なす事すべてが裏目となり、支持率も下落する一方の岸田政権。完全に国民から見限られた感が強い首相ですが、もはやこのまま去りゆくしか道はないのでしょうか。今回のメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』ではジャーナリストの有田芳生さんが、年内の解散総選挙を断念した岸田首相の行く末を予測。さらに来年9月の総裁選までに残された、総選挙に打って出られる「唯一のタイミング」を考察しています。
※この記事は、メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2023年11月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
有田芳生(ありた・よしふ)
1952年生まれ、ジャーナリスト、テレビコメンテーター。立憲民主党所属の元参議院議員(2期)。出版社に勤務後、フリージャーナリストとして「朝日ジャーナル」「週刊文春」など霊感商法批判、統一教会報道の記事を手掛ける。2022年12月より、まぐまぐのメルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』が好評配信中
年内解散総選挙を決断できず。ついに見えた岸田政権の終わりの始まり
岸田総理が年内の解散、総選挙を断念したと『朝日新聞』(1面)とNHKニュースが報じたのは、11月9日だった。
政権が驚愕したのは、毎週1人(山田太郎文科政務官、柿沢未途法務副大臣、神田憲次財務副大臣)の辞任も反映して、世論が離れているからだ。
11月13日に公表されたフジテレビと産経新聞の世論調査では、内閣支持率が27.8%(前回は35.6%)、不支持率が68.8%(前回は59.6%)だ。
もはや危険水域に入り、「春にも電撃退陣」と断定して煽るメディアまで現れている。菅義偉政権が選挙を前にして退陣したのと同じ空気が流れている。
私の実感としては、2009年夏の政権交代選挙に至る麻生政権のときのようだ。9月にリーマンショックが起き、世界経済に波乱が襲い、日本経済も先行き不透明になった。
麻生政権の支持率も低下し、いつ解散、総選挙に向かうかと、毎日のように観測情報が流れた。
私は「新党日本」公認、「民主党」推薦で東京11区(板橋)で立候補する予定で、毎日毎日地元を歩いていた。
私にとっては初めての衆議院選挙だった。参議院選挙と違って、いつ解散があるかは総理の腹次第だった。正直にいって毎日のように不安と不満が溜まっていった。「早く解散してくれ」という思いだ。
いままた多くの予定候補者の心境がわかる。勝利するか敗北するかではない。時間が延びれば勝つ条件ができていくというレベルではないのだ。
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選挙の臨戦態勢を取っていた創価学会
岸田文雄総理は今年夏の通常国会明けに解散と総選挙を想定していた。公明党も維新との対抗でそう望んでいた。
実際に支援団体の創価学会は夏からつい最近まで選挙の臨戦態勢を取っていた。組織は北海道から沖縄まで13の方面がある。とくに兵庫に2区と8区は1996年に小選挙区制になってから、2009年の政権交代選挙での8区を除けば公明党が勝ってきた。
大阪と同じく創価学会にとっては「常勝関西」なのだ。だから公明党=創価学会は維新が候補者を立てる兵庫で浸透が進まないうちに総選挙をやってもらいたかった。
「12月10日」「12月17日」と具体的な投票日まで創価学会は想定していた。
ところが岸田首相はまったく煮え切らない。所得減税の経済対策を打ち出しても、支持率は上がらないどころか低下していった。
2000年の森喜朗政権のときには支持率が16%台にまで低下した。それでも解散、総選挙を行ったが自民党は微減で済んだ。世論調査一般と現実の投票行動は違う。あとは総理の覚悟なのだ。
岸田総理にはそれがない。野党の候補者擁立が進まず、連携が取れていないいま。挑戦無くして勝利なし。岸田総理にはこれからも厳しい道が続く。
2024年、自民党を襲う大スキャンダル
公明党=創価学会だけではない。来年になると自民党に大スキャンダルが襲う気配がある。
派閥パーティーで得た資金を政治資金規正法で適正に報告していないことを指摘され、東京地検に告発されている問題があるからだ。
1回のパーティで20万円を超える購入者を収支報告書に記載することは義務付けられている。2018年から21年では5派閥で約4,000万円が記載されていなかったことが明らかになったのだ。
清和政策研究会(安倍派)約1,900万円、志帥会(二階派)約950万円、平成研(茂木派)約600万円、宏池会(岸田派)約200万円。パーティ券を購入した団体が収支報告書に記載しているのに、買ってもらった団体が記載していないのだ。
昨年12月に薗浦健太郎議員(当時)が、政治資金の過少記載で略式起訴され、公民権停止となったように、悪質なケースは立件される。
この疑惑を知った岸田総理は年内解散に進まないと来年は危険だと判断した時期があった。しかし解散を断念した。
来年9月の総裁選までに総選挙に打って出ることを総理なら考える。1月の通常国会冒頭は難しい。6月の会期末なら東京都知事選と重なる。そうすると予算成立の3月末が想定される。そこで覚悟できないならば、岸田退陣の動きは加速する。
(この記事は、メルマガ『有田芳生の「酔醒漫録」』2023年11月17日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ)
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