前回の大混乱から早4年、今年11月5日に迫ったアメリカ大統領選。バイデン氏とトランプ氏の対決という「2020年の再現」になると予想されていますが、なぜ民主党は低支持率にあえぐバイデン氏を擁立するのでしょうか。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、英誌『エコノミスト』の記事を引きつつ裏事情を解説。その上で、民主党が機能不全に陥っている可能性を指摘しています。
81歳のバイデンが出馬する大統領選
今年最初の話題はやはり米国大統領選です。
お正月に「アメリカには、バイデン、トランプ以外の大統領候補者はいないの?」といった質問を受けました。
誰しもそう思うでしょう。
今回は、民主党の候補者がなぜバイデンなのかについて記しましょう。
参考とするのは英誌エコノミストの1月4日の記事です。
● The man supposed to stop Donald Trump is an unpopular 81-year-old
ドナルド・トランプを止めるはずの男は不人気な81歳
民主党は11月の大統領選挙でトランプに対抗する候補者を、現職の大統領としては最悪の支持率を誇る81歳のバイデンにするようだ。
バイデン氏が不人気な理由には秘密はない。
理由の一つはインフレの持続である。
それから彼の年齢だ。
ほとんどのアメリカ人は80代が世界で最も難しい仕事を4年間も任されるべきではないことを知っている。
しかし、今の段階でバイデン氏に代わる人物を見つけることは絶望的である。
すでに多くの州で予備選の立候補の締め切りが過ぎている。
バイデン氏が今日辞退すれば、民主党は必死になって予備選を組み直さなければならなくなる。
投票用紙に載っている他の候補者は、ディーン・フィリップスというあまり知られていな下院議員と、マリアンヌ・ウィリアムソンという自己啓発の第一人者だけだ。
新たに候補者を加えるためには、複雑な手続きを経て新しい日程を承認しなければならない。当然、混乱が伴う。
それができたとしても、最終的に当選可能な人物、例えば民主社会主義者を自認するバーニー・サンダース氏はバイデン氏より1歳年上である。
カマラ・ハリス副大統領には高齢ではないという利点があるが、彼女はコミュニケーションができない。トランプ氏を打ち負かす可能性は、彼女のボスよりもさらに悪そうだ。
したがって、民主党はバイデン氏の当選に集中したほうがいい。
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解説
すでに多くの州で民主党大統領候補の立候補の期限が過ぎているのです。
また知名度が高い有力候補であるサンダース氏は高齢、カマラ・ハリス副大統領は不人気であることが解説されています。
結局、現職のバイデン大統領が候補になるしかないという見方です。
なるほどとは思います。しかしここで疑問が生じます。
バイデン大統領が高齢で不人気なのは昨年から自明でした。
なぜ、昨年の前半段階で新しい有力候補を探して育てる努力を民主党はしなかったのでしょうか。
不可解です。
これに限らず、私から見ると、今の米国政治でもっとも不思議なのは民主党のあり方です。
トランプを支持する共和党よりも理解できません。
2016年と2020年の大統領選、クリントンもバイデンも「不法移民がダメなのは当然です」とさえ言えば、楽にトランプに勝てました。
なぜそうしなかったのか?
憎きトランプの主張だからで同意したくてもできなかったのでしょうか?
違います。
現に、ビル・クリントンは1992年の大統領選挙で、対立候補であるジョージ・ブッシュ大統領の主張に一部同意し、その課題を無効化する戦略を採用しました。
それに倣ってトランプの主張の一部に同意すればよいだけです。
不法移民問題で同意されれば困るのはトランプなのです。人が共感してくれる主張の基盤がなくなるからです。
なぜ、民主党がトランプの当たり前すぎる主張にサラッと同意して、それを大統領選の議論課題の対象から外すことをしないのか、まったく理解できません。
おそらく過度に人道的な極左グループが党内にいて彼らを切れない事情があるのでしょう。
現在、米国の民主党は機能不全に陥っているように見えます。
(この記事はメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』1月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会に初月無料のお試し購読をご登録ください)
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