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“証拠の取得”以外に得るものなし。現役探偵が明かす「盗み聞き」の大きすぎる代償

その内容の特殊性ゆえ、ボイスレコーダー等での証拠取得を伴う業務も少なくない探偵という職業。そんな仕事に携わる現役探偵の後藤啓佑さんですが、「なるべくなら盗み聞きなどしないほうが賢明」とします。その理由はどこにあるのでしょうか。後藤さんが自身のメルマガ『探偵の視点』で今回、そう考えるに至った背景を明かしています。 
※本記事のタイトルはMAG2NEWS編集部によるものです/原題:盗み聞きの代償

盗み聞きの代償

僕たちの仕事では、「モンスター社員」をどうにかして欲しいという依頼が来ることも多々あります。

今回お伝えするケースのモンスター社員は、部下に対するパワハラがひどい人物。

会社としては、その人物のせいで若い社員が退職したり、モチベーションが下がったりしているのを目の当たりにしたので、そろそろこのモンスター社員の扱いを考えなければならない、というところにきていました。

そこで今回は、そのモンスター社員の部下に対するパワハラの証拠を取りたいということで、社用車にボイスレコーダーを設置し、パワハラの証拠を取ろうということになりました。

そのモンスター社員と、現在最も被害を受けている部下の方は、よく営業で2人で外回りに行っていたので、その車の中で色々と暴言が出るのではないかということからこの調査が進みました。

1週間ボイスレコーダーで音声を記録し、こちらでチェック。すると、ある程度のパワハラと言えるだろうという音声は取ることができたのですが、1つ別の懸念が生じてきました。

それは、パワハラだけならまだしも、社長に対する批判や会社に対する批判がすごく多かったのです。

ただ、この部分は今回の調査の目的には必要ないことなので、この部分を社長にお渡しするのかしないのか。これを社長に聞いてみたところ、そこも確認したいということになりました。これは当然そうなるでしょう。

僕たちがそれを隠して切りとることは当然できません。「あんまり聞かれない方がいいかもしれませんが、どうしますか?」という言葉を投げると、「そんなモンスターの言っている風評なんて全然気にならないないし、何を言ってるのか興味本意で聞いてみたい」とのこと。

文字起こししたものを渡しました。

内容としては、第3者が見るとただの悪口だったり、ある程度的を得てるんだろうなということが推測される批判だったり。ものすごくひどいワードが散りばめられているわけではないですが、当事者が見るとどう感じるのか。

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後日。それを見た社長から連絡がありました。

「ちょっと辛すぎますね。いくら自分が目の敵にしている社員といえど、こうやって自分のことを自分のいないところではっきりと批判されるのは正直とても辛いというか、頭にくるというか…。今すぐクビにしたいです」

という回答が来ました。流れとしては予想できたことですが、個人的には悪口や批判というのは、言う側はそれほど重く考えずに口走っていることが多い。本当にそう思っているのか?悪口を言った人に聞いてみると、おそらくそこまでは思ってない。と返ってくるでしょう。

コミュニケーションの一環として悪口を言ってしまったという方は意外と多いように思います。ただ、それを聞く側当事者となると「これを言っている事実」を100%直接受け止めなければならない。

おそらく友達や上司部下、同僚が、自分がいない時にコミュニケーションの一環で、さらっと悪口っぽいことを言ったこと。それが耳に入るとすごくショックを受けるでしょう。それと同じ原理だと思います。

ポイントなのは言っている側はそこまで考えて発言していないということです。ただ、受け取る側はかなり傷つく。

結論、この差異を埋めることはできないので、できることはと言えば、なるべく盗み聞きはしないということと、この原理を頭に入れておくということです。盗み聞きしてプラスになることは“証拠取得”以外にいいことはありません!

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image by: Shutterstock.com

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平成3年生まれ。探偵歴10年。愛知県出身。好きな調査シーンは張り込み。19歳から探偵の修行を始め、他の職業をやることなく社会に出て現在までずっと探偵。中高生の頃から中南米地域に興味があった為、好きな探偵と中南米を合わせよう!ということで23歳のときに中南米で探偵をする為グアテマラ入りをする。グアテマラにて活動後、事業の基盤作りの為帰国。まずはアジアからということで現在はバンコクやマニラなどでの調査を経験しながら、国際探偵への道を走っている。多くの男女トラブルや企業内外の調査を受けている。

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【著者】 後藤啓佑 【月額】 ¥121/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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