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The atmosphere of Fuji mountain Summit in Fujiyoshida, Yamanashi, Japan, the hiker trekker and tourist will generally climb on top of Fuji mountain every summer

80歳でエベレスト、90歳で富士山へ。三浦雄一郎の強さはどこから来るのか?

二度の心臓手術を経て80歳でエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎さんは、90歳になっても山に登り続けています。今回の無料メルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、三浦さんの心の強さの原動力について語ったインタビューを掲載しています。

90歳で富士山に挑戦──なぜ三浦雄一郎さんは山に登り続けるのか

史上最高齢の80歳で世界の最高峰エベレスト登頂に成功した、三浦雄一郎さん。
90歳になったいまなお、その挑戦心は衰えず、富士山登頂へ挑んでいます。三浦さんの挑戦心の根本には何があるのか、語っていただきました。

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2003年5月、私は目標としていた70歳でのエベレスト登頂に成功しました。頂上からの素晴らしい眺めに感動した私は、再びここに戻ってきたいと思いました。

一方で、私の心臓はかなりのダメージを受けていました。登頂の途上で不整脈と心房細動を発症し、命の危険にも直面しました。心臓の専門医には引退を勧められましたが、エベレストへの思いは断ちがたく、2度にわたって心臓の手術を受け、2008年5月に75歳でのエベレスト再登頂に成功したのです。

二度目の登頂を果たした私は、帰ってくるなり「今度は80歳でエベレストに行きたい」と口にしました。家族は猛反対です。既に2度の心臓手術を受けた身です。80歳となると、果たして心臓がもつかどうかと家族は心配したのです。

おまけに2009年にはスキーをしていて骨盤と大腿骨の付け根などを骨折し、再起不能になる恐れもありました。しかし、私の挑戦意欲は衰えませんでした。強く反対をする家族には「エベレストに行かせてくれないなら家出する!」と決然と言い放ち、何とか説得に成功しました。

3度目の出発までに私は2度の心臓手術を繰り返しました。まさに80歳のエベレストは命懸けの挑戦になったわけですが、諦める気持ちは微塵もありませんでした。

私がそういう強い気持ちを持てたのは、父を見ていたからかもしれません。父は90歳から97歳までの間にスキーで転んで3回骨折しています。普通であれば90を過ぎてスキーで骨を折ったら「俺ももう年だ。危ないことはやめよう」と考えるところです。ところが、周りがいくら「危険だからやめなさい」といっても父は聞きませんでした。

スキーをしたいという一心で、入院から10日ほど経つと、折れた右足にギプスをしたまま左足の屈伸運動を始めたり、バーベルを上げたり、食べ物の工夫をしたりして、奇跡的に骨をくっつけてしまいました。最後に骨折したのは97歳の時でしたが、これも治して99歳でモンブランを滑ったのです。

いくつになっても諦めなければ夢は叶うものなんだと思います。夢が叶わないのは、どこかで諦めてしまうからなのでしょう。

父は101歳で天寿を全うしましたが、最後まで大好きなスキーを続けました。サインを求められると、好んでこう書いていました。

「探求一筋」

人間、現状維持でいいのだと思ってしまうと、そこで成長が止まってしまいます。しかし、父は最後まで成長し続けていました。「もうこれでいい」という気持ちには決してなりませんでした。現状維持を拒み、昨日の自分を超えようとしていました。父は「諦める」という言葉を知らない人でした。

そうした父の生き方は、私にとっての最高の手本となっているのです。

※本記事は月刊『致知』2014年8月号 特集「一刹那正念場」より一部を抜粋・編集したものです。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 致知出版社 【発行周期】 日刊

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