一般の人でも手軽に受けられる「占い」ですが、軽い気持ちでその扉を開くと深刻な事態を引き起こすこともあると悪質商法のジャーナリストである多田文明さんは語ります。多田さんは自身のメルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』で、ミニカルト団体で起こった自殺教唆事件の詳細を語っています。
「救い」の言葉に隠された罠。カルト団体や占い詐欺の共通点とは
占い師が、投資話をもちかけて20億円をだまし取った事件など、「占い」にかかわるような事件が次々に明らかになっています。
特に、教祖が自殺教唆の罪に問われている事件の団体は、最大19人いたといわれていますので、旧統一教会やオウム真理教と比べて規が小さく、ミニカルト団体の事件といえます。
こうした事件を引き起こす団体に所属すると、お金をすべてとられるだけでなく、身も心も奪われて、その結果、深刻な家族被害も引き起こします。
軽い気持ちで占いの扉を叩くと、深刻な事態を引き起こすこともありますので、警告の意味を込めて、この内容を中心にお送りします。
自殺教唆の罪に問われた、自称「創造主」の女の裁判から
2020年に海岸に2人の男性(50代・60代)の遺体があがりました。
当初は自殺とされて、遺書(後に捏造が発覚)もあり「事件性なし」とされましたが、その後、50代男性が、が自称占い師の女(浜田被告)から「5000万円以上を脅し取られた」と警察に相談したことがきっかけに、2人の男性が浜田被告からの指示を受けて命を落としていた疑いが浮上します。
現在、裁判が行われており、自らを「創造主」とする浜田淑恵被告が、教えに傾倒していた男性らを自殺に追い込んだ、自殺教唆の罪に問われています。
カルト思想を持つ団体に属してしまうと、いかに恐ろしい結果が待っているかがわかります。私の「新興宗教ぶっちゃけ話」を読んで頂いた方はわかると思いますが、基本的にこうした団体では、絶対服従をさせるような思想になっており、常識では考えられない事件を引き起こします。
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愛人の「救い」ための自殺という行動が、なぜ起きたのか
ミヤネ屋(読売テレビ)でも、この事件が取り上げられましたが、20年ごろから浜田被告の愛人が逃げ出すようになり「(愛人を)正常な状態に戻すには、死んで魂になり、エロヒムという神が作ったシステムを破壊しなければならない」と告げたといいます。
そこで4人は集団自殺をするために海に入りますが、女性2人(浜田被告と滝谷被告)は途中で入水をやめますが、男性らは教祖の言葉を信じ切っていたのでしょう。海に入り、亡くなります。
「エロヒム?システムの破壊?何をいっているのかよくわからない」と思う方もいるかもしれませんが、簡単にいえば、教祖である浜田被告は、愛人をもとに戻す=「救う」ために「自殺」という選択肢を取るように仕向けたといえます。
一般にカルト思想を持つ集団では「救う」という言葉を用いながら、信者らを誘導します。
旧統一教会の霊感商法では、多くの人に高額な壺や印鑑を売りつけてお金をとりましたが、その勧誘行為は「その人自身や背後にいる先祖を救うことになる」といわれて、信者らは必死になってものを売りつけました。もちろん高額献金の勧誘も同じです。
世の中からみて違法行為であっても「救い」いう言葉を使い「善行」だと思わせながら、活動をさせます。これは多くのカルト思想団体で行われていることです。
カルト集団の引き起こす事件を未然に防ぐ対策の必要性
亡くなった男性の一人は、2008年頃「悩み相談」とあるHPを見てカウンセリングを受けたことがきっかけで、浜田被告を信奉するようになっています。その後、家を出て、親族や息子たち周りの人たちとの関係をシャットアウトして、不動産の売却代金や借金などをして7000万円ほどを捧げます。息子さんが会見されておられましたが、父親を失った心痛は、はかり知れないほど苦しいものだったと思います。家族被害の深刻さがここにあります。
カルト思想団体の誘いの手として、敷居の低い「相談」の形を通じて、個人情報を握り、心を教義に染めていき、周りの人間関係を絶たせようとしてきます。そして自らの狭いコミュニティのなかに引き入れて、時間厳守や睡眠時間などを奪うなど、行動を支配します。男性の信仰歴が12年であることを考えると、長い期間をかけて、心身をマインドコントロールされていたことがわかります。
許されないことは、自分の意思通りに行動するとわかっていて、教祖である浜田被告が自殺をするように仕向けていることです。
スピリチュアルの世界を信じすぎる人は、この世の中の出来事は、霊界からなされた結果だと思うので、今回のような命を失うようなことも、いとわない行動をしてしまうことがあります。
今後も、ミニカルトと呼ばれる集団が事件を引き起こすことは充分に考えられますので、信教の自由に配慮しつつ、こうした団体への規制や対策をどうするべきなのかを考える時をむかえています。
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20億円を集めた女性占い師の手口
占い師である田斉容疑者(51)が、「建物に水晶を埋め込み、風水調整して価値を付けた家を売却する」という投資があると嘘をついて、お金をだましとったとして警察に逮捕されました。約7年間で、70人から20億円ほどを集めたとされています。
しかも被害に遭ったのは、知人・友人らで、ママ友の関係を利用して、お金をだまし取っていた事例もあり、長年、占い師として信頼していた人たちは大きなショックを受けていると思います。
占い師の女性は前の出資者に、次の出資者のお金を配当として渡すというポンジスキームという手立てを使っていたとみられています。
今回のような事件は、占い師を自称する者として絶対にしてはいけないことだと思います。
「サン!シャイン」(フジテレビ)でもコメントしましたが、被害に遭わないためは、誰かに相談して詐欺に気づくことが大事になりますが、相手が知人で占い師となれば、悩みなどを真っ先に相談する相手になりますので、被害に気づきにくい状況となります。
通常、個人で行うポンジスキームは早々に破綻しますので、詐欺行為がバレやすいものですが、この女性の場合、7年という長きにわたってお金をだまし取り続けられたのは、「占い師」という立場だったゆえだと思います。
もう一ついえば、「金運が上がる」ためにという名目でお金をだせることも容易だったと思います。そのためには、自分自身も投資がうまくいき、金運がアップしていると思わせなければならず、ブランド品などお金遣いも派手だったのもわかる気がします。
女性は、占星術(四柱推命・風水)を使った企業コンサルタントをしているなどといって「成功例」をあげて話をすることもあったようです。
いずれにしても、騙そうとする者はみてくれをよくして、お金を集める手法にたけており、口がうまいのも特徴です。日本には占いの好きな方が多くいますので、そうした人たちが今後狙われることもありますので、注意が必要です。
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