インターネット経由で資金を募るクラウドファンディング。これで成功した例を見聞きすると、自分も使ってみたいと思う人も少なくないはず。しかし、それに待ったをかけるのは『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で人気コンサルの永江さん。写真集製作にクラファンを利用すべきか悩む相談者さんへの回答でその理由を詳しく語っています。
写真集制作でクラファンを利用するべきか
Question
いつも楽しく読ませていただいています。クラウドファンディングについて質問します。写真集を制作するにあたりクラファンを使うのがいいのかどうかです。仮にクラファンで200万円を集めて制作して参加者にお返しをどうするのか。当然お返しをするものであって改めて写真集を買っていただくのはおかしいですよね。
寄付のような感覚ではなく先行販売のような感じですればいいのでしょうか。いろんな形のクラファンがあると思いますが、結局それは企画を決めてそれに納得して賛同いただけるかどうかで決まるものなのでしょうか。
例えば写真集一冊1万円として一口1万円でクラファンして200万円目標で200人に出来た写真集を提供するとか。その場合おまけがいるのか。逆に一口2万円で写真集は1冊差し上げて、1万円はクラファンに参加できた満足感としてもらうのか。
私個人としてはクラファンの参加者に対するケアが面倒で自己資金でしたほうが面倒がなく楽かなという気持ちです。どのような形がいいと思われますか。
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永江さんからの回答
クラファンはぶっちゃけ有名な人がやる場合や、みんなが求めているサービスや商品を開発する場合でないとほとんどお金も集まらず、数人だけの応募があってもケアが面倒なので止めておいた方が無難かなと思います。
CAMPFIREの「アート・写真」プロジェクト一覧を見ていただくと分かりやすいのですが、無名の人が自分の夢を叶えたくて募集している案件では申込締め切りが残り数日でも支援0円や数千~万円しかないものがほとんどです。うまくいっているのは有名な人がやっている場合か、皆が絶対にほしい商品やサービスを開発するような場合だけです。
無名の人が数十万円の目標金額を達成している事例があっても、それは知り合いに声をかけまくって資金を集め、知人の社長がたまたま30万円出してくれたなどのケースだけでしょう。わたしもネットギークの裁判の時は数百万円集まりましたが、テレビやメディアで拡散されて関心が高かったためでした。
ご質問者さんがどのような方で、どのような写真集を出す企図か分かりませんが、出資前に内容が不明の写真集では、製作者が有名な人でない限りは難しいのではないかと思います。
例えばAKBなどの人気アイドルがプライベートな写真集を出したいからクラファンで資金を募集して出資者の名前を本の最後に入れてくれる・・・等であれば、ファンにとってはかけがえない思い出になるので成り立つと思いますが、有名でない人がユーザーの要望に基づかない写真集を出すならいくらも集まらないでしょう。
また、仮に20名から3万円だけが集まったとしても、お礼状を書いたりお礼の品を用意して送ったりするのにもお金と手間がかかって全く割に合いません。クラファンを利用する目的は、主に開発する商品のプロモーションか、初期に発注できるロット商品数を増やして製造費用を下げることだと思いますが(写真集も500部作るのと5,000部作るのでは印刷単価が全然違うので)、数十件程度の申し込みが増えただけではそんな効果は得られず、追加してかかる工数・コストの方が高いでしょう。
なので、ご質問者さんが有名な方であるか、よほどニーズがあるものでない限りはクラファンは利用すべきでないと思います。自己資金でできるならそれに越したことはないでしょう。
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