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日本の格差を「固定化」させた自民党と経団連という“A級戦犯”たちの大罪

かつては誰もが明るい未来図を描くことができた日本人。しかし昨今の我が国を見渡してみれば、持てる者と持たざる者の差は広がるばかりというのが現状です。何がこのような惨状をもたらしたのでしょうか。今回のメルマガ『神樹兵輔の衰退ニッポンの暗黒地図──政治・経済・社会・マネー・投資の闇をえぐる!』では投資コンサルタント&マネーアナリストの神樹さんが、日本で格差が拡大した根本原因を解説。その上で、そこから抜け出すために我々が取るべき行動を示しています。

どうして日本は格差社会になってしまったのか?格差社会拡大の最大の元凶は「日本人による自業自得」の構図!

今回は、「どうして日本は格差社会になってしまったのか?格差社会拡大の最大の元凶は日本人による自業自得の構図!」というテーマでお届けいたします。

昨今では、「親ガチャ」という言葉が象徴するように、親から子へと「貧困の連鎖」が当たり前のようになってしまいました。

貧困家庭に生まれたら、満足のいく教育機会にも恵まれず、低賃金の仕事に就かざるをえず、貧困が続くという状況──これが、これからの日本社会ではどんどん拡がることが危惧されているのです。

なぜそうなってしまったのか──ということを含めて、フランスの気鋭の経済学者トマ・ピケティの「 r > g 」 という有名な不等式の説明も交えて、じっくりとこの問題をえぐっていきたいと思います。

もうすぐ、とんでもない地獄の近未来が確実に訪れます。

これに備える「自助努力」が、旧世代以上に今の現役世代には求められるのです。

さあ、地獄の未来図について考察していきましょう。

さて、あと数年から10年ちょっとで定年を迎える「ロストジェネレーション」といわれる人々は、この「貧困の連鎖」に大きく関係している世代といわれています。

略して「ロスジェネ世代(失われた世代)」は、1970年から84年にかけて生まれた世代を指します(2024年時点で40歳から54歳になる世代)。

ちょうどバブル経済が崩壊した1990年以降のデフレ不況が深まっていく十数年間に、学校卒業を目前に就職活動を行った人たちを指しています。

求人倍率が著しく低下した時代だったゆえに、正社員になれず、非正規雇用社員にならざるを得なかった気の毒な世代に該当します。

2008年のリーマン・ショックの時には、すでに24歳から38歳になっていた世代なのです。

これはもう、20代から30代にかけて「踏んだり蹴ったり」の人生前半を余儀なくされた世代といわざるをえないのです。

ちなみに、「ロスジェネ世代」に相当する前半当初の4年間に生まれた一群の世代は「団塊ジュニア世代」とも呼ばれます。

この「団塊ジュニア世代」は、ものすごく人口が多いことが他の世代と大きく違う特徴点です。

それは、「2040年問題」という大きなテーマとも、直接かかわる世代でもあります。

2040年は、現役世代が数多く引退し、そのぶん引退世代がどっと増える「社会保障制度」が危機を迎える分岐点なのです。

これに大きく関わってくる世代が、人口の多い「団塊ジュニア世代」であり、それに引きずられる形になる「ロスジェネ世代」でもあるわけです。

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「ロスジェネ世代」は先頭集団の「団塊ジュニア世代」を筆頭にズブズブと「貧困老後地獄」に落ちていくのが確実!

「ロスジェネ世代」の先頭集団ともいうべき、1971年から74年の第二次ベビーブームで生まれた「団塊ジュニア世代」ですが、「2040年」は、この世代が65歳の引退を迎える時期なので注目されています。ゆえに「2040年問題」として括られます。

2024年時点で、現在49歳から53歳の方々が該当する「団塊ジュニア世代」は、「団塊の世代」という第二次大戦後の第一次ベビーブームで生まれた1947年から49年出生の年間260万人以上(3年間で1,000万人強)の数多い人口の「子供たちの世代」を意味しています。

ゆえに「団塊ジュニア世代」の異名があり、「団塊の世代」に劣らず、4年間で800万人という人口ボリュームがあるのです。

バブル崩壊後の不況期の90年代後半に社会人となり、求人倍率が1を割る「就職氷河期」をもろに経験した世代でもあるわけです。

つまり、「団塊ジュニア世代」は、「ロストジェネレーション(世代)」の先頭を切って、社会人人生のほぼすべてがバブル崩壊後のデフレ経済の「失われた30年」と符合する年代でもあるのです。

