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李克強68歳で急死。70歳の習近平に訪れてもおかしくない「Xデー」

10月27日に滞在先の上海で急死し、11月2日に北京で荼毘に付された中国の李克強元首相。しかし心臓発作とされる死因については、中国国内で疑問の声も上がっているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国の国営メディア新華社通信の元記者で共産党員の男性が、李克強氏の火葬を焦っているようにも思える習近平政権に対して上げた声を紹介。さらに民衆の中に広がりを見せる当局への疑念と不満を取り上げ、今後何らかの形で爆発する可能性を指摘しています。

※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2023年11月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

李克強氏の早すぎる死と、検死の公式報告なき火葬。不信感が広がりつつある中国国内で何が起こるか

李克強死因成謎?黨媒新華社退休記者顧萬明具名要求調査(李克強の死因は? 共産党のメディア新華社を退職した記者が調査を要求)

10月27日、中国の李克強前首相が心臓発作で急死するという衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。今年3月に首相を退任したばかりであり、また68歳という年齢からしても早すぎる死が、暗殺説などさまざまな憶測を呼んでいます。

そんななか、中国当局は11月2日に李克強氏の火葬を行うと発表しました。新華社通信によると、李克強氏の遺体は10月27日に特別機で上海から北京に運ばれ、11月2日に北京で荼毘に付され、同日には天安門広場、新華門、人民大会堂などで半旗が掲げられるとのことです。

しかし、その一方で追悼式や告別式についての発表がなかったため、中国国内では当局への不信感が高まっています。

台湾の「自由時報」によれば、新華社通信の退職記者で共産党員の顧萬明氏は、李克強氏の急死の原因究明を直ちに行うべきであり、火葬を急ぐべきではないという嘆願書を中国当局に提出したとのこと。顧氏は、もしも真相究明をせずに火葬を急げば党と国家のイメージに影響を与える可能性があると主張したそうです。

顧萬明氏は「34年前の胡耀邦の死後、彼の評価や追悼式と一般民衆の要求との間に矛盾が生じたことが、社会の不安定を引き起こした要因の一つであった」と指摘し、李克強氏の死に対する万人の哀悼の意を表すためには、李克強の地位と貢献に沿った追悼式を行うべきだと述べました。

また、時事評論家の蔡慎坤氏は、顧万銘氏の発言をソーシャルメディア「X」に転載し、その中で、

  1. 李克強氏の遺体の火葬の手配を直ちに中止し、死因が究明されるまで火葬の手配を急がないこと
  2. 中国共産党中央委員会と国務院の合同調査グループを直ちに立ち上げ、上海で李克強氏の死亡調査を行い、死亡の真相を明らかにすること
  3. 李克強同志の遺体を直ちに検視し、その死について虚偽の発言をした者は党規律と国家法に基づき責任を追及し、その罪の程度に応じて処分すること
  4. 李克強氏の追悼式を行なわないことは、李克強同志の「国家一級」の「党と国家の指導者」としての地位や、改革開放により豊かな国を建設した貢献度からかけ離れたものである

という4つの要求を行いました。

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中国当局が恐れる李克強氏の「反習近平」旗印化

また、時事評論家・馬聚氏もインタビューで、中国当局は李克強の死因を心臓発作と主張しているが、検死に関する公式報告はなく、急速な火葬は疑惑を高めるだけだとし、「それとも、習近平の新時代は、すべての死者や政治的に不都合な人物の遺体を速やかに消滅させるのか?」と述べています。

このように、李克強氏の早すぎる死と、検死の公式報告なき火葬、そして追悼式について何ら発表がないことなどが、国内外で疑念を高めています。

李克強氏の死が暗殺であったのかどうかはわかりませんが、中国当局は李克強氏が「反習近平」の旗印になることを恐れていることは確かでしょう。1989年の六四天安門事件は、急死した改革派・胡耀邦元総書記に対する学生らの追悼行動が民主化運動へと発展したことから起こったからです。

そのため、李克強氏の死去を伝える海外メディアのニュースが中国当局に検閲され、遮断されるということも起こりました。中国共産党にとって都合のいい伝え方、官製報道でなくては許さないということです。

李克強前首相死去伝えるNHKニュース遮断、TV画面に「信号異常」表示…当局が検閲か

加えて、当局はすべての大学に追悼行事の禁止を求める通達を出しました。それだけ当局はナーバスになっているわけです。

安徽省合肥市にある李克強氏の旧居には、献花に訪れる大勢の人が殺到し、多くの花束が積み上げられました。その花束のメッセージカードには、「長江黄河不會倒流、人在做天在看」(「長江黄河は逆流しない、天は人の行いを見ている」)など、李克強氏が生前に語った言葉が書かれているそうです。とくに、「天は人の行いを見ている」の言葉は首相退任時に語ったとされるもので、習近平独裁体制を批判したものだとも言われています。

ところがこの李克強氏の旧居には謎の青服の男たちが現れはじめました。現場の秩序を保つためだと主張していますが、情報筋によると、彼らは法執行当局のメンバーであり、花束のメッセージカードをチェックして回っているそうです。明らかに、民衆の李克強氏への追悼行動が反習近平運動につながることを警戒しているのです。

李克強故居外出現神秘「藍背心人」 審査花束字卡

しかし、民衆の当局への疑念と不満は静かに、確実に広まっているようです。新浪微博には、10月29日の鄭州マラソン大会で、青地に白文字で「克難攻堅,強國有道」(「困難を克服し、強者を攻撃し、国を強化する」)と2列に書かれた旗を持つ参加者の写真が投稿されました。各行の最初の文字を横に読むと「克強」で、元首相に敬意を表したものになっていました。る。

別の参加者は、A4用紙にコピーした李克強の白黒写真を透明の巾着袋に入れ、「また鄭州の街を散歩させたい」という意図で、写真を背中に背負ったままゴールまで走りました。同日、四川省成都市で開催されたマラソン大会でも、白いTシャツを着た参加者の背中に「長江と黄河は逆流しない」というフレーズが手書きされていたそうです。

習近平擋不住!悼念李克強 鄭州馬拉松選手背著遺照跑

こうした動きがかつての天安門事件のようなところまで発展する可能性は少ないでしょう。しかし、習近平政権への不満が次第に積み重なっていることは事実であり、いずれ何らかの形で爆発することはありえます。少なくとも習近平に退任や死去が訪れれば、それを契機に大きな転換や動乱は避けられません。習近平は70歳。李克強のことを考えれば、それはいつ訪れてもおかしくありません。

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