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どちらが低俗か。中国の処理水放出「嫌がらせ」で試される日本人の反応

IAEAも安全性を認めた福島第一原発の処理水海洋放出が開始されるや、日本産の海産物輸入を全面停止するなど猛反発の姿勢を見せた中国。科学的根拠なき隣国の嫌がらせに、日本はどう対峙すべきなのでしょうか。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、あくまで毅然とした態度で臨むべしと主張。中国からの迷惑電話については「威力業務妨害罪」で捜査を開始すべきとの見解を記しています。

処理水排出と中国の「いやがらせ」と明治にあった「大津事件」

さて今週は、「処理水排出と中国の『いやがらせ』と明治にあった『大津事件』」と題して、今週大いに話題になった内容に関してみてみたいと思います。

この問題に関してはあまり解説は必要はないかもしれません。

2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響によって福島第一原発が事故を起こしました。

この事故は発生当初から日本の原子力利用に反対する人々が大騒ぎし、そのおかげで福島県全体の「風評被害」が大きくなったことは、皆さんもご存じの通りです。

そのことから、福島県出身の芸能人が応援ソングを歌ったり、福島産の食材を使うということなども様々に日本は行い、ローマ法王庁も祝福をくれるなどその努力は大きく世界で評価されてきました。

さて、その福島原発に関しては放射性物質が原子炉を出て、放射能を発生させていることから、常に冷却水につけて暴発しないようにしているのですが、その冷やした水をどうするかということが大きな問題になります。

ちょうど菅直人首相の民主党政権、現在の立憲民主党の前代表である枝野幸男氏が官房長官であった時に、その水をタンクにためるということを行ったのですが、その貯蔵施設も増える一方ということになり、いつかは処理しなければならない状態です。

しかし、立憲民主党の一部の議員は、この水の処理に関しては全く関知せず、自分たちが政権を持っていた時に起きた内容であるにも関わらず、無責任にその処理に関して真摯な協議を行わないということになります。

政府は、当該内容の処理に関して当初5つの案を出し、その中で、アルプスという技術によって処理をし、放射性物質を少なくした処理水を海水で希釈して海に流すという案を最終的に採用することになります。

しかし、これに反対するのが、日本の一部マスコミと、当時、風評被害を作り出した日本の原子力反対派の人々、そして、中国と韓国の現在の野党勢力ということになります。

ちなみに、ヨーロッパなど、例えばフランスやイタリアなどの政府、そしてIAEAはこの処理に対して承認しているということになります。

このように、そもそもは「日本の原子力反対派の人々」つまり「共産主義者」といって構わないものと思いますが、その人々によって事件を大きくさせ、それに従って中国や韓国が大騒ぎするという構図になっています。

つまり、「福島の風評被害」は、「日本の原子力反対の人々とそれを声高に報道するマスコミ」によって作られたものであり、それを中国と韓国が増幅したということになっているのです。

この人々は、本当に震災からの復興や、福島県のこと、そして日本のことを考えているかどうかははなはだ疑問ですね。

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中国人の嫌がらせ

今回の問題は、岸田首相が決断し、処理水を放出するということを決定し、8月24日からその内容を開始したということにあります。

福島県の漁業関係者が漁業への影響及び風評被害を考えて反対することはなんとなくわかります。

環境が変わる場合には、反対派が起きても仕方がありません。

しかし、少なくとも私が取材した中では、福島県の漁業関係者に関しても、「風評被害は日本のマスコミが悪い」とはっきりと言うようになってきているのは、非常に興味深いところです。

「マスコミの報道は問題があるということしか言わず、安心だということは全く何もしない。それで政府がどうこうということはわかるが、そのことで影響を受ける福島県民のことは何も考えてくれない」という不満は、今回の内容の中心的なことを示しているのではないでしょうか。

要するに、中国も原子力反対の人々も、いずれも「福島第一原発事故を題材に使って政治的な活動をしている」ということでしかなく、それはそもそも「日本政府の決定に反対する」ということが目的であるということになるのです。

今回の内容もまさにその通りでしょう。

中国が行ったことは何でしょうか。

一つ目は「海産物の禁輸」です。これに関しては、ヨーロッパなども地震の直後は行っていましたので、なんとなくわかることもあります。

狂牛病の時は、日本もアメリカからの牛肉の輸入を止めていた過去がありますから、国民を守るという事であればわからないでもないでしょう。

しかし、「日本製品の不買運動」ということや「IAEAを含めた処理水排出の反対」という事になると「何故反対しているのか」ということが明確ではないということになります。

つまり「先に反対ありき」ということが問題になってくるということになります。

そのうえで「日本への旅行の注視」ということになれば、日本は福島だけではありませんし、そもそも海に放出していても日本の陸上は全く関係がないということになります。

要するに「政治的な関係から日中の関係を悪化させる」ということが大きな目的にあるという事、そのうえで岸田政権や自公政権の政治的決断を批判するということが目的であるということになります。

まさに、福島の漁業関係者が言っているように、「政府がどうこうという事」という内容でしかなく、福島県の国民の生活不在ということになるのです。

そしてその生活不在ということは、「嫌がらせ電話」や「上海の日本人学校への投石」というようなことにまで出てきているということになります。

そのうえ、中国政府は、このような事件の責任は日本にあるということを言っております。

IAEAなどが承認したという事実や、科学的な根拠なども全くなく、そのような嫌がらせをするということは、「根拠なく、中国の意向に従え」という事、つまり「属国になれ」といわれているのと同じですから、かなり大きな問題ではないでしょうか。

外交交渉というのは、当然に、論拠があり、そのもととなる根拠があり、そのうえで、お互いの国益を考えて行うべきものであり、根拠もなく、ただ自分たちの意向に従えというのは、宗主国と植民地の関係でしかないということになります。

要するに、「中国の意向に従うべき」というのは、「中国の属国になり日本は主権を放棄すべき」という主張と近いということになるのです。

そのようなことが許されるでしょうか。少なくともそのようなことはあまり許されることではないと思われます。

理論も根拠も何もない、単に経済大国であるということや軍事的な強さがあるというようなことで、「正しさ」を否定されるような世の中にしたい人が、実は日本のマスコミにも、原子力反対の人々にもいるということになってしまうのです。

本当に困ったものです。

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根拠のない主張は政治ではない

「広島の名物は原爆です」
「富士山が爆発することを祈ります」

いずれも、中国人が日本において反日感情を出した「嫌がらせ電話」や「動画」などにあることです。

これらは福島原発の処理水排出と何の関係があるのでしょうか。このようなことされて、そのまま引き下がるようであれば、話になりません。

安倍元首相は、韓国が竹島の問題などで反日感情を募らせたとき、一時的に日韓関係を凍結させるという手段をとりました。

もちろん日本にも痛手はあったと思います。しかし、例えばフロンガスの「ホワイト国判定の取り消し」や「ビザなし渡航措置の廃止」などは、韓国にとっては非常に大きな問題になったのではないでしょうか。

それでも、はじめのうちは批判を大きくしていましたし、なぜかそのような韓国の批判だけを声高に報道するに日本のマスコミが多かったのはなぜなのでしょうか。

日本の、あえて名前は出しませんが、マスコミの古老の中には、「マスコミは批判精神が重要」などということを言っている人がいます。

本来マスコミというのは、情報を正確に伝達し、なおかつ、公平平等に報道することが重要であり、それが日本国民の自由意思による決断を促すことになるのです。

多数決という事、国民主権ということはそのような自由意思による決断が重要なのであり、扇動された偏った報道によって作られた意見を出させようとするのは、民主主義に対する重大な敵対的行動であるということになります。

つまり、そのような主張をし、批判だけを声高に報道するマスコミは、まさに「民主主義の敵」であるということになります。

そしてその民主主義の敵が「共産主義」と近しい関係になるのはあ、なんとなく感覚的に理解できない話ではないのです。

そして、そのような「偏った人々」からの情報で、反対運動を繰り返し、そのうえで日本の国民の生活を脅かす、それどころか日本の不幸を望むような電話をかけてくるというのは、どうなのでしょうか。

日本の警察は、これらに関して「威力業務妨害罪」で捜査を開始すべきでしょう。

当然にそれらのことを行わなければ、日本は法治国家として問題が出てきてしまいます。

日露戦争の直前に、大津事件という事件がありました。

日ロ関係が悪化していた時に、ロシアの皇帝が日本を訪問し、義憤でそのニコライを襲撃した津田三蔵という巡査が逮捕された事件。

日露協商派の伊藤博文などはロシアの顔色を窺い、「死刑にすべき」と主張しましたが、大審院の児島惟謙裁判長は、単純に傷つけただけであるとして、「死刑にせずに懲役刑」を言い渡します。

このことによって、日本は「法治国家である」ということを広く世界が知ることになり、そのことで日露戦争時に日本を応援するような国も増え、また日英同盟ができるようになるのです。

現在、この児島惟謙のような「法治国家」をしっかりと実現できるような警察や検察、裁判官はいるのでしょうか。

まさか100年以上前の日本よりも日本は後退しているのでしょうか。

今回の事件は、大津事件を見てわかるように、日本という国と中国という国が「どちらが低俗で法治国家・近代国家としての国民的資質がないのか」ということが試されている事案なのではないでしょうか

そのような場合、当然に日本はしっかりとした根拠を持ち、圧力などに屈することなく、毅然とした対応を行い、犯罪行為に対してはしっかりと対処するというようなことを行うべきではないかとそのように思うのです。

日露戦争以前よりも、後退した国にならないように、日本人は気を付けるべきではないでしょうか。

(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2023年9月4日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)

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image by: 経済産業省 metichannel

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