16年から22年までの6年間、フィリピンの大統領を務めたロドリゴ・ドゥテルテ氏。人権を無視するかのような強権的な姿勢はしばしば欧米諸国から批判を受けましたが、フィリピンでの評価は決してマイナス一辺倒のものではないようです。今回のメルマガ『在米14年&海外販路コンサルタント・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』では著者の大澤さんが、現地で直接耳にした同国民や駐在邦人の評価を紹介。その上で、海外報道を判断する際に何が重要になるかについての自身の考えを記しています。
※本記事のタイトル・見出しはMAG2NEWS編集部によるものです
ドゥテルテ大統領についての報道
今週はフィリピンに行ってきたので、そこで感じた話をします。
ミーティングのため車で迎えにきてくれたフィリピン女性、ドゥテルテ前大統領が大好きだそうです。
「この道、以前は汚くて浮浪者であふれていました。ドゥテルテのおかげできれいになりました。彼は本当にフィリピンの事を考えていました。今のマルコス大統領はだめです。もう一度ドゥテルテに大統領やってほしいです」と絶賛です。
現地の日本人ビジネスマンに質問すると
「フィリピンは憲法で死刑禁止なんです。でもドゥテルテは麻薬売人を容赦なく死刑(私刑)にしたんです。密告も奨励して6,000人を死刑にしたと言われます。それで結果的にフィリピンが安全になったことは事実です。昔は麻薬売人が大勢いましたが今はいません。」
ドゥテルテ大統領については、ミニ・トランプと言われている強権の大統領というぐらいの知識しかなかったのですが、俄然興味がわきました。
そこで、彼が海外でどのように報道されていたかを調べてみました。
以下、2022年9月のニューヨークタイムズの記事抜粋です。
フィリピン、ドゥテルテの麻薬戦争をめぐり国際法廷に反論
ドゥテルテ氏は2016年の大統領選挙キャンペーン中、警察と軍隊を投入し、犯罪者を“皆殺し”にすると公約した。
人権活動家たちによれば、殺害された大多数は貧しいフィリピン人であり、中には少年や麻薬取引とは無関係の者もいたという。フィリピン国家警察は、この暴力事件でおよそ8,000人が死亡したと発表したが、権利団体はそれ以上の人数を報告している。
国際刑事裁判所は昨年9月、ドゥテルテ氏に「人道に対する罪」が行われたことを示す予備的証拠があると述べた。
しかしフィリピン政府の主任弁護士である法務長官は、「ハーグの国際裁判所にはフィリピンに対する『管轄権』がない」と主張した。また該当期間に起きたとされる殺人事件は、『人道に対する罪』には当たらない」と声明で述べた。
政府のしばしば無差別な取締行為で有罪判決を受けたのは3人だけである。17歳の学生を殺害した罪で有罪判決を受けた3人の警察官である。しかし、カメラには、警官たちが少年を連れ去る姿が映っており、世論の反発を招いた。
別の内部調査では、警察官が正式手順に従わず、しばしば過剰な殺傷力を行使していたことが明らかになった。
解説
人権派のニューヨークタイムズらしく、ドゥテルテ大統領のやり方を批判する論調です。
私はドゥテルテ大統領の強権手法を是認するものではありませんが、フィリピンに実際にいくと印象が変わってきます。考えさせられます。
最近いろんな海外報道があります。何がどこまで事実なのかが分からない時代です。
しかし、実際にその地に行って、人と話した経験があると、それが自分なりのフィルターになります。肌感覚ができるからです。それは海外報道の判断において大事なものと考えてます。
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