経営者として知っておかなければいけないお金の話。会社を経営をするためにはさまざまな財務書類と向き合わなければなりませんが、用語が難しく理解しにくいですよね。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、財務にかかわる用語や書類についてわかりやすく解説しています。
財務諸表は決して難しくない
1.損益計算書
「当期利益と純利益は、どう違うのか」という質問をしてきた経営者がいます。そして、「当期利益は税引き前なのか、税引き後なのか」とも。
あなたなら、どう答えますか。一瞬とまどってしまうのではないでしょうか。
経営者の質問はもっともです。ある新聞には、会社の業績を表すのに、「当期利益」が使われています。一方、「純利益」と書かれている新聞もあります。どちらが正しいのでしょう。
そればかりか、業績を「経常利益」で比較している場合もあります。財務や会計の本でも、企業の最終利益を表すのに、当期利益と書いてあるものもあれば、「純利益」と書いてある本もあるのです。経営者の疑問が分かります。
これは、「当期純利益」と言うのが正しいのでしょう。ですから、先の経営者の質問には、「当期利益と純利益は同じ意味です」と答えるべきです。
また、当期純利益は、「税引き前」も「税引き後」もあります。なんだか、ややこしいですね。ちなみに、「売上総利益」でも同じようなことが起こります。売上総利益としないで、「粗利益(あらりえき)」と書かれている本もあるはずです。
いずれにしても、損益計算書は、売上と費用と利益を表しています。そして、そこに出てくる利益は、「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の5つです。
2.重要な利益
いかがですか。だんだん、読むのがつらくなってきたでしょう。
とかく、財務や会計の話は分かりにくいです。それでも、経営者にとっては、避けて通れません。せめて、財務諸表くらいは、分かるようになっておきたいものです。
ご存知のように、財務諸表には3つの表があります。「損益計算書」「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」です。決算の時には、必ず作成していますね。
どれも数字ばかりが書いてありますし、使ってある言葉も馴染みのないものばかりです。ですから、勉強をしようと思っても、途中でやめてしまう経営者もいます。
それでも、損益計算書は分かる経営者も多いです。売上や利益の結果が書いてあるので、身近な内容ですからね。
では、先の5つの利益の内、どれが重要でしょう。一番重要なのは、「売上総利益(粗利益)」です。人件費や管理費用に充てられる原資となります。
次に大切なのは、「営業利益」です。本業でどれくらいの利益が出ているかを表します。もちろん、この数字が多い方が良いですし、マイナスになるようでしたら、大変です。
そんなこんなで、損益計算書は、なんとか理解できます。問題は貸借対照表です。
3.貸借対照表とキャッシュフロー計算書
貸借対照表を見てみると、分からない用語ばかり。流動資産、当座試算、固定資産、流動負債、固定負債、自己資本、剰余金。その他にも、聞きなれない用語がずらり。
これが、「財務・会計」を分かりにくくしている原因の、一つです。それぞれの言葉の意味を理解するしかありません。
ともあれ、貸借対照表は会社の財産状態を表し、資金の調達先と、運用法を示したものです。
そして、貸借対照表の数字を使って、経営状況を分析することもできます。例えば、流動比率、固定比率、自己資本比率、売上債権回転率、棚卸資産回転率、生産性分析などです。
これらを理解するには、公表されている企業決算書で、計算してみるといいでしょう。
続いて、キャッシュフロー計算書です。この表は難しくありません。期間中に、現金が増えたか減ったかを見る表です。
現金の増減要因を、営業活動、投資活動、財務活動の3つに分けています。経営の活動内容を現金の動きからまとめたものです。
以上簡単に財務諸表について述べました。
さて、問題はこの次です。いくら財務諸表が読めても、この先、どういう手を売ったらいいかということまでは分かりません。ここが財務諸表の限界です。そのためには、「マーケティング」の力を借りる必要があります。
・どうしたら売上や利益を増やせるか
・どうしたら優良顧客を獲得できるか
・どうしたら従業員のやる気を引き出せるか
マーケティングで考えた具体的な解決法を実行すれば、財務諸表の数値が良くなっていくことでしょう。財務諸表は、作るだけでなく、経営活動に活かすためのものです。
■今日のツボ■
・財務諸表は、経営者にとって、避けては通れない
・3つの財務諸表には、それぞれ見るポイントがある
・マーケティングの力を借りて、財務諸表の数値を良くする
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