LGBT法により男女共用のトイレが日本にも登場しはじめ話題となっていますが、それに対して異を唱えるのは、作家でユーチューバーの顔も持つ、ねずさんこと小名木善行さん。自身のメルマガ『ねずさんのひとりごとメールマガジン』の中で、その理由を詳しく語っています。
男女のトイレが別になった理由
何事にも理由があります。
日本のトイレはかつては小用と大用とだけがあり、男女が共同でした。
それがいまでは、どこでも男女別が当たり前になっています。
昨今、性的指向および性同一性に関する国民の理解増進に関する法律(LGBT法)という新法によって、これがふたたび共用になろうとしていると言われていますが、時代に逆行することがあってはならないと思います。
まず、古来からの日本のトイレと海外のトイレ事情について、先に触れておこうと思います。
立ったまま男性がする小用は、ある意味万国共通ですので、問題は大用の方です。
大用は、いまの日本では個室のドアが立っている背丈ほどもありますが、江戸時代の長屋などでは江戸式はドアの高さが半分だけで、上が空いている状態でした。
トイレにしゃがんだときに、首から上がドアの上から出るタイプです。
江戸以外では、ドアが上まであるのが普通でした。
もっというと、もともと日本の大用トイレは、ドアが上まであるのが普通だったけれど、江戸だけ、ドアの高さが低いものが用いられていたわけです。
理由は防犯のためで、江戸の街があまりに人口が多くて広く、トイレを若い男女が目的外使用することがあり、これを防ぐためにドアが腰から下を覆うだけのものになったとされます。
これにはもうひとつ理由があって、首から上の高さに戸がなくて直接外気にさらされることによって通風性が確保され、それがニオイ対策になったとも言われています。
江戸以外では、トイレの戸は立ったときの背丈までありましたが、上部と下部にそれぞれ3センチほどの隙間があって、これが通風口の役割をしていたとされます。
いずれにせよ、大用トイレが個室であったことが、日本のひとつの特徴なのですが、これが海外に行きますと、大用も個室でなくなります。
ロシア方面などは、大きな穴を掘って、そこに2枚の板を渡し、数名がその上に並んで座ってことをいたすタイプのものでしたが、これは、いたしたものがすぐに凍ってしまうからです。
半島では、家の中にはトイレがなくて、家の前の路上でいたのが普通でした。これは城塞都市の多くにも見られ、いたしたものを豚や犬やウサギが食べ、そのウサギや犬や豚を人が食べるといった食物連鎖になっていたりします。
屋敷の中の壺にいたすものなどがありました。
基本的に世界の大用トイレは、個室ではなく、現代のスーパー銭湯の洗い場のように、ただ間仕切りがあるだけであったりしていたわけです。
ところが日本では、古くから大用トイレには間仕切りがあり、個室になっていて、中でゆっくり用を足すことができようにされてきたわけです。
この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ
ただし、そうは言っても、男女は共用だった。
それがいつまで共用だったのかというと、なんと昭和29年までです。
つまり我が国でも、ほんの70年前までは、大用トイレは男女共用であったわけです。
それがどうして男女のトイレが別になったのかというと、東京・文京区の小学校で起きたある事件がきっかけでした。
「文京区小2女児殺害事件」と呼ばれるこの事件は、昭和29年4月に、東京文京区本郷の区立元町小学校で起こった事件です。
この日、7歳で小学2年の女児が、トイレの個室で強姦のうえ、首を絞められて殺されるという悲惨な事件が起きました。
犯人は、通りがかりの20歳の男性で、通行中にたまたま尿意を催して小学校の敷地内のトイレに入り、そこでトイレで用を足していた女児に暴行に及んだのです。
当時の学校のトイレは、公衆トイレの役割も担っていました。
「このままではいけない」
「このような事件が二度とあってはならない」
ということで、事件の翌月の5月に東京都の教育庁が都内の小中学校宛に示した「新管理方針」が、次の6項目です。
1.学校長は男女のトイレを別にせよ
2.トイレの個室は必ず戸を閉めるように学童に注意せよ
3.来賓と学童のトイレを別にせよ
4.授業のない教職員は小使とともに校内を巡視せよ
5.外来者の出入りには、必ず教職員、小使が見られる通路を通るようにせよ
6.学校の垣根や柵を厳重にし、無闇に外来者が出入りできないようにせよ
そしてこの通達内容が、そのまま全国の小中学校に広がり、我が国では短期間の間にこの1~6が全国に広がって現代に至るのです。
トイレの男女が別になったには、そうなった理由があります。
そして国民の生命財産、そしてなにより子供たちの安全安心を確保することは、政治の使命であり、大人たちの役割です。
こうした経験を、歴史を、ただ外国から要求されたからと、安易に変更することは、断じてあってはならないことであると思います。
日本をかっこよく!
ではまた来週。
この記事の著者・小名木善行さんのメルマガ
image by: Shutterstock.com