会社などで「プレゼン」と聞くと、どうしても身構えてしまう人もいるかと思います。しかし、今回、メルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』の著者である森裕喜子さんは「実は意外とプレゼンって身近なものですよ」と語り、近所の八百屋のおじさんとのやりとりを紹介しています。これって、プレゼンにすごく役に立ちそうです。
八百屋のおじさんのプレゼン力
「プレゼンテーション」となるとやっぱりなんとなく特別な感じ?となりがちですよね。
でも、「いや~そんなことないんだな」「もうこんなに身近にあるじゃん」と感じた出来事が最近あったんです。
私が住んでいる場所の近所に、古い一軒家のやっと車が1台停められる車庫で小さなバンの荷台に野菜を並べて売っている、すご~く小さい八百屋さんがあるんです。
荷台だけではあまりに狭いので、段ボールに入れた野菜たちが道端にもはみだしていて、値札も段ボールの切れ端に手書きしてあります。
坊主頭の70代のおじさんがやってるんですが、どうもその風体からすると実はそもそも八百屋だった感じです。
多分、近所にスーパーができて一旦は八百屋業をやめたけれどコロナ禍を機に、道端でまた始めた、みたいな感じ。
露天の八百屋でも、やっぱりおじさん、プロなんでしょうね。
お客さんとのやりとりなんかもうさすがにうまい。
「今日はキュウリがいいよ」
「ジャガイモと合わせて200円!」
なんて言葉を交わしながら売ってる。
オシャレなマダムも結構おじさんと話し込んで買ってますからコミュニケーション力は相当、さすがプロです。
私もときどき買っていたんですが、この間、玉ねぎがすごく安かったので、寄ってみた。
すると「きゅうりと長ネギで300円でいいよ」なんて言われて「えー、じゃあ買う!」となってうっかり買い込んでいました。
そしたらおじさん、スマホを取り出してこう切り出した。
「あのね、この写真、市場なんだよ。ね」
といって、八百屋さんがいく青果市場の写真を見せてくれました。
「ね、ここに1台だけダンプがいるだろ?普段はさ、もう何台もズラリいるんだよ。でも今日は1台だけ。これって何かって、もう野菜がないわけよ。暑さでね、野菜がないんだよ」
えー、とおじさんのスマホを覗き込んで驚く私。
おじさんは「もうさ、ホウレンソウなんか変えた値段じゃないでしょ」
私「そうそう、スーパーで高かった」
おじさん「それにしてもスーパーはもうけすぎだけどね。でも本当にないんだよ。人参なんか北海道で土の中で溶けてるんだって」
私「わー、大変。今買っとかなきゃ」
みたいな会話になっておじさんの店でお買い得野菜を買い込む私自身も納得、というわけです。
この記事の著者・森裕喜子さんのメルマガ
お読みになっていると他愛もない会話に思えるでしょうが、このおじさんのスマホ見せながらの会話、大したプレゼン力ですよ。
そもそも、市場でダンプカー1台という現状を見て、こりゃ大変だとスマホで撮影してくるというこの行為がすごい。
お客さんに見せてやろう、そうすれば野菜が高くなって買いづらくなることも実感してもらえるだろう、と思ってのことでしょう。
じゃなきゃ、70歳過ぎた八百屋のおじさんが、わざわざ写真なんて撮りません。
で、買い物ついでに寄ったお客さんにちゃんと情報届けてあげようというその心遣いもすごい。
おじさんとしてはただ自分でそうしたほうがいいだろうと、お客さんのためだと思っただけ、かもしれませんが
結果的に、数百円しか買わないお客さんだが、お役立ち情報を伝えておいてあげようと思ったわけです。
それも2、3言葉を交わしたあとのタイミングでこのとっておき情報をコミュニケーションしようとされたわけです。
プロの八百屋から聞く裏話的なリアリティ。それも、タイムリーかつ写真入りの説得力。
これをプレゼン力と呼ばずしてなんと言うのか!!!
長いことひとつのことをしてきたプロというのは業界業態に限らず、
やはりプレゼン力を自然と磨いているものなんです!
「プレゼン」なんて言葉が流行る前からとっくにやっていたことなんですね。
プレゼンて、実は身近なものなのですよ。きっと。
(この記事はメルマガ『スピーチコーチ・森裕喜子の「リーダーシップを磨く言葉の教室」』9月22日号の一部抜粋です。この続きをお読みになりたい方はご登録ください。初月無料です)
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