この「団塊ジュニア世代」は、ほぼ4人に1人(約23%)が「非正規雇用」であり、全体的に賃金水準が低いため、老後の年金支給額も低額と推定されています。

しかも、800万人という巨大な人口の塊が2040年に一斉に引退してしまうと、いきなり社会保障費が危機的状況を迎えるともいわれているのです。

つまり2024年現時点の生産年齢人口約7,300万人が、2040年には、一気に6,000万人に縮小してしまい、さらに現在の65歳以上高齢者3,623万人が3,921万人に増えるのです。

ものすごいことが、2040年に待ち受けていることがわかるでしょう(労働力人口の雇用者数は現在の6,600万人が5,760万人に減少)。

この状況では、現在の社会保障制度は維持できなくなるのです。

するとどうなるのか。

年金を減額するなり、支給年齢を70歳や75歳に引き上げないと社会保障が成り立たなくなるのは必然なのです。

そして、2040年以降は医療費も爆上がりするでしょう。

65歳未満の人は、年間平均医療費が18万円台ですが、65歳以上は70万円台にもなるからです。高齢化がすすむほど、医療費負担も増大するわけです。

現行の70歳以上74歳未満の医療費2割負担や、75歳以上医療費1割負担などという「手厚い健康保険制度」は、完全にもたなくなり、今の現役世代同様の3割負担がふつうのこととなるでしょう。

収入が年金に限られるのに、70歳以上の高齢者は医療費負担が今の2倍から3倍に増えるのです。

これでは、体調が悪かろうとも、医療機関に行けなくなります。「長生き」は医療費高騰を招くのが必然だからです。

これが「2040年問題」なのです。

この頃、消費税率も20%ぐらいになっているでしょうから、もはや経済的な困窮度は、現在の比ではなくなるでしょう。

恐ろしいことに、この「団塊ジュニア世代」を先頭に、「ロスジェネ世代」の人たちも、2040年以降の定年後の生活はますます厳しく、苦しいものになることが、すでにはっきりしているわけです。

つまり、「団塊ジュニア世代」も「ロスジェネ世代」も、ほとんどの人が、定年後の生活において、「貧困老後」と背中合わせの世代といえるわけです。

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「経団連」が自民党の「政策をカネで買い」貧困を拡げた!

日本の1970年代以降しばらくは、高度経済成長期(1955から1973年頃)の成熟期にあり、日本国民のほとんどが「中流意識」を味わえた幸せな時代がありました(1975年の調査では自分を中流階級と認識した人の割合が75%に及び、「一億総中流」というのが、流行語のように流布された)。

1991年4月に来日したソビエト連邦のゴルバチョフ大統領は、「世界で一番成功した社会主義」と皮肉りつつ、日本を讃えました(すでに内部分裂がすすんでいたソ連は、この91年末にかけて崩壊した)。

しかし、日本もすでに90年にバブル経済が弾け飛び、ここから90年代後半の金融危機を経て、25年に及ぶデフレ不況に向かって右肩下がりに経済は低迷・低落していきます。

この間、日本では、国民を貧乏にしていく「賃金下落政策」が、着々と進行していました。

大企業中心の経済組織「経団連」の意向を受けた自民党政権が、政治献金をくれる「経団連」のカネになびいて、労働者を締め上げる政策を忠実に実行するようになってきたからです。

賃金下がりっぱなしの日本に導いたのは自民党!それを政権の座にとどめてきたのが「投票に行かない有権者の半数の人たち」!

