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旧統一教会の関連団体と「政策協定疑惑」の守山文科大臣に後ろ暗い過去。名門灘中にかけていた“圧力電話”

2021年に行われた衆院選をめぐり、旧統一教会の友好団体の「推薦確認書」に署名していた疑惑が報じられ、6日にその確認書の写真がメディアにより報じられるも「自分のサインに似ている」と苦し言い訳を口にした盛山正仁文科相。そんな守山氏ですが、自身の母校に「不適切」とも言うべき行いを働いていた過去が明らかになっています。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、私立灘中学の歴史教科書の選定に関して守山氏が同校にかけた「圧力」を紹介。さらに宗教団体と政治・メディアとの見逃してはならない癒着について取り上げています。

※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです/メルマガ原題「旧統一教会問題、2024年も再び 盛山氏 灘中・高校に対し歴史教科書をめぐり圧力か? 霊友会と毎日新聞との不透明な関係も問題」

終わらない政界「統一教会汚染」。毎日新聞は「とある宗教団体」と癒着か

2024年も自民党と統一教会との結びつきに関する報道が相次いでいる。

盛山正仁文部科学大臣に、旧統一教会(現・世界平和統一家庭連合)系の教団機関誌が毎月無料で地元事務所に送付されていたことが、2月20日の朝日新聞で報道された。そのことに対し、盛山氏は、

「一方的に送られてきたものでただちに処分している」

と述べている(*1)。

安倍晋三元首相の銃撃事件で教団の高額献金などの問題が明らかとなって以降、機関誌を受け取る側が教団側に連絡して送付しないよう発送が停止されたケースは複数あるが、盛山氏側からはそうした意思表示はなく、先月も送られていたという(*2)。

送付されていた機関誌は、教団系の友好団体の会員向け月刊誌『世界思想』。

報道によれば、毎号に教団創始者の故・文鮮明(ムンソンミョン)氏のメッセージなどが掲載されているという。

盛山氏をめぐっては、2021年の衆院選で、教団の友好団体から推薦状を受け取っていた問題が浮上している。

一方、今年に入り、とある新興宗教と毎日新聞との怪しい癒着関係が報道された。宗教問題をめぐり、メディアのあり方も問われている。

「安倍さんとセットで活躍させる」旧統一教会が萩生田光一氏に近づいた理由

自民党の政治家が統一教会に接近した理由、そして統一教会が自民党に近づいた理由は何なのだろうか。これについて最もわかりやすい例は、安倍元総理の側近であった萩生田光一氏のケース。

2009年の衆議院選挙で落選した後、教団側がその後の選挙活動を支援したという。

取材班 「選挙活動でどういうことを?」

 

元信者 「私は主に電話がけをしていました。(教会で言われたのは)一番影響力が大きい安倍さんを、日本の代表にする必要があります。萩生田さんという立場は安倍さんの一番近い存在で、セットで政界で活躍すれば、(教会は)大いに発展ができる」
(*3)

複数の教団関係者は、萩生田氏が頻繁に教団施設を訪れていたことを証言している。

一方、統一教会が政治との関係を強める目的は何なのか。全国有数の保守的な地盤がある富山県では、知事や富山市長が選挙の際に教会の関連団体から投票を依頼する電話などの支援を受けていた。

この富山でも、同性カップルを結婚に相当する関係と認める「パートナーシップ制度」が検討されたが、伝統的な家族観や男女の純潔を重視する教団は、親睦議員を通じてその制度に反対する。

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灘中に守山氏がかけていた「圧力電話」の内容

盛山氏にまつわる疑惑は、統一教会以外でも浮上。具体的には、盛山氏の母校である私立灘中学校・灘高等学校(神戸市)が歴史教科書の選定において盛山氏らから圧力をかけられたという。

2017年、私立灘中学校・灘高等学校の和田孫博校長が、歴史教科書の選定に関して政治的権力や右派勢力からの圧力があったことを告白。

灘中は2016年度から、「学び舎」という出版社が提供する新しい歴史教科書「ともに学ぶ人間の歴史」を採用。しかし、和田校長によれば、2015年末に行われた<ある会合で、自民党の一県会議員から「なぜあの教科書を採用したのか」との詰問>を受け、さらに年が明けてからは、<本校出身の自民党衆議院議員から電話がかかり、「政府筋からの問い合わせなのだが」と断った上で同様の質問を投げかけてきた>という。

この「本校出身の自民党衆議院議員」というのが、盛山氏であったとうのだ。

学び舎教科書は、2004年度の検定以降、他の教科書会社が触れない慰安婦問題や河野談話に言及しており、その点で右派の歴史修正主義者たちからの反発を浴びていた。

上記の括弧内の文章は、「謂れのない圧力の中で──ある教科書の選定について──」と題された4ページの論文で、2016年、富山大学教授・松崎一平氏が代表の「グループ帆」が編集・発行する「とい」という論文集に掲載された(*4)。

毎日新聞は「霊友会」から多額の広告料を

一方、今年に入り注目を集めているのが、新興宗教「霊友会」と毎日新聞社との微妙な関係だ。

霊友会が毎年開催する中学・高校生向けのイベント「ナキワラ!」について、毎日新聞が霊友会の関与を隠して報道している問題が浮上。この件についてはSlowNewsが報道した(*5)。

SlowNewsによれば、毎日新聞社はこのイベントに関連する広告を掲載するだけでなく、PR記事の制作も手がけ、霊友会から多額の広告料を受け取っているという。

さらに、各地域版や全国版の社会面にも、霊友会に関する記事が通常のニュースとして掲載されているとのこと。

このような行為は、過去に旧統一教会をめぐる問題で問題視されてきた。しかし、毎日新聞は旧統一教会に対して批判的な姿勢を示しつつも、自身も新興宗教からの資金を受け取っている疑いがあると指摘されている。

霊友会の公式ウェブサイトによると、会員数は253万人を超え、海外を含む5,531の支部を有している。

また、「いんなあ・とりっぷの霊友会」というキャッチフレーズのCMは、TBSラジオの『ジェーン・スー 生活は踊る』などでも放送されている。

引用・参考文献

(*1)「盛山文科相 旧統一教会系機関誌『一方的に送られてきたもの』」NHK NEWS WEB 2024年2月20日

(*2)沢伸也、高島曜介「盛山文科相側に旧統一教会系機関誌 地元事務所へ毎月無料、先月も」朝日新聞デジタル 2024年2月20日

(*3)クローズアップ現代「旧統一教会と政治 見過ごされてきた関係」NHK 2022年8月29日

(*4)「名門・灘中学校長が告白! 採択した歴史教科書めぐり同校に自民党とネトウヨから卑劣な圧力が」リテラ 2017年8月3日

(*5)「【スクープ】『霊友会』を隠して若者イベントをお手盛りで報じる毎日新聞と『新興宗教マネー』の関係」SlowNews | スローニュース 2024年1月9日

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伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

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