外食企業で生産性を上げる、そのためには何をすればいいのでしょうか? 外食・フードデリバリーコンサルタントの堀部太一さんは、今回のメルマガ『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』の中で、居酒屋を全国展開している支援先の取り組みを例に挙げ、生産性とは切っても切れない「人件費圧縮の方法」を紹介しています。
仕込みの人件費を87.5%圧縮させる取り組み
生産性を上げていく。言葉はわかるが具体的に何をすれば良いのか。
今日は全国に居酒屋を展開されるご支援先の取り組みを見ていこうと思います。
■業態について
様々な業態を展開されているのですが、今回は約10店舗の業態を検討。
原価率は25%と安定しているのですが、反面「店舗仕込み」の比率が高く、これが今後大変になるのでは?
これが考え始めたきっかけです。
■今後の人件費への懸念
既に人件費1,300円で仕込み専任のアルバイトさんを各店舗採用されています。
しかしこれが全国平均1,500円になるなら? 立地的にも1,800円くらいになる計算。
そうなると現行ままだと営業利益率8%なのが人件費だけ3%にまで減る計算に。
今後人件費率30%=現状人件費率25%×上昇率120%
もちろん適宜値上げなどは実施しますが、比較的お値打ち価格訴求系の業態なので、シンプル値上げは厳しいところ。
この辺りから、仕込みの人件費の改善。これを考え出すことにしました。
■最初にやったこと
これがめちゃくちゃ大変でしたが、エリアマネージャーの方がやりきってくれました。
全店舗に入って、全商品の仕込みの時間を把握です。
・商品別仕込み人件費
・店舗仕込み月間回数
・1回辺り負担時間
・月間注文点数
・1人前辺り食数
・月間必要食数
・製造労務費(1時間辺り)
・1食辺り労務費
・製造工程
上記を全てスプレッドシートで管理。商品数は40種類なのですが、それの10店舗分なのでかなり大変だったと思います。
ただこれで見えてきた事が多々ありました。
この記事の著者・堀部太一さんのメルマガ
■仕込みにいくらかかっているのか
月間で430万円かかっていました。年間だと5,160万円になります。
これが上記のように人件費率1.2倍になるなら、
月間:516万円(負担86万円)
年間:6,192万円(負担1,032万円)
これを何も考えずに動かない。それほど危険なことはないですよね。
今後もこのブランドの店舗数が増えるので、
・採用難
・人件費増
・店内仕込みの質のブレ
ここを見越して早めの行動に着手です。
■まず調べたことやったこと
上記の通りアイテム数は40種類。それの仕込み人件費が多い順に並び替え。
そして、
・製造を機械化できるか?
・機械化したものを冷凍できるか?
これでリスト化。
色んなメーカーさんに声をかけて頂き、最適なものを調べて頂きました。
■改善される金額
仕込みトータルで430万円。そのうち「約190万円」が機械化・冷凍か可能に。
それによって商品別での圧縮時間から、工場化による製造労務費を算出。
店内仕込:190万円
工場仕込:26万円
差額 :164万円
かなり圧縮される事がわかりました。これが圧縮率13.92%になる訳です。
仕込みトータルで見ると、
現状:430万円
今後:266万円(差額164万円)
こうなるのでこれは十分に投資すべき案件だ!となった訳です。
■ちゃんと美味しい?
ただ不安なのが美味しく無くなる問題。これは何度も何度も何度も繰り返し、美味しさの再現性を高められました。
既製品化では味わいに差別化ができないので、そこはオリジナルにしていく。ただ適切な機械・冷凍にしていく。
このプロセスはひたすらに改善の繰り返しですーーー(『飲食・デリバリー企業向け/業績アップメルマガ』2024年10月28日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
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