近年マスメディアによって、日本人の賃金が、諸外国と比べ30年間も上がっていないことが報じられるようになると、自民党の旧安倍政権や岸田政権では、賃上げヘの労組の恒例行事「春闘」に向けて「賃上げ」への支援ポーズを見せはじめました。

凋落一途の労組のナショナルセンター「連合」には、まさしく皮肉の極致で、いい面の皮でしたが、政府による「賃上げ」音頭取りゆえに、「官製春闘」と揶揄されています。

しかし、今頃になって「賃上げが大事」などという自民党政権ですが、日本人の賃金が上がらないよう画策してきたのは、政権与党である、他ならぬ自民党だったわけです。

そして、それを支援し続けてきたのが国民なのですから、「賃下げ政策」は、いわば国民の「自業自得」ともいえるものなのです。

毎年、年間二十数億円の政治献金を「経団連」の差配によって大企業からもらい、その1,000倍以上のキックバックの優遇措置を大企業だけにもたらしてきたのが自民党政権だったからです。

もちろん、政治献金を一銭もくれない中小企業への支援は蚊帳の外です。カネをくれないところには自民党は冷徹だからです。

自民党国会議員の4割は、封建領主気取りの世襲議員が占めています。

自民党派閥の「パーティ─券キックバック・裏ガネ騒動」においても見て取れるように、自民党で国会議員になるのは、「カネが目当て」であり、「世襲一族の保身と繁栄」のみを、親子代々で受け継ぐ者たちばかりだからです。

高額報酬と高級待遇の身分である国会議席を死守できて、どこかからたっぷりカネさえもらえるのだったなら、日本の政治における政策なんてどうでもよい──と思っている連中ばかりだからです。

ゆえに、献金をくれる大企業経営者の組織「経団連」に頭が上がらず、「経団連」と「アメリカ政府(毎年突きつけられる年次改革要望書と治外法権まる出しの日米合同委員会の指令)」の言いなりで政治を行えばよい──とだけと思っているのが自民党です。

あとは、どうせ政治的レベルの低い国民感情や国民性をどうやって誤魔化すかを画策し、もっともらしく伝統と文化を守る、正統派の保守政権を装うだけなのです。

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正社員よりも賃金の低い「派遣社員」という労働者を企業の中に生み拡げ、愚かな「中間搾取・間接雇用・有期雇用」という制度解禁が「ニッポンの賃下げ政策」の嚆矢だった!

まずは、ニッポンの「賃下げ政策」の初陣は自民党・中曽根政権が1986年に施行した「労働者派遣法」でした。

これが、戦後禁止されてきた「中間搾取(賃金の横取り)」を合法化し、いつでもクビ切りが容易な「有期雇用」と福利厚生を大幅カットできる「間接雇用」を常態化させたのでした。

一つの会社に「正規」と「非正規」の階級差別を導入したわけです。

「有期雇用」なら「正規」より高い賃金を払うべきですが、賃金水準はそのままに、派遣法制定以前から違法だらけの偽装請負をやっていた派遣会社に3~4割もピンハネさせる制度を作り上げました。

そして次の悪政は、89年の自民党・竹下政権による消費税の導入です。最初は3%と小さく導入して、大きくしていく自民党の昔ながらの伝統芸です。

国民の消費に罰金を課して、GDPの6割を占める個人消費を圧迫し、税率アップで次々と消費者の可処分所得(自由に使えるお金)を減らしていく政策でした。

目的は大企業経営者と富裕層優遇のための法人税率と所得税率の引き下げのためです。

そして、「賃金低下・押し下げ政策」の極め付きが、93年導入の「外国人技能実習制度」であり、自民党・宮沢政権の時でした。

途上国の母国での送り出し組織への莫大な借金を背負わせられた低賃金労働者を日本に迎え入れ、どんな仕事でも3年間奴隷労働を強いて、転職の自由がない憲法違反の制度なのでした。

おかげで毎年1万人近い失踪者を生み、犯罪に追い込む劣悪制度でした。自民党政権は性懲りもなく、現在は途上国からの奴隷労働者に3年で帰国されては困るので、5年以上滞在させる制度へと「改変中」なのです。

このように日本人の賃金水準を下押しする悪徳政策を拡げてきたのが自民党でした。

そして、消費税率を次々上げて、消費がいかに低迷しようが、経団連の指令である「消費税率19%」へ向けて、着々と手を打ってきたのが自民党だったのです。

前述の通り、消費税率アップの目的は、法人税率を下げて大企業の税金を安くし、さらに大企業だけに数々の特別減税措置を施し、また所得税率を緩和して金持ち層を優遇するためでした。なんたって、政治献金というカネを恵んでくれるスポンサーの言うことを聞かないといけないからでした。

