い、その他大勢の人間は、その犠牲になるより仕方ないのかもしれません。

となれば、きっとますます日本の衰退は加速するでしょう。

残念至極なのですが、有権者の半分しか投票に行かないので、自民党の世襲一族支配の繁栄は続きます。

日本国民の自業自得の構図なのです(笑)。

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投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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