自己啓発本でよく「ギブしましょう」という内容が書かれていることがあります。しかし、ギブしすぎたことにより、マイナス思考に陥ってしまうことがあったと経験談を語るのは、「6つの仕事を掛け持ちする時間管理の専門家」として知られる石川和男さん。石川さんは今回のメルマガ『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』で、「与え続ける」ことを心がけているとしながらも、ギブしすぎてしまった苦い思い出を語っています。
与える人が与えられるのは本当か?
私は、生業にしている税理士業務以外について、時間が許すかぎり、「与え続ける」ことを心がけています。心がけることで、多くの人脈を得ることにつながり、結果として、助けているつもりが、その何倍も助けられているのです。
しかしここで、この言葉を鵜呑みにしてはいけないということもお話させていただきます。
以前のわたしは、税理士業務の相談についても「与え続けて」いました。
SNSが普及し、そこでプロフィールとして、税理士、ビジネス書著者等の肩書を載せていると、多くの方から、税について様々な相談を受けます。
なかには、面識のない方からダイレクトメッセージで税務相談がくることも。
しかも、そういう人にかぎって、難易度の高い相談がくる(苦笑)
難易度が高い質問は、回答を返信するにも時間がかかります。質問の回答は、そのときの質問者のいろいろな状況によって変わってくるので、文字で伝えるのはひと苦労。そもそも、相手が、どれくらいの税務知識があるかわからないので、余計に大変なのです。
そして、そんな質問を、月に4,5件も送られてきていました。
私の中に、「もしかしたら、次のお客様になってくれるかも」という淡い期待があったのかもしれません。
でも、そういう相談を平気で送ってくる見知らぬ人が、その後、実際のお客様になってくれたことは1度もありませんでした。そればかりか、苦労して回答を作成し、送信しても、大抵「結果の返信」はありません。
質問に対する回答に要した時間が、たとえ10分だったとしても、専門家としてその答えに至るまで100倍、1000倍の勉強時間を費やしている場合もあるのです。
この記事の著者・石川和男さんのメルマガ
税理士業務は私の本業です。しかも、事務所は私1人で行っているのではなくパートナー税理士や職員もいます。
いくら「与え続ける」をポリシーにしていると言っても、これでいいのかと言う考えに至り、それ以来、本業の税に関する質問は、顧問先以外には答えないと決めました。
そうでなければ、正規の料金をいただいている顧問先との整合性が取れないとも思ったからです。
自己啓発本で「ギブして、ギブして、ギブしまくれ!」と書かれていることがあります。
しかし、お客様に不公平を生み出してしまう本業については、分けて考える必要があります。また、ギブするといっても、少し調べればわかるようなことまで何でも聞いてくる人も論外です。
ということで、本業である税務関係以外のことについては、自分でお役に立てることならば、ありとあらゆる相談に乗っています。
人生、仕事、恋愛、オススメの書籍、セミナーに関すること。できるかぎり、どんな相談にも、見返りをいっさい求めずに、答え続けています。まさに「与え続ける」の精神。「見返りをいっさい期待しない」のが肝なのです。
手伝ったから手伝ってください、紹介したから自分にも紹介してください、シェアしたから私もシェアしてください、という気持ちはいっさいありません。
「なんて偉い人なんだろう」って思いますか?「すごい偽善者」って思われるかもしれません。でも、偉いわけでも、打算的なわけでもないのです。
見返りを期待して何かをすると、疲れるからです。
「こっちをしてやったのに、なんの見返りもなし?」
そう考えていると、せっかくイイことをしてもマイナス思考に陥ってしまいます。
よく、「人に貸したお金は、返ってくることを期待してはいけない」って言いますよね。「貸すくらいならーーー(『石川和男の『今日、会社がなくなっても食えるビジネスパーソンになるためのメルマガ』』2024年10月10日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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