こうして三十数年来の自民党が行ってきた「経団連に対しての忠実な悪政」が、2022年末の資本金10億円以上大企業の内部留保額511兆円をもたらしてくれたのでした。

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「財務省悪玉論」に与しているマスメディア

この間、賃金引き上げを渋りに渋ってきた大企業の「労働分配率」は、なんと40%そこそこまで引き下げられてしまいました(人手不足の中小企業は労働分配率70%で、もはや賃上げ余地なしのアップアップ状態=東京新聞2023年12月30日付の調査報道による)。

消費税率を上げることで、法人税率や所得税率を下げたばかりか、大企業は下請け企業に払ってもいない消費税を「仕入れ税額控除」で、海外輸出時に還付金として、6兆円も取得することが出来ています(海外への輸出製品には消費税がかからないという建前での輸出戻し税)。

6兆円といえば、消費税率3%分です。

下請けにコストカットを要求し、10%の消費税分さえカットして納品させている大企業は、これだけでもベラボーに儲かります。

ゆえに、「経団連」はさっさと消費税率を早く19%まで上げろ──と自民党をせっついています。税率を上げれば上げるほど、濡れ手で粟の還付金が入ってくるからです。

「消費税率を上げろ」──と自民党を脅しているのは、「財務省だ」という奇妙な説もありますが、「財務省」などしょせん役人サラリーマンの集まりです。

この珍説は、官邸主導で公務員の人事権を握っている自民党政権が、単に「財務省」を悪玉に仕立てて、カネを恵んでくれる「経団連」をかばっているだけの構図です。

総理官邸が「財務省」官僚のトップである事務次官など、いつでもクビに出来るのですから、故・安倍元首相が「財務省」を怖れていた──などと回想本もどきの書籍の中で語らせるのは、本当にタチの悪い詭弁であり、大いなる作り話にすぎません。

消費税率をアップしようと画策している首謀者は「経団連」であり、財務省はその尻馬に乗っているだけの存在にすぎません。

これぐらいは、ちょっと考えれば、おかしい──とすぐにもわかるはずの話でしょう。マスメディアも自民党政権への忖度で、「財務省悪玉論」に与しているだけなのです。

そんな自民党が、手の平を返すかの如きに、口先で今さらのように労働者への「賃上げを期待する」などと経済界に言及するのは、チャンチャラおかしい笑止千万の話でしょう。

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将来の「生活保護総支給額」をパンクさせかねない現役労働者へのこれまでの「賃下げ政策」のしわ寄せ!

前述の通り、与党自民党の「賃下げ政策」で、日本人の賃金には「下押し圧力」が常につきまとうようになりました。

これはバブル崩壊後のデフレ下に置かれた大企業が、人件費に異常な警戒心を抱くようになったのと軌を一にしているでしょう。

そして、労組の集合体で総本山の「連合」が、「賃上げ」よりも「雇用の維持」に熱を上げ、非正規雇用そっちのけで組織力を落としてきたこととも大いに関係があります。

労働組合なのに、労働者の味方どころか、財界べったりの自民党の補完組織に成り果てています。

こうしたこともあり、何の役にも立たない労働組合を離れる労働者も激増しているわけです。

今や2万3,046組合で組合員は999万人、組織率はたったの16.5%で過去最低です(厚労省2022年調べ)。

高度成長期には3人に1人以上が労働組合員でしたが、今や6人に1人の組合員がいれば御の字なのです。毎月徴収される「組合費」は無駄の極致です。

労組は、昔から高給を蝕む幹部組合員が「労働貴族」と化してきましたが、今では「連合」本部の幹部が自民党にすり寄る行動まで見せていることが、つねづね報道されるようにさえなっています。

異常なご時世といわねばなりません。

「経団連」の命令で、賃金引き下げに躍起となってきた政府・自民党と、連立でカルト宗教をバックにつけた下駄の雪・政党の公明党ですが、労働者の賃金を押し下げ、消費税率を上げるばかりでは、いつまで経っても日本の景気はいっこうに上向きません。

