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元“楽天モバイルの雄”がサウジでAIパソコン屋に転身したのはナゼか?

かつて楽天モバイルで「世界初の完全仮想化ネットワーク」を掲げ、通信業界に大きなインパクトを与えたタレック・アミン氏が現在夢中になっているものとは?メルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』の著者でケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川さんは、そんなアミン氏の現在について紹介しています。

元楽天のタレック・アミン氏がサウジでパソコン屋になっていた

Snapdragon Summit 2025では毎朝、「CEO-to-CEO Chat」というイベントが開催された。

クアルコムのCEOであるクリスチアーノ・アモン氏が、ゲストを招いてAIについて語り合うというセッションだ。

初日はアドビのシャンタヌ・ナラヤンCEOとAIによってクリエイターがもっと想像力を発揮できるようになると語り、2日目はグーグルのリック・オステルローとデバイスの未来について討論した。

そして、3日目にはなんと元・楽天モバイルのタレック・アミン氏が登壇したのだった。

タレック・アミン氏とクリスチアーノ・アモン氏が対談するとあって「ネットワークのAI化」なのかと思いきや、なんとタレック・アミン氏はノートパソコンについて語り出したのだ。

タレック・アミン氏は楽天モバイルを辞めた後、アラムコ・デジタルCEOであったが、昨年12月に退任。

現在は、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子が会長を務める国家主導のAI企業である「Humain(ヒュメイン)」のCEOになっている。

Humainでは「HUMAIN AI PC」を開発し、サウジアラビアでは初のLLMとなる「ALLAM」を搭載。オンデバイスとクラウドによるハイブリッドAIによって、教育現場やエンタープライズで使えるデバイスを目指すという。

ただ、実際はWindows上にChatなどができる、それっぽいユーザーインターフェースが載っているだけのように見えた。

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HUMAIN AI PCは単に売るだけでなく、サブスクリプションモデルで稼いでいくという。また、教育現場には無料で配る。

HUMAIN AI PCはSoCにSnapdragon X Eliteを使っているとあって、今回のイベントに出演したようだ。

しかし、タレック・アミン氏は本来ならばクリスチアーノ・アモン氏とトークするはずであったが、一方的にしゃべりまくっていて、アモン氏が困惑の表情を見せ、時計をチラチラと確認している姿が印象的であった。

30分間、目が血走るほどにHUMAIN AI PCを語るタレック・アミン氏はこの事業に本気で取り組んでいるのだろう。

その熱意が十分に伝わってくる一方で、「オープンRANは諦めたのか。結局、放り出してしまったのかな」と見ていてちょっと悲しくなってしまった。

確かに思った以上に世界でオープンRANが普及している感じはしない。時間がかかっているうちに、エリクソンなどの既存ベンダーによる「守り」が固まってきたように見える。

業界内では「タレック・アミンは、楽天シンフォニーに見切りをつけて、辞めたのではないか」なんていう人もいた。まさに、これまで頑張ってきた楽天シンフォニーは見事にはしごを外されたのか。

いま、タレック・アミン氏が携帯電話ネットワークではなく、サウジアラビアでAI企業のCEOを熱心にやっているのを見ると「キャリアビジネスよりAIのほうが儲かる」という判断をしたのではないか、と穿った見方をしたくなってしまう。

残された楽天シンフォニーが不憫だ。

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image by: Shutterstock.com

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日経トレンディ編集記者として、ケータイやホテル、クルマ、ヒット商品を取材。2003年に独立後、ケータイ業界を中心に執筆活動を行う。日経新聞電子版にて「モバイルの達人」を連載中。日進月歩のケータイの世界だが、このメルマガ一誌に情報はすべて入っている。

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