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「また起きた」悪徳商法ジャーナリストが明かす「トケマッチ事件」の裏側

オーナーから預かった高級腕時計をレンタル希望者に貸し出し、その料金の一部を持ち主に還元するシェアリングサービス「トケマッチ」の運営会社が突如解散を発表、委託していた時計がオーナーのもとに戻らない状況が大きく報道され話題となっています。この「事件」を取り上げているのは、ジャーナリストの多田文明さん。多田さんはメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』で今回、高級腕時計を巡るこうした事案が頻発する理由を解説。その上で、自身の所有物を「貸し出す」もしくは「差し出す」ことに関して注意を喚起しています。

トケマッチのシェアサービス停止、そしてバイヤーらの高級腕時計の代金未払い問題

高級腕時計のシェアリングを行っていた「トケマッチ」のサービス停止になりました。報道をNHKのニュースで初めて知り「高級腕時計に関する事件がまた起きた」と思いました。

これまでも高級腕時計店に組織的犯罪グループが強盗に入り、時計を奪うなどの事件も多かったからです。

ニュース内では、所有者が会社に預けたはずの時計がフリマアプリで売られているという証言まで報道されました。

会社の関係者が売った可能性もありますが、そんな簡単にバレるような行為を会社側がするだろうかの思いもあり、やはり闇バイトで募集された人物が時計を売っていたことも視野に入れた方がよいと思っています。つまり、犯罪グループが背後にいて、レンタルされた腕時計をだましとり、組織的に時計を売っている可能性です。

もしそうであれば、このフリマアプリの売買は氷山の一角の可能性があり、もうすでに運営会社のもとには預かった腕時計がほとんどないことも考えられます。本当は、メルマガでこの件を書くつもりでしたが、問題が大きくなってきたので、ヤフーニュースにて記事にしました。ご参照ください。

高級腕時計トラブル多発 トケマッチ・シェアサービス停止からみえてくる裏側 犯罪グループ暗躍の可能性は

高級時計の未払い事件。過去に多くの被害を生み出した首謀者が再び同じ被害の状況を作り出している

トケマッチのサービスは今年1月末に停止して、会社は解散しています。偶然なのかどうかはわかりませんが、昨年11月末にも、大手の求人募集で見た高級腕時計を海外で買い付けるアルバイトをしていたバイヤーらの会社も、突然に報酬や時計代金を払わなくなり、多くの負債を抱える被害が出ています。

この手口では、東南アジアにバイヤーらを行かせて自らのクレジットカードを使わせて、高級腕時計の買い付けをさせます。購入した時計は会社に渡しますが、その代金と報酬は後日、本人に振り込まれます。会社からの連絡もマメにあり、バイヤーらに1年以上も購入行為を行わせて安心させたところで、いきなり会社がお金を払わなくなるスキームです。これは、10年以上前から行われているものです。

実は昨年の春、過去にこの時の会社が出していたのと似た求人募集が出ているとの報告を受けて、面接を受けた方の状況を現代ビジネスにて記事にしました。

コロナが落ち着き急増する…「海外ブランド時計」買い付け闇バイトのヤバすぎる手口 

しかしその時、過去に数多くの被害を生み出した首謀者が背後にいるのかどうかわかりませんでした。ただし、その面接の内容は過去の被害と非常に似ていましたので、記事内で「闇バイト」の可能性をにおわせて、この手口にはまらないように精一杯の注意喚起をしたつもりです。

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常にサービスが停止するかもしれないというリスクを心えておく必要あり

昨年11月末に販売会社からの支払いが止まって後、被害者からの報告が寄せられて、今回の首謀者も、これまで多大な被害を生み出してきた人物であることがようやくわかりました。

実際、先の記事を読んで1度きりの仕事でやめた方もいますが、残念なことに、過去に私の書いた記事をみながらも、仕事をし続けて被害に遭った方もいます。

そのバイヤーだった方に話を聞くと仕事を始めた頃に、親族が心配して、私の書いた過去記事を送ってきたそうです。しかし、記事にあるような「バイヤーの腕に時計をはめて通関させる」という指示をうけなかったため、違法性がないと思い、アルバイトをし続けてしまったと話していました。

他のバイヤーの方も、私の記事を見つけて、実質的な経営者(首謀者)に送り、この件について尋ねると「それは密輸の仕事であり、しっかりと税関での支払いはしている」との答えがあったそうで、仕事を続けたと言います。これが本当だとしたら、過去に自分が指示した違法行為であることを告げず、バイヤーをし続けさせたことになり、非常に悪質な行為だといえます。

いずれにしても、先の情報を寄せてくれた被害者の方は「自身で会社をもっと調べることが大事で、同じような記事を見つけた時には、より疑いをもっての行動が大事だ」と振り返っています。

いずれにしても、自分の所有物(トケマッチで時計を預ける)やお金(自分のクレジットカードで時計を購入する)をどこかの会社に差し出す時には、そのサービスが停止するかもしれないという最悪の状況を考えてのリスクを常に心えておく必要あります――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年2月14日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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【著者】 多田文明 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎月 14日・28日

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