会社が「停滞」しているな……と感じた時、何をすれば良いのでしょうか?今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では、著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんが、「オーバーエクステンション」という戦略を紹介。壁にあたっている会社に役立つ話をしています。
停滞の壁を破る
1.オーバーエクステンション
会社に大きな変化や成長を促したいとき、今よりはるかに大きな目標を持たせることがあります。
例えば、年商10億円の会社を10年後に100億円にするとか、今は3店舗だけれど、5年後に50店舗にするといった目標です。
こうした目標の立て方を「オーバーエクステンション」と言います。日本語にすれば、「過拡張」とでもなるでしょう。
この考え方は、経営学者の伊丹敬之先生が提唱したものです。「背伸び戦略」とも言われます。経営に行き詰っている会社が、壁を破るには良い方法です。
さて、スポーツショップの多くは、壁に当たっています。なかなか、次の新しい手が打てません。そこで、この「オーバーエクステンション」の考え方を応用してみてはどうでしょう。
オーバーエクステンションでは、今までと同じ戦略を続けるだけではいけません。新しい戦略を考えます。それは、新しい商品戦略かもしれません。新しい市場開発かもしれません。新しい売り方かもしれません。
とにかく、今までとは違った攻め方をして、新しいことに挑戦して、成果を上げることです。
そのいい例が、ユニクロではないでしょうか。まだ店舗が30もない時に、柳井社長は「3年後に100店を目指す」としました。これを見事に達成したら、次の目標は300店です。その間、次々とヒット商品を生み出していきます。その結果、今や2,400店舗で2兆円の売上です。
2.いずれやらなくてはならないこと
だからといって、オーバーエクステンションの考えは、むやみに事業の拡大を勧めているわけではありません。伊丹先生は、「本業が好調な時に行え」と言っています。事業が好調なスポーツショップは、オーバーエクステンションを検討されてはいかがでしょう。
そして、伊丹先生はオーバーエクステンションを行うには、大切なことがあると、指摘しています。それは、
・いずれやらなければならないことを、今から行う
・その苦労から生まれるノウハウや技術などを会社の財産として活かす
ということです。スポーツ用品業界にも、いずれやらなければならないことがあります。どんなことがあるか、いくつか考えてみました。次のようなことはいかがでしょう。
・METAバースによるスポーツショップを運営する
・ChatGPTを使ったスポーツ用アプリを開発、販売する
・地域スポーツクラブの経営サポートを行う
・スポーツテクノロジーのツールを、使い方と一緒に提供する
・簡単に操作できる、スポーツ店専用の商品管理、顧客管理アプリを開発する
これらの中のいくつかは、以前にも提案したことがあります。とはいえ、これらの事業は、今のところ、どのスポーツショップも手掛けてはいません。しかも、大きな市場となる可能性を秘めています。それぞれ、もう少し詳しく説明しましょう。
3.5つの新しい事業
まず、「METAバース」からです。若い世代は、この先、仮想訓間で過ごすことが多くなるでしょう。ですから、今のうちにスポーツ専用の仮想空間を作り、サービスを提供していったら良いと思います。スポーツ用品が買えたり、スポーツが体験出来たり、スポーツを教えてもらったり、スポーツゲームが出来たりする、仮想店舗です。今の内から研究をしておいても、早すぎることはありません。
次は、今話題の「ChatGPT」です。生成AIは、これから、どんどん性能が進んでいきます。いろいろな業界や業種に特化した生成AIも開発されて行くはずです。ですから、スポーツに特化したChatGPTがあっても良いでしょう。スポーツ技術に絞り込んだサービスでも良いです。ChatGPTが、スポーツ技術についての質問に答えてくれます。役に立つとは思いませんか。もちろん、METAバースもChatGPTも、その専門家の協力が必要ですが。
3つ目は、「地域スポーツクラブ経営サポート」です。今後、全国の部活が地域スポーツクラブに移っていきます。しかし、そのクラブは、まだまだ資金が足りていません。経営をサポートしてあげることが、ビジネスになります。例えば、クラブ会員の勧誘、地域スポンサーの勧誘、スポーツ指導者の養成、クラブのグッズ開発・販売、戦略分析ツールの提供などをすればどうでしょう。経営計画書を作ってあげることだって経営サポートです。
4つ目は「スポーツテクノロジー」の提供。スポーツ選手やスポーツチームに、スポーツテクノロジーの機材やツールを提供する事業です。すでに、多くの戦略分析ツールが、世に出ています。選手の体調管理をするためのさまざまなツールも販売されています。今後は、さらに需要が増えることでしょう。また、ますますツールが増えていきます。今の内から扱っておけば、先行者利益が得られるに違いありません。
5つ目は「商品管理、顧客管理アプリ」です。スポーツショップは、商品管理や顧客管理が得意ではありません。ですから、スマホで操作できるような簡単なアプリを開発します。お店にとっては、一瞬のうちに戦略が組み立てられるアプリです。数千店が導入してくれる可能性があります。速く開発したところの勝ちです。
以上、いずれ手がけなければならない事業を考えてみました。あなたがやらなければ、きっと誰かがやります。気がついたときには、もう遅いかもしれません。ぜひ、オーバーエクステンション戦略に挑戦していきましょう。
■今日のツボ■
・大きな目標を持つことで、壁を破ることができる
・スポーツ業界にも、いずれやらなくてはならないことがある
・今やり始めることで、成果を手にすることが出来る
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