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建設業のなり手が少なすぎる問題に希望の光?「第三次・担い手3法」改正内容と業界はどう変わるか

建設業は国民生活や社会経済を支える重要な役割を担っているにもかかわらず、賃金や処遇が悪いことなどから就業者の減少が著しい業種でもあります。そのような背景から改正されることになった法案を無料メルマガ『税金を払う人・もらう人』著者の現役税理士・今村仁さんが紹介しています。

建設業、労働者確保へ改正

■建設業法・入契法「担い手確保へ改正」

建設業は、社会資本の整備・管理の主体であるとともに、災害時における「地域の守り手」として、国民生活や社会経済を支える極めて重要な役割を担っています。

建設工事の適正な施工及び品質の確保と、担い手の確保のため、これまでにも、2014年及び2019年に、建設業法・入契法と品確法を一体として改正し、10年間で様々な成果がありました(「担い手3法」「新・担い手3法」)。

しかし、厳しい就労条件を背景に、依然として就業者の減少が著しく、建設業がその重要な役割を将来にわたって果たし続けられるようにするためには、現場の担い手の確保に向けた対策を強化することが急務です。

これらの課題に対応し、持続可能な建設業の実現と、そのために必要な担い手の確保を目的とする「第三次・担い手3法」として、関連法の改正が行われました。

※担い手3法(建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律、公共工事の品質確保の促進に関する法律)

■改正の背景

政府の資料によると、全産業の平均賃金494万円/年に対して、建設業の賃金417万円/年と、77万円/年も低いです。

また、就労時間についても全産業平均が1954時間/年に対して、建設業は2022時間/年と、68時間/年も長いです。

更には、昨今の資材高騰分の価格転嫁が進んでおらず、下請事業者の労務費を圧迫しているといえます。

こうしたなか、時間外労働規制等にも対応しつつ、処遇改善、働き方改革、生産性向上に総合的に取り組むために改正がなされました。

■3つの改正ポイント

改正の主なポイントは下記です。

1.労働者の処遇改善

2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

3.働き方改革と生産性向上

1.労働者の処遇改善

〇労働者の処遇確保を建設業者に努力義務化

→国は、取組状況を調査・公表、中央建設業審議会へ報告

○標準労務費の勧告

→中央建設業審議会が「労務費の基準」を作成・勧告

○適正な労務費等の確保と行き渡り

→著しく低い労務費等による見積りや見積り依頼を禁止

→国土交通大臣等は、違反発注者に勧告・公表(違反建設業者には、現行規定により指導監督)

○原価割れ契約の禁止を受注者にも導入

2.資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止

○契約前のルール

→資材高騰など請負額に影響を及ぼす事象(リスク)の情報は、受注者から注文者に提供するよう義務化

→資材が高騰した際の請負代金等の「変更方法」を契約書記載事項として明確化

○契約後のルール

→資材高騰が顕在化した場合に、受注者が「変更方法」に従って契約変更協議を申し出たときは、注文者は、誠実に協議に応じる努力義務※公共工事発注者は、誠実に協議に応ずる義務

3.働き方改革と生産性向上

○長時間労働の抑制

→工期ダンピング対策を強化(著しく短い工期による契約締結を受注者にも禁止)

○ICTを活用した生産性の向上

→現場技術者に係る専任義務を合理化(例.遠隔通信の活用)

→国が現場管理の「指針」を作成(例.元下間でデータ共有)

→公共工事発注者への施工体制台帳の提出義務を合理化(ICTの活用で施工体制を確認できれば提出を省略可)

image by: Shutterstock.com

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【著者】 マネーコンシェルジュ税理士法人 【発行周期】 週刊

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