元『M!LK』メンバーで若手俳優の板垣瑞生さんが、24歳の若さでこの世を去りました。『麒麟がくる』や『正直不動産』などNHKドラマのほか、多くの劇場作品でも活躍した板垣さん。仕事は順調に見えましたが、2024年3月に当時の所属事務所を突然退所。さらに今年1月末頃からは行方不明になっていたとのことです。板垣さんの命を奪った“不慮の事故”の背景には何があるのか……芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんが解説します。
板垣瑞生さんが“不慮の事故”で死去。今年1月末から行方不明
『麒麟がくる』の“端正な顔立ちの森蘭丸”や、『正直不動産』の“プライベートを最優先させる若手社員”で印象に残っている方も多いと思います…。若手俳優の板垣瑞生さんが、不慮の事故で亡くなったことが御遺族から発表されました。享年24歳。
まったく面識はなく、会話を交わしたこともありませんが、それでも印象に残る役者さんというのは勝手に自分の遠い身内のように思えてしまい…喪失感に襲われます。若い、才能ある役者さんが亡くなってしまうというのは…残念で、悲し過ぎます…。
御遺族によると、昨年から板垣さんはメンタルに問題を抱えていたようです。
昨年3月、所属先だったスターダストプロモーションからの突然の契約解除、ファンクラブの閉鎖に、芸能関係者の間では様々な噂が囁かれていましたが、これもすべて彼の抱えていたメンタルの問題が原因だったようです。
あらためて、板垣さんの役者としてのプロフィールを振り返ってみて、私が見逃せないと感じたのは2022年のスケジュールでした。
この年、板垣さんは3本の連続ドラマと、2本の単発ドラマに出演、公開された4本の映画もありました。
彼が1つの作品に、どのように役作りしていくのかは存じ上げませんが、私は、役者というのは命を削って芝居に挑む職種ではないかと思います。憑依型なら尚更でしょう。
事務所としては“板垣を、役者としてトップにする!”という期待の表れでもあったのでしょうが、もしかしたら当時21歳になったばかりの若者には、逆にこれが目に見えないプレッシャーとして、心にのしかかっていたのかもしれません。
真面目で、努力家だったからこそ、すべてを自分で抱え込んでしまったのかもしれません。(次ページに続く)
芸能人の「若すぎる死」と岡田有希子さんの記憶
まだ若い芸能人の急死…私が思い浮かべるのは、若い方の中には御存知ない方もいらっしゃるかもしれませんが、1986年4月8日に旅立ったアイドル、岡田有希子さんです。
当時の私はまだ駆け出しの芸能記者で、打ち合わせの途中に、とりあえずタクシーに乗り込み、現場に駆け付けたものでした。
到着した現場は、まだ衝撃の余韻が残っていて、それを目の前にボーっとする私に先輩が「何をグズグズしてるんだ!仕事しろ、仕事!」と怒鳴られたことが、今でも映画のワンシーンのように脳裏から消えないままです。
記者という名刺を持つようになって1年足らずの頃…「こんな仕事、いつまでもやってられないな…」と心の中で呟いたものです。
取材方法などほとんど知らなかった当時の私は当然、関係者への直撃取材など出来るはずもなく、それでも“答え”を要求してくる編集部への回答として考えたのは、岡田さんの所属事務所社屋の2階にあった喫茶店に通い詰めることでした。
記者としては新人ですから、関係者で私の顔を知っている人はいないことを利用し、営業時間内の喫茶店に居座り続け、そこを訪れる客のヒソヒソ話を耳をダンボにして聞き、メモをとり続けたわけです。
何週間…何ヶ月後だったでしょうか、断片的な話をつなぎ合わせ、根気のいる取材を続けていたら、だんだんと全体像が見えてきたのです。死の直前の岡田さんの様子や、彼女が心を痛めていた人間関係等々…ぼんやりとした輪郭ではありましたが、おおよその事情を理解できる、その入口にようやっと辿り着いたのでした。
三浦春馬さんと板垣瑞生さんの急死に、芸能記者が感じる共通点
前述の岡田さんや、2020年7月18日に旅立った三浦春馬さん、そして今回の板垣瑞生さんに共通して感じることがあります。
それは“どうしてマネージメントする側の人間たちは、心が傷付いたタレントたちに、優しく、親身になって寄り添うことができなかったのか?”という疑問です。
おそらく心理学の名誉教授ぐらいの人物でも難しい、デリケートな問題があるとは思います。
けれど、もし苦しい胸の内に寄り添うことが少しでもできていたら、こんな悲しい出来事は事前に防げたかもしれないと思う…いえ、思えるのです。
今年1月末頃から行方不明となり、御遺族によれば先日、遺体で発見されたという板垣さん。行方不明にならなければいけなかった板垣さんと、彼を捜す御遺族と友人の3ヶ月間…胸が潰れそうなご心痛をお察しします。
御家族の元へ帰られてよかった…今はそれだけしか言葉が思い浮かびません…。
ご冥福をお祈り申し上げます。
【関連】三浦春馬さん衝撃の死から3年。取材を続ける芸能記者が感じた、三浦さんへの“陰湿なイジメ”の正体
【関連】三浦春馬「毒親育ち」のあの日々…宮沢りえ、安達祐実も共通「しんどすぎる親子関係」に記者が感じた絶縁できぬ悲哀
【関連】みのもんたさんは「日本最大のタブーを暴露して消された」!? 若者世代が「特別会計の闇」とみのさんの“遺言”に注目するワケ
【関連】大谷翔平&真美子夫妻「5月第一子誕生」に向け厳戒態勢へ。現地パパラッチがセレブ病院の見取り図を確認中!? 注目される報道合戦の行方
プロフィール:芋澤貞雄
1956年、北海道生まれ。米国でテレビ・映画のコーディネーター業を経て、女性週刊誌などで30年以上、芸能を中心に取材。代表的スクープは「直撃! 松田聖子、ニューヨークの恋人」「眞子妃、エジンバラで初めてのクリスマス」。現在も幅広く取材を続ける。https://twitter.com/ImozawaSadao