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米ブッシュ元大統領さえ利用。統一教会が「信者鼓舞」に使った裏情報とは?

旧統一教会の関連団体「天宙平和連合」へのビデオ出演で約3億円の講演料を受け取っていたことが話題となったトランプ前大統領。そんな教団が、95年にやはり関連団体「世界平和女性連合」のイベントにジョージ・H・W・ブッシュ氏を招いていたことをご存知でしょうか。今回のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』では、かつて旧統一教会の信者だったジャーナリストの多田文明さんが、教団内で語られた講演時のブッシュ氏を巡る「裏情報」の内容を紹介。さらに彼らが信者たちとこのような情報を共有する目的を解説しています。

旧統一教会信者と国民との間で情報格差が生まれる恐れ ブッシュ氏、本当は悩んでいたとの裏話

2月22日に解散命令請求の裁判において、文科省と旧統一教会の双方から意見を聞く「審問」が行われましたので、こちらの話を中心に書きます。盛山文科大臣の教団側からの情報リークを含めて、情報戦において教団側は、相手の個人情報を握って、ベストなタイミングで霊感商法などで追い込むといった、ノウハウの40年以上の蓄積がありますので、かなり手ごわいといえます。

国やマスコミの側の対応も負けてはならないと思っています。

非公開の裁判ながら、すばやく情報を出す、教団側の巧みさ

本来、解散命令請求の裁判は、非公開で行われる裁判です。

しかしすぐさま教団側は裁判後に会見を通じて、田中富広会長が意見陳述を行い「資金集めを目的とした団体」と指摘されていることについて「明らかな間違い」との主張を展開したといいます。

報道を通じた内容を見る限り、これまでの主張と変わりないものですので、裁判においてさしたる影響はないとは思いますが、ただ情報を素早く出した点に、相変わらず教団の巧みさがみえています。

解散命令請求の裁判における、旧統一教会信者と国民との間で、情報格差が生まれる恐れも

解散命令請求の裁判は多くの人たちが注目しているところであり「どんな審問だったのだろうか」と多くの人たちが関心を寄せているところに、いち早く会見を通じてその内容を出す。

相変わらず情報戦においては長けている部分もみられますので、今後は文科省も何かしらの裁判の経過について話をする必要が出てくるかと思います。

なぜなら、このままでは国民と信者との間に、解散命令請求の裁判における情報格差がうまれてくる恐れがあるからです。

どのような形で裁判が進んでいるかは、国民の側には知らされていませんが、信者内部では赤裸々に、そして自分たちの都合の良いように伝えられてしまう可能性があります。私も信者時代にも、信者らのモチベーションを鼓舞のためでしょう。「ここだけの話」といって、礼拝の説教やイベントへ参加者を募る動員の出発式には、裏話をしてくることがよくありました。

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ブッシュ元大統領(当時)が来日しての「世界平和女性連合」の95年のイベントでの講演

一つの例をあげれば、1995年9月に教団の関連団体「世界平和女性連合」が主催する「地球家族祭り(グローバル・ファミリー・フェスティバル)」が行われました。

全国の教会員にイベント参加の動員がかけられて、私自身も東京ドームに仙台の教会員とともに参加しました。基調講演は韓鶴子総裁だったと記憶しています。当時のジョージ・ブッシュ元大統領が来日して、14日の東京ドームをかわきりに、全国5カ所で特別講演をしました。

それからしばらくしてから、仙台教会の礼拝堂で、後に教団の会長となる人物から「この時のイベントは順調に行われたわけではない」という裏話がありました。

当時の報道によると、確かに全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)は、アメリカのブッシュ氏の事務所に「(講演を行えば)教団の信頼度を高め、霊感商法の被害拡大につながる」として出席の中止を求める文書を郵送しています。

ブッシュ氏、本当は悩んでいたとの裏話が教団内部で語られる

「反対派の攻撃がありましたが、ブッシュ前大統領は来日しました」と、後に会長になった人物は語ります。

さらに続けて「しかし実際に来日してみると、霊感商法による教団への反対の声は大きく、(反対する議員などから)ブッシュ氏の耳にもそうした声が入ってきました。それにより、ブッシュ氏は『講演を途中でやめて、帰国しようか』と悩みました。しかし傍にいる食口たち一人一人の誠意ある姿を見て、私たちを信じてくれて、最後までブッシュ氏は講演をやり遂げたのです!」

サタン側の試練に打ち勝って、神側の使命を果たした共和党のブッシュ前大統領(当時)に大きな希望を感じたものです。おそらくその場にいた信者らは全員、モチベーションをあげたことでしょう。そして布教活動や教団の関連団体のイベントの動員にいそしみました。

このように教団内部では、信者を鼓舞するために、もちろん、都合の悪い情報は隠されますが、教団にとって有利になる情報な裏事情は共有されます。

こうした体質は今も変わっていないと思いますので、解散命令請求の裁判は非公開ですが、教団側に有利になるような形で、内部的には語られる可能性が高いと思っています。それに対して、国民の側には裁判の内容は伝えられませんので、国民と信者との間に大きな情報格差がうまれてくることを懸念するわけです――(この記事はメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2024年2月28日号の一部抜粋です。続きは、ご登録の上お楽しみください、初月無料です)

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悪徳業者などへの潜入取材した数は100ヶ所以上。数々の現場経験と被害者への聞き取り取材から、詐欺・悪質商法に詳しいジャーナリストとして一線で活動し、多数のテレビ・ラジオに出演している。現在はヤフーニュースのオーサ・公式コメンテーターとして、コメントやニュース記事を執筆中。消費者庁「若者の消費者被害の心理的要因からの分析に係る検討会」(2017年~18年)の委員も務めた。雑誌「ダカーポ」にて、悪徳商法に誘われたらついていく連載を担当。それをまとめた著書「キャッチセールス潜入ルポ~ついていったらこうなった」(彩図社)はフジテレビで番組化され、ゴールデン枠の特番で第8弾まで放送された。新刊11月予定「信じてみたら、ダマされる。~元統一教会信者だから書けたマインドコントロールの手口」(清談社清談社Publico)

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