合成の誤謬で、当たり前の話だからです。

庶民を苦しめるだけの消費税を廃止しなければ、永遠に日本は経済復活できないでしょう。

こんな当たり前のことが、「消費税率アップは社会保障の充実のため」などというオタメゴカシのPRで、簡単に国民は騙されているわけです。消費税は目的税ではありません。

アベノミクス大失敗で身動き取れなくなった日銀は、その後遺症での過度の「円安」に襲われて、庶民をさらなる物価高で苦しめています。

いっぽう輸出主体の大企業は、円安効果で軒並み史上空前の好決算です。

おかげで内部留保額も、昨年度末で511兆円と過去最高になったゆえんなのです。世界最低水準の「労働分配率40%」の偉大な成果でした。

しかし、このまま「団塊ジュニア世代」や「ロスジェネ世代」という低賃金の労働者たちが、65歳以上高齢者になると、確実に受給年金が生活保護水準以下となって不足します。ゆえに、足りない分を生活保護に頼るしかなくなるのです。

現在、2022年度で生保受給者は202万人(半数が高齢者で外国人は5万人)ですが、すでにこの人数は、1940年代後半の敗戦直後に混乱していた世情の困窮時と同レベルです。

総支給額は約4兆円ですが、高齢者医療扶助の爆上がりで先行きの見通しは、まったく不透明になっています。

2050年には、100歳を超える高齢者の数が50万人を突破するといわれています(2023年時点では約9万2,000人)。

生活保護の総支給額が、現在の3倍~4倍に膨らむことも試算されています。もはや国家財政はもたないでしょう。いったいどうなるのでしょうか。

つまり、菅義偉氏の政権就任時のヘンテコなスローガンだった「公助」も「共助」も頼れずに、「自助」だけが頼りというお寒いニッポン国の現状がひろがるばかりなのです。

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資本主義は放置すると「格差拡大」は自明の理!自民党を退陣させ、「再分配政策」を強力に推進する政党を育てるべき!

2014年にブームを呼んだ本『21世紀の資本』の執筆者であり、フランスの気鋭の経済学者トマ・ピケティ氏は、資本主義の矛盾を表す不等式として「 r>g 」を提示しました。

「 r 」が資本収益率で、土地や建物、機械設備などの実物資本と株式や債券といった金融資本の収益率を表わしています。

そして「 g 」が国民所得であり、資本が生む収益と労働所得の合計を表わしています。

「 r=g 」ならば、資本の収益率も、国民所得の成長率も同じなので、国民所得に占める労働所得の分配率も一定になります。

これなら、問題は生じないものの、ピケティは3世紀にも及ぶ各国の長期データから、「 r=g 」とはならず、つねに資本主義経済は「 r>g 」となっているため、格差が大きくなり、不平等が広がると警鐘を鳴らしたのでした。

すなわち、資本主義は放っておいては駄目なのです。

ピケティは、格差解消のためには、資本にも累進課税を導入すべきといいます。しかも、それで資本逃避が起きないように、世界中の税務当局が各国の銀行データを共有する形で実施するという、非常に過激でユートピア的発想により、格差解消の解決策を提唱したのでした。

岸田文雄首相のように「新しい資本主義」だの、「(資産)所得倍増計画」だの「異次元の少子化対策」だの、まったく意味のない大袈裟な言葉遊びだけで、具体策がないカラッポの「真空政策」を並べる、世襲3代目の自民党バカボン政権をこのまま留めておくような、今の日本の政治はストップすべきでしょう。

自民党の表紙の顔である「首相」をいくら変えても同じです。

「経団連」と「アメリカ政府」に隷従するだけの政権が続くだけだからです。

「経団連」と「アメリカ政府」の言いなりの政権には退場してもらい、新しい「再分配政策」に大ナタを振るえるような政治家をこそ、私たちの一票の投票で育てていかなければならないのです。

みなさま、選挙の投票には必ず行くようにしましょう。

そして、せめて自民党以外の政党に投票しましょう。

有権者の半分しか投票に行かないような日本国では、国の衰退を早めるだけだからです。

ぜひ、お願いしたいと思うのです。

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神樹兵輔この著者の記事一覧

投資コンサルタント&マネーアナリスト。富裕層向けに「海外投資懇話会」を主宰し、金融・為替・不動産投資情報を提供。著書に『眠れなくなるほど面白い 図解 経済の話』 『面白いほどよくわかる最新経済のしくみ』(日本文芸社)、『経済のカラクリ』 (祥伝社)、『見るだけでわかるピケティ超図解――21世紀の資本完全マスター』 (フォレスト出版)、『知らないとソンする! 価格と儲けのカラクリ』(高橋書店)など著書多数。

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【著者】 神樹兵輔 【月額】 ¥660/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週月曜日

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