ジャニーズ事務所の新社長に東山紀之氏が就任すると発表した会見は大きな話題となり、この時間帯のテレビは会見一色となりました。今回のメルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』ではジャーナリスト・作家として活躍中の宇田川敬介さんが、注目を集めるジャニーズ事務所問題とメディアの「深い闇」について詳しく語っています。
ジャニーズ事務所の問題についての雑感
さて今週は、「ジャニーズ事務所社長に東山紀之氏が就任する会見について」と題して、ある意味で思うことを見てみようと思います。
ちなみに、私はこの件に関してはあまり詳しくありませんし、また、その内容に関して語れるほど見識があるわけではありません。しかし、そもそも台風13号が首都を直撃し、またインドでは世界の20か国が集まってG20の会議をしているようなときに、有名芸能事務所のタレントと故元社長の関係で社会的な影響力は大きいとはいえ、一民間企業とそこの所属タレントの問題で、ここまですべてのマスコミが行うというのはどうなのでしょうか。
ちなみに記者会見を中継しなかったのは、いつものテレビ東京だけでした。
基本的に故ジャニー喜多川氏については、私が中学や高校の時から男色の性加害の噂はありましたし、また、本人の意向は別にして、周辺からすれば「芸能界とはそこまでして売れたい人の集団なのか」などというような認識があったのではないかという気がします。
昔は、芸能人というのは「差別用語」で言われていたのですが、現在では全く時代が変わっており、多くの人のあこがれの職業になっています。その時代に合わせた対応が今回なされたのではないかという気がするのです。
さて、今回の内容は故ジャニー喜多川氏の所業に関して様々言うつもりはありません。
今回の問題に関しては「加害者本人が死んでしまっている状態で、この話題を議論すること」ということが一つ目の話題になります。もう一つの話題は、「今後のジャニーズ事務所に関して」ということがあるでしょう。そして最後に「今まで見ぬふりをしてきたマスコミは同罪ではないのか」という話をしなければなりません。
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まず一つ目の話題に「本人死亡」という現実をどのようにとらえるのかということになります。
実際に、今回の問題は、様々な意味で異例づくめであり日本の言論空間のおかしさが露呈しているということになります。要するに、のちに話しますがマスコミは知っていながら全く報道しないでいましたし、BBCという外国の報道機関が報道しなければ動かないという状態でした。
真相究明のチームも、国連の人権委員会が結論を出した後に、ジャニー氏の罪を認める提言をするというような状況で、一部では「日本は外圧でしか動かない」というような話になってしまっています。
しかし、それ以上に、この言い方は誰もしませんが「権力者(利害関係者)に弱い体質」があるということになります。
私が中学や高校のころ、若い男性アイドルといえば、基本的にはジャニーズタレントしかないないというような状況であったかと思います。そのように考えれば、テレビなどはジャニーズ事務所が出なければ番組が成立しないというような状況になっていたような気がします。
そのうちに、バンド系の人々が出てきたり、お笑いがブームになったり、あるいはEXILE系列が出てくるということになりますが、これらの内容はまさに「脱ジャニーズ」の動きとして、我々は見ていた感じがあります。
女性アイドルが数多くの事務所があるにもかかわらず、男性に関してはほぼジャニーズ一択であったというのは、まさに、芸能界が男性社会であるということを示しているものであり、大臣や政治家の話ではなく、そちらの話も見てゆかなければならないということになります。
もちろん、男性の魅力ということになれば、「男性が好きな人でなければ魅力を発掘できない」ということになるので、「男性社会の芸能界で、男性タレント事務所」ということになれば、そこに権力が集中するということになってくるのではないかと思います。
そのような「利害関係」があるので、日本のマスコミはジャニーズ事務所のこれらの噂に関しては完全に目を閉ざしていたということになるのです。
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さて、刑事犯罪の場合、「本人死亡で書類送検」ということは十分にあるんで、死後の罪の認定や死後の追求ということも会っておかしくはないと思います。そのように考えれば、このようなことをしてもおかしくはないのですが、しかし、今このように大きな話題にして記者会見を中継するほどの大きな話なのかということは、何か気になります。
人を殺したなどの「証拠の残る犯罪」は、死んでからも様々な事実が残りますが、このような「本人の主観による内容」である場合は、単純に「生き残った人の言ったもの勝ち」のような感じになります。
そもそも私が中学高校の時ですから40年前から話題になっていた状態であり、「そのことを知っていてジャニーズに入ったのか」ということも話題になります。
ある意味で「男性枕営業派遣事務所」的な扱いになっているのか、あるいは「ジャニー喜多川の男性大奥」になっているのか、その辺はわかりませんが、今の扱いに関してはなんとなく「虚しさ」を感じるのは私だけなのでしょうか。
もちろん「社会的」とか「人権」ということを振りかざすのはよくわかるのですが、罪を本人が自覚しないということに関して、どう考えるのかということは重要な視点の一つではないかという気がします。
第二に、ここが最も重要なところですが「今後のジャニーズ」ということを考えてみましょう。
東山紀之氏が社長を引き継ぐということで、年内でタレント業を引退するという事でした。
元タレントで芸能事務所をやっている人は少なくないので、このこと自体は別段問題はないと思いますし、タレント業をやっていた人のほうがその感覚もわかるし人脈もあるので、有利なところでしょう。
問題は、「ジャニーズ」という社名と、「補償という負債」を背負っての今後ということになります。
そもそもジャニー喜多川氏が亡くなった時に、多くの人が退所しています。この人々とジャニー氏の関係というのはどうだったのでしょうか。
何か怪しい関係があったのか、または御寵愛が途切れてしまって、口約束が反故にされたなどがあるのではないかというような、誰も何も言っていませんが、そのようなうがった見方をしてしまいます。
また、このようなことがあってからもなおジャニーズに残っている人々はどのような心境であり、今後どうするのかという事にもなります。
要するに、「ジャニーズ事務所」および「その退所者」に対して、「色眼鏡」で見てしまうことは間違いがないことなのではないでしょうか――(メルマガ『宇田川敬介の日本の裏側の見えない世界の話』2023年9月11日号より一部抜粋。続きはご登録の上、お楽しみください。初月無料